トラックドライバーはどのような研修を受けているのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、トラックドライバーが受ける研修の種類や内容について紹介しますので、興味がある方は参考にしてみてください。
トラックドライバー研修の種類
トラックドライバーの研修は、初任運転手に対する研修と法定12項目の研修です。
初任運転手に対する研修は、座学・乗車指導研修を15時間以上、実地研修を20時間以上行う必要があり、国土交通省が定める指導指針について受ける指導です。
初任運転手に対する研修
過去3年以内に、初任診断を受けていないドライバーを初任運転者といいます。
過去にトラックを運転した経験がある場合も新たに雇用された人は、初任運転手となるため研修の対象です。
初任運転手の安全運転講習受講は、法定義務とされています。
会社が国土交通省の指針に基づいて行う研修または、各都道府県のトラック協会が実施する研修への参加が必要です。
法定12項目の研修
法定12項目とはドライバーが正しく運行できるよう知識を提供し、事故を未然に防ぐことを目的とした国土交通省が定めた12の指導項目です。
さまざまな交通・運行状況に対応できる判断力や技能、事故防止のための心構え、事故発生時の対応などの教育を行います。
トラックドライバーに対して継続的に行う重要な研修です。
■出典:国土交通省「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転手に対して行う指導及び監督の指針」
研修内容
トラックドライバーは日常的に大型車を運転するため、事故発生のリスクを背負っています。
事故を未然に防ぐため技能や判断力を向上させることが、研修の目的です。
初任運転手に対する研修
初任運転手に対する研修では、事業者はドライバーへ15時間以上の座学及び実車指導を実施します。
また実際にトラックに乗り行う安全運転に関する実技指導は、20時間以上必要です。
研修は、初めて事業用自動車に乗務する前に実施します。
危険を予知し回避できる運転技能や事業用自動車を運転する際の心構えなど、トラックドライバーとして従事する上で必要な技能・知識の修得が目的です。
初任診断/測定
初任運転手は就業開始の1か月以内に初任診断/測定の受診が義務付けられています。
判断・動作の正確さやタイミング、視覚機能、安全態度、危険感受性などについて、パソコンやシミュレーターを用いて測定する診断です。
初任診断・測定の結果が合格基準に満たない場合、再度受診できます。
法定12項目の研修
法定12項目の研修は毎年行う必要があるため、初任運転手だけでなくベテランドライバーの受講も必須です。
研修が行われていない場合や適切に指導が行われていない場合は、違反とみなされ罰則を受けることがあります。
トラックを運転する場合の心構え
貨物を安全かつ確実に輸送することが使命であり、日本の経済を支える重要な役割を担っていることを認識させることが重要です。
またトラックによる事故が、社会や他のドライバーへ大きな影響を与えることを理解する必要性についても伝えます。
安全意識を持ち運転し、ドライバーの模範となれるような指導が重要です。
トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本事項
トラックの運行にあたり、安全のためにドライバーが遵守すべき事項は多数あります。
不適切な方法・姿勢での運転や日常点検の怠りによって発生した事故について、事例を交えて説明します。
加害者となった場合の処分や、加害者および被害者の心理的影響についての指導も必要です。
トラックの構造上の特性
運転するトラックの車高や視野、死角、内輪差、制動距離など構造上の特性を把握することが目的です。
これらを把握していなかったことによる事故の事例を説明することで、トラックの構造上の特性を理解しておくことの重要性を伝えます。
トラックは乗用車と異なるため、事故なく安全に運行できるような教育が重要です。
貨物の正しい積載方法
トラックへの正しい貨物積載方法を知っておくことで、トラックへの負荷軽減や運行中の荷崩れ防止が可能です。
荷物が左右どちらかに偏らないような積載方法の知識だけでなく、急な停止や発進などは荷崩れの原因となるため、正確かつ安全な運転技能が必要となります。
また走行中の荷物落下防止のため、ロープやシートなどを用いることへの理解も重要です。
過積載の危険性
過積載による事故のリスクは非常に高いですが、未然に防ぐことが可能です。
各ドライバーの意識が重要なため、事故の事例を交えて危険性を説明します。
過積載を行った場合罰則が科せられることがあります。
また車両の故障にも繋がるため、荷物を過剰に積載しないよう注意を促す指導が必要です。
危険物を運搬する場合に留意すべき事項
トラックドライバーが運搬するものの中には危険物が含まれる場合もあるため、取り扱い時に留意すべき事項を各自が理解していなければなりません。
また、危険物・有害物質の輸送時に必要な携行品や輸送時に事故が発生した際の適切な対処法など、運搬時の注意点の説明が必要です。
適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
走行経路が決まっている場合は、狭い道や危険な道などの情報があるため道路・交通状況について適切に伝えることが可能です。
しかし想定していた道路の走行ができない場合、ドライバーが各自で経路を選択する必要があります。
天候や時間帯、各地域の特性などを踏まえて経路選択できるような指導が重要です。
危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
トラックの運転は、内輪差や死角の多さなど危険が多数存在します。
事故防止のための危険を予測し回避する能力や、事故が起きた際の適切な対応力が必要です。
指差呼称や安全呼称を習慣付け、危険予知訓練を行いましょう。
運転者の運転適性に応じた安全運転
ドライバーには、適性診断の受診が義務付けられています。
運転の特性を把握することで、各ドライバーに適した指導が可能です。
自身のクセを理解し正すよう指導することで事故防止に繋がります。
適性診断は、初任運転手や高齢運転手、過去に事故歴がある運転手に対して行います。
交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因とこれらへの対処方法
生理的および心理的要因が、事故を引き起こすおそれがあることへの理解が必要です。
生理的要因には長時間の運転による過労や睡眠不足、飲酒などがあります。
心理的要因は慣れや運転技能の過信、注意力の欠如などです。
運転中に眠気や疲労を感じた際は休憩をとり、飲酒運転の禁止を徹底しましょう。
健康管理の重要性
疾病が事故の原因になることもあります。
トラックドライバー特有の勤務体制や業務などにより、体調不良やストレスの蓄積が起こりやすいです。
定期的な健康診断やストレスチェックなどの必要性を理解し、生活習慣の改善を図るよう指導します。
適切な心身の健康管理は、交通事故を防ぐためにも重要です。
安全性の向上を図るための装備を備えるトラックの適切な運転方法
安全性向上装置として衝突被害軽減ブレーキやバックカメラなどがあり、近年では標準装備されていることが多いです。
しかし安全装置の過信や誤った使用方法は事故の原因となるおそれがあります。
性能を正しく理解し、常に安全運転を意識することが重要です。
まとめ
本記事では、トラックドライバーの研修の種類や内容について紹介しました。
初任運転手に対する研修は、トラックの運転経験の有無に関わらず受講が必要です。
法定12項目についての研修は毎年行われるため、技能や知識を向上できます。
事故を防ぐためにも、研修の必要性を理解し、活かしていくことが重要です。