倉庫管理者になるにはどのような資格が必要?資格なしでもなることができる?

免許・資格

現在の物流業界では、倉庫は重要な拠点としてその役割がますます注目されています。

大手企業が専用の物流施設を確保し、在庫管理や出荷業務を効率化する動きも広がっており、倉庫業に対する需要は高まり続けています。

倉庫業を営む場合には、法律に基づいた運営体制が求められ、適切な人員配置と業務管理が欠かせません。

 

その中で倉庫管理者(正式には倉庫管理主任者)の選任は、法令で定められた基準を満たすためにも非常に重要なステップとなっています。

 

倉庫管理者に選任されるためには、一定の知識や経験が必要であり、具体的には「倉庫管理主任者講習」の受講が要件に含まれます。

この講習は、保管施設の安全管理や業務内容の把握、適切な利用方法、災害対策など、幅広い分野にわたる内容で構成されています。

講習の修了によって発行される修了証は、選任にあたって確認される重要な情報のひとつです。

 


この記事では、倉庫管理者になるために必要な条件や講習の詳細、申請時に注意したいポイントなどを、種類別にわかりやすく紹介しています。

さらに、倉庫業に関連する施設や業者がどのような体制を整えているのか、どのようなケースで認定が必要になるのかといった背景についても触れていきます。

 

今後、物流や保管業務に関わる仕事を探す予定の方や、すでに企業の倉庫部門で勤務されており、次のキャリアとして倉庫管理者を目指す方にとって、有益な情報を網羅しています。

業務全体の流れや申請の基準について理解を深めることはより円滑なキャリア設計につながりますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

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倉庫管理者の仕事内容

 

倉庫管理者 資格

 

倉庫業の運営には、倉庫管理者の登録が法律によって義務付けられています。

これは倉庫という施設を正しく利用し、安全性と効率性を保った運営を実現するための基準の一つです。

倉庫管理者は、貨物や従業員に関する異常の発生を未然に防ぎ、災害や事故が起こらないよう管理体制を整える責任を担っています。

 

倉庫管理者の主な仕事内容は、次の4つの業務内容に分類されます。
 

倉庫における火災防止やその他倉庫の施設管理

倉庫業において火災は非常に大きなリスクであり、火の取り扱いや電気設備の管理は常に注意が必要です。

倉庫管理者は、建物全体を定期的に点検し、漏電や老朽化した配線がないかを確認します。

また、スプリンクラー設備や消火器などの防災設備が適切に配置・整備されているかをチェックすることも重要です。

施設ごとの構造や設備の種類によって対応も異なるため、各倉庫の特性に応じた管理が求められます。
 

倉庫管理業務の適正な運営確保

多数の貨物を効率的に保管・搬出するには、運営フローの整備が欠かせません。

倉庫管理者は、在庫の種類ごとに保管位置を把握し、出荷指示に従って正確に貨物を搬出できる体制を整えます。

また、入出庫の記録管理を通じて、情報の正確性を保ち、取引先や利用企業からの問い合わせにも迅速に対応する必要があります。

運営業者との連携やマニュアル整備も含め、適正な管理体制を維持することが求められます。
 

労働災害の防止

倉庫現場では、フォークリフトやクレーンなどの機械設備を日常的に使用します。

そのため、操作ミスや整備不良による事故を防ぐための安全対策が非常に重要です。

倉庫管理者は、現場作業で想定される危険を洗い出し、具体的な対策を講じます。

たとえば、作業区域の明確な区分け、注意喚起の表示、安全装備の着用義務などが挙げられます。

これにより従業員の安全性が高まり、業務の継続性も確保されます。
 

現場従業員の研修

倉庫の適正な運営には、現場で働く従業員一人ひとりの知識とスキルが大きく影響します。

そのため倉庫管理者には、従業員に対する教育・研修を行う責任があります。

研修では、業務マニュアルや対応手順を用いて、業務ごとに求められる知識を分かりやすく伝えることが重要です。

また、新しい設備や法改正に関する情報を随時共有することで、運営に必要な知識をアップデートしていくことができます。

こうした研修制度の整備により、倉庫全体のサービス品質も向上します。

 

倉庫管理者の役割は多岐にわたり、施設の管理、作業の効率化、安全対策、教育指導まで広範囲に及びます。

倉庫業を支える柱として、業務全体の流れを把握し、円滑な運営を実現する存在といえるでしょう。


 

倉庫管理者に必要な資格・スキル

倉庫管理者は国家資格ではありません。

そのため、選任されるための試験は存在せず、専門の機関で資格試験を受ける必要もありません。

 

では、倉庫管理者として認定されるには、どのような条件が必要なのでしょうか。

以下のいずれかを満たしていれば、管理者として登録・選任が可能です。

 

 

・一定以上の実務経験があること

・国が指定する講習を修了していること

・国土交通大臣が適格と認めた者であること

 

このいずれか1つをクリアしていれば、倉庫管理者としての申請ができます。

 

どの条件も、倉庫業の基準や安全管理体制に対する理解と、現場での運営を的確に行うスキルが備わっていることを前提としています。

ただし、以下に該当する方は、たとえ条件を満たしていても倉庫管理者として選任できません。

 

・禁錮以上の刑に処され、刑の執行が終了してから2年が経過していない場合

・倉庫業に関する法令違反により登録を取り消され、取り消しから2年を経過していない場合

・1年以上の懲役もしくは罰金刑を受けた経歴がある場合

・これらは業界全体の安全性と信頼性を守るための重要な規定です。

 

では、上記の条件のひとつひとつについて、より詳しく見ていきましょう。
 

一定以上の実務経験

倉庫管理者として選任されるために、最も一般的な条件が実務経験の有無です。

倉庫業では、貨物の取り扱いや施設管理、教育指導など多岐にわたる業務内容を円滑に行うスキルが求められます。

そのため、経験がある人材が優先される傾向にあります。

具体的には、以下のいずれかに該当している必要があります。

 

・倉庫内の業務を監督・指導する立場での実務経験が2年以上

・倉庫作業員として直接業務に従事した経験が3年以上

 

この基準を満たしていれば、特別な講習を受けることなく倉庫管理者に選任されることが可能です。

過去の職歴や業務記録などは、申請時に確認されることが多いため、証明できる情報をあらかじめ整理しておくと安心です。
 

 

特定の講習を修了する

実務経験がない場合でも、指定の講習を受講・修了すれば倉庫管理者に選任される道があります。

これは国土交通大臣が定めた「倉庫管理主任者講習」で、全国で毎月実施されています。

講習の内容は、倉庫施設の安全管理や労働災害対策、コンプライアンスの考え方など、業務を進める上で必要な基礎知識が体系的に学べるように設定されています。

この講習を修了すると、倉庫管理者としての選任要件を満たすことができます。

 

最新のスケジュールや開催地域、申込方法などの詳細情報は、一般社団法人日本倉庫協会の公式サイトで確認することができます。

なお、講習では集中して受講することが求められ、居眠りなどが原因で退室を求められることもあるため、注意が必要です。
 

国土交通大臣から認められる

もう一つの方法として、実務経験や講習修了を経ていなくても、国土交通大臣が適切であると判断した場合には、例外的に倉庫管理者に選任されることが可能です。

この判断は、他業種での管理経験や倉庫業務と関連する高度なスキルを有している場合など、倉庫管理主任者と同等の能力があると評価された場合に限られます。

認定にあたっては、業務内容や過去の実績、勤務先など複数の要素が確認されます。

申請には、十分な根拠を示す書類の提出が必要となるケースもあります。
 

 

倉庫管理主任者講習とは?

倉庫管理者の選任に必要な要件の一つが、倉庫管理主任者講習の受講です。

この講習は試験ではないため、受講さえ完了すればその時点で資格要件を満たすことができます。

 

ただし、受講態度に問題があると認定されず退出を求められる場合もあるため、真剣に取り組むことが大切です。

講習は以下の5つの主要な項目で構成されています。

 

 

講習内容

1.倉庫業法の概要

倉庫業の基本ルールを学び、法的な基準や義務について理解を深めます。

これはすべての業者に共通する重要な知識です。
 

2.倉庫業における労働災害の防止

倉庫業は多くの貨物や重機を扱うため、労働災害が起こりやすい環境です。

労働災害が起こってしまっては、通常の業務運営が難しくなります。

倉庫管理者を希望するものは、従業員を労働災害から守るための業務を学ぶことが必要です。
 

3.倉庫における火災防止

倉庫内は、火災の原因になるものが多数あります。

火災の発生は通常業務ができなくなるだけではなく、今後の会社の存続にも影響を及ぼす大きな災害です。

火災防止のために必要なことを学びます。
 

4.倉庫管理実施

倉庫には日々多くの貨物が出入りします。

倉庫業では貨物の適正な管理が重要です。

日々の倉庫管理を適正に行うための業務を学びます。
 

5.自主監査体制の整備

コンプライアンスを意識し、内部監査の体制を整えることを学びます。

 

 

以上5つの項目を学びます。

講習時間は約5時間です。


 

スケジュールと申込状況

講習時間はおおよそ5時間で、1日で完結するスケジュールとなっています。

各地の施設で開催されているため、通いやすい会場を選ぶことができます。

講習は全国各地で年間を通じて開催されており、各回ごとに募集人数が設定されています。

開催予定は日本倉庫協会のサイトにて随時更新されるため、希望する方は定期的に情報をチェックするとよいでしょう。
 

受講料

受講料は会場によって異なりますが、一般的には12,000円前後となっています。

なお、日本倉庫協会の会員企業に所属している場合、受講料は約6,000円と割引が適用されるケースがあります。

費用についての詳細も、事前に公式サイトで確認しておくことをおすすめします。


 

倉庫管理者の仕事の給料(年収)

 

倉庫管理者 資格 取得方法

 

倉庫業への転職を考えている方にとって、日々の業務内容や資格の取得方法だけでなく、給料の相場についての情報も非常に重要な判断材料のひとつになります。

倉庫管理者を含む倉庫業従事者の平均年収は、全体としておおよそ362万円から376万円程度とされています。

月収で換算すると、およそ30万円から32万円程度になるケースが一般的です。

ただし、企業の規模や業務内容、施設の種類、担う責任の大きさによって収入には差が出やすい職種です。

実際には年収700万円を超える方もいれば、200万円台の年収にとどまっている方も存在し、幅のある職種といえるでしょう。

地域別に見ると、最も平均年収が高いのは関東地方でおよそ380万円とされています。

 

一方、最も低いのは四国地方で、平均年収は約337万円となっています。

このように、勤務地の地域や管轄する営業所の規模によっても収入の傾向が異なる点は確認しておきたいところです。

 

また、倉庫管理者の給与体系は勤務する会社や業者によってさまざまです。

基本的には「固定給制」と「歩合給制」に分かれており、固定給の方が安定的に収入が得られますが、歩合給制では業務量や効率によって報酬に差が出ることもあります。

勤務先の給与規定によって、ボーナスの支給があるかどうかも異なります。

夜間に業務を行う企業もあり、そうした場合は夜間勤務手当が支給されるケースもあります。

 

ただし、このような手当の設定については、企業ごとに就業規則や給与規程が定められているため、転職を検討する際には事前に詳細な条件を確認することが重要です。

求人情報や会社案内などから、労働条件や勤務時間、福利厚生の内容を十分に把握し、自分に合った職場環境を選ぶことが必要です。

さらに、倉庫管理者として業務を行うためには、資格取得や申請手続きが必要な場合もあります。

その点に関しても各社で必要とされる基準や条件が異なることがありますので、制度や選任の流れについても事前に調べておくと安心です。

 

倉庫管理者という職種は、単に施設内の管理を行うだけでなく、安全対策やスタッフへの指導、業務効率の向上など、事業全体に関わる幅広いスキルが求められます。

こうした業務の特性が、給与の幅広さにもつながっているといえるでしょう。
 

 

まとめ

今回は、物流業界でますます重要性が高まっている倉庫管理者について詳しくご紹介しました。

近年ではネットショッピングやサブスクリプション型のサービスの拡大に伴い、物流の需要が急速に拡大しています。

その中核を担うのが、貨物を一時的に保管する拠点である倉庫施設であり、こうした施設の安全かつ効率的な運営を支えるのが倉庫管理者の役割です。

倉庫管理者は、国家資格のように試験を受けて合否が決まるものではありませんが、選任にはいくつかの要件が定められています。

たとえば、一定期間以上の実務経験がある方や、倉庫管理主任者講習を修了した方であれば、基準を満たすことができます。

 

また、これらの条件に該当しない場合でも、国土交通大臣からの認定により選任されるケースもあります。

倉庫管理者の業務内容は、施設の防災対策、労働災害の防止、貨物の管理、現場スタッフへの教育など多岐にわたります。

そのため、現場で求められる知識やスキルも幅広く、講習などでの習得が推奨されます。

こうした情報は、日本倉庫協会の公式サイトなどから最新の開催スケジュールや申請手続きの詳細を確認することが可能です。

 

現在すでに倉庫業に従事している方はもちろんのこと、今後この業界への転職やキャリアチェンジを考えている方にとっても、倉庫管理者という職種は安定したニーズがあり、将来的にも活躍の場が広がると考えられます。

企業の中でも倉庫部門は重要な事業領域のひとつであり、管理体制を整えることで、より高品質な物流サービスの提供につながります。

ご自身の経験や働き方に合った方法で要件を満たせるかどうか、ぜひ今一度確認し、倉庫管理者という選択肢を前向きに検討してみてください。

 

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