
留学生として日本に留学していた滞在していた外国人が、
日本で就労する場合、留学ビザを就労ビザで変更しなければなりません。
留学ビザを就労ビザに変更する場合、どのような条件があるのでしょうか。
本記事では、留学ビザから就労ビザへ変更する手続きと条件、
費用の補助金や注意点について、詳しく解説します
留学ビザから就労ビザへの変更について理解しよう
留学ビザから就労ビザへの変更についてご紹介します。
就労ビザへの移行が可能な条件
留学ビザから就労ビザへの移行が可能な条件については、以下の通りです。
入管法が定める業務内容にあてはまる
日本国内での就労を希望する場合、
その職種が入管法で定められたものでなければなりません。
単純作業や製造ラインでの作業は原則として認められておらず、
就労前に予定している仕事が入管法の定めに合っているか確認が必要です。
学歴・職歴・資格等の基準に合致している
留学ビザから就労ビザへ変更する際は、大学や専門学校での専攻と、
就職を希望する外国人の職種が合致している必要があります。
例えば、法学部を卒業した留学生が法律事務所に就職を希望する場合、
専攻分野と業務内容の関連性が高いと評価されるのです。
素行が悪くない
留学生として在留している期間中、法令を遵守しているか慎重な審査が行なわれます。
アルバイトの時間制限を遵守しているか、納税義務を果たしているか、
交通違反や犯罪歴はないかなど、
多岐にわたって規則が守られているか審査されるのです。
入管法が定める届出を行なっている
留学中に住所変更所属機関の変更など、さまざまな届出がありますが、
これらの届出を適切に行なっているか審査されます。
手続きを怠っている場合は、就労ビザへの変更が認められない可能性があるのです。
就労ビザの種類と適用範囲
就労ビザの適用範囲についてみていきましょう。
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留学ビザ |
就労ビザ |
適用範囲 |
・日本の大学 ・高等専門学校 ・高等学校 ・特別支援学校の高等部 ・専修学校 ・各種学校 ・水産大学校や防衛大学校など (一部の省庁大学校) ・海外大学の日本分校 (学校教育法上の認可を受けて いる場合) |
・教授:日本の大学や機関で研究や指 導を行なう ・芸術:報酬が発生する芸術上の活動 を行なう ・経営:日本で貿易やその他の事業を 経営し、事業管理に従事する ・医療:日本の資格を取得した医師、 薬剤師、看護師など ・法律:日本の法律上の資格を取得し た弁護士、司法書士、公認会 計士、税理士など |
上記の適用範囲は一例であり、他にも適用範囲があることをご留意ください。
留学生としての滞在中に就労ビザを取得するメリット
留学生としての滞在中に就労ビザを取得するメリットには、
以下のようなものがあります。
キャリアアップを図ることができる
日本ではさまざまな分野で人手不足が生じており、
企業によっては、外国人を採用するところも増加しています。
留学生として学業に専念し、
それを就労後に活かすことでキャリアアップを図ることが可能です。
日本企業にとっても、留学生が就労後に即戦力になることも少なくありません。
日本の法規や文化を深めることができる
留学ビザを取得し、日本で生活しているうちに
日本の法規や文化を深めることができます。
留学生の間にそれらを深めておくことで、
就労後は、円滑に労働に関する法規などを理解することが可能です。
学びながら収入が得られる
留学ビザをもっている留学生は、週28時間までではありますが、
アルバイトをすることができます。
日本国内で、大学・専門学校等で学びながら収入を得ることができるのです。
上場企業は手続きが簡略化に!
上場企業や年間で1,500万人以上の所得税を支払っている会社は、
書類手続きが簡略化されます。
具体的には、在留資格変更許可申請書、
会社四季報の写しまたは上場企業であることを証明する文書、
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(写し)を提出することで、
それ以外の書類は原則不要なのです。
上場企業や規模の大きな会社については、
入国管理局は会社側の情報は審査するまでもないと判断しています。
ただし、申請後に書類の追加の提出を求められることもありますのでご留意ください。
就労ビザ取得のための必要書類
就労ビザを取得するための必要書類についてみていきましょう。
必要な書類一覧
申請人(本人)が用意する書類 |
受入企業が用意する書類 |
・在留資格変更許可申請書 ・写真1枚(4cm×3cm、6カ月以内のもの) ・パスポート ・在留カード ・履歴書 ・卒業見込証明書 ・卒業証書又は卒業証明書 ・成績証明書 ・出席証明書(専門学校卒業予定の場合) ・資格外活動許可証(許可を得ている場合) |
・在留資格変更許可申請書 ・雇用契約書(労働条件通知書) ・雇用理由書(自由書式・A4・2枚程度) ・履歴事項全部証明書 ・決算書 ・会社定款 ・給与所得の法定調書合計表 (税務署受理印がある写し) |
留学ビザから就労ビザに変更する場合、
申請人だけでなく、受入企業も書類を用意しなければなりません。
書類によっては、用意に時間がかかるものもありますので、
申請は時間にゆとりをもって行ないましょう。
オンライン申請と郵送申請の違い
就労ビザの変更手続きは、2024年1月からオンラインで手続きすることが可能です。
オンライン修正と郵送申請の違いは、
オンライン申請は窓口に出向く必要はないということです。
窓口に出向く場合は、少なからず交通費がかかりますが、
オンライン申請ではシステムの利用料金は無料となっています。
また、オンライン申請は、24時間365日利用できますので、
申請者や会社のタイミングで申請手続きを行なうことができるのです。
留学ビザから就労ビザに変更する際の流れ
留学ビザから就労ビザに変更する際の流れについてみていきましょう。
~ステップ①~就職活動を開始する
留学生が就職活動を始める際は、取得する就労ビザの種類を確認し、
就職活動が可能なビザなのか確認してください。
~ステップ②~雇用契約を締結する
就労ビザを申請する際、雇用契約書・労働条件通知書の提出が求められるため、
就労ビザを申請する前に雇用契約を締結します。
学校の卒業時期は3月が多いですが、ビザ変更審査は1カ月~3カ月程度かかりますので、
手続き可能な最も早い時期である
12月1日に変更申請ができるよう準備しておきましょう。
~ステップ③~出入国在留管理局へ必要書類を提出する
出入国在留管理局へ提出する必要書類は、以下の通りです。
留学生本人が用意する書類 |
企業が用意する書類 |
・写真 ・パスポート ・在留カード ・卒業見込証明書 ・在留資格変更許可申請書 (申請人等作成用) |
・雇用契約書 ・直近年度の決算文書 ・前年分給与所得の法定調書合計表 ・在留資格変更許可申請書 (所属機関作成用) |
上記以外にも必要な書類がある場合がありますので、
詳細は出入国在留管理庁「在留手続き」のページをご参照ください。
~ステップ④~就労開始
留学ビザから就労ビザへの変更が完了すれば、
正式に日本の企業で働くことができます。
就労ビザは、指定されている以外の業務や、清掃や仕分け作業など、
禁止されている単純作業した場合は、
ビザの資格が取り消される可能性もありますので注意してください。
また在留期間を過ぎた状態で日本に居続けると、
オーバーステイ(不法在留)になる可能性があり、強制出国を命じられる場合もあります。
就労ビザに変更する際の審査基準
留学ビザから就労ビザに変更する際の審査基準についてみていきましょう。
就労先の職種が在留資格に定められた範囲である
就労ビザに変更する場合、どの職種でも働けるわけではありません。
働く予定の企業での活動が、
外国人の在留資格に適合しているかが審査の基準となります。
卒業証明書・卒業見込証明書がある
大学・専門学校を卒業した場合は卒業証明書を発行してもらうことができ、
最高学年になった際は卒業見込証明書の発行が可能です。
いずれかの証明書があることは審査基準の対象となります。
大学・専門学校で学んでいる専攻分野と業務が関連している
大学・専門学校で学んでいる専攻分野と
働く企業の業務内容が関連していなければなりません。
例えば、大学・専門学校で法学系を学んでいた場合、
法律系の事務所で働く予定にしているなどの関連性が必要なのです。
このように、関連性があることで、
外国人留学生は働き先で知識技術を生かすことができます。
日本人と同等以上の給料が支給される
就労ビザ働く外国人に対しても、日本の労働基準法が適用されます。
特に給料面については、日本人と同等以上の給料が支給されていなければなりません。
内定企業の規模が基準を満たしている
就労ビザ更新する際、以下のように企業規模がカテゴリー分けされ、
カテゴリーによって書類の提出内容が異なります。
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内容 |
提出書類 |
カテゴリー1 |
四季報や証券取引所に上場している企業 |
四季報や証券取引所に上場していることが分かる書類など |
カテゴリー2 |
直近年度の源泉徴収税額が1000万円以上の企業 |
受付印が押印されている前年分給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表など |
カテゴリー3 |
上記以外の企業 |
受付印が押印されている前年分給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表など |
このように、働く予定の企業の事業規模、事業内容、
安定性を証明しなければならないのです。
就労ビザ取得にかかる費用
就労ビザ取得にかかる費用についてみていきましょう。
ビザ取得までの費用一覧
就労ビザ取得するまでにかかる費用は、以下の通りです。
内容 |
費用 |
在留資格変更許可申請手数料(収入印紙) |
6,000円 |
証明写真撮影料 |
800円程度 |
卒業証明書または卒業見込証明書発行手数料 |
300~1,000円程度 |
上記以外では、出入国在留管理局に訪れる際の交通費など、
他にも費用が発生する可能性があります。
申請手数料の内訳
上記の表で、在留資格変更許可申請手数料があります。
在留資格変更許可申請手数料の内訳として、
出入国在留管理局に訪れて窓口申請する場合の手数料は、
2025年4月1日より、従来の4,000円から6,000円に引き上げられます。
一方、前述でもオンライン申請について触れましたが、
オンライン申請の場合の在留資格変更許可申請手数料は5,500円です。
このように、手続きの方法によって申請手数料が異なることを知っておきましょう。
費用を抑える方法
就労ビザにかかる費用を抑える方法として、おすすめするのがオンライン申請です。
上記のように、オンライン申請であれば申請手数料が安く済みますし、
出入国在留管理局の窓口に訪れる際の交通費もかかりません。
卒業証明書または卒業見込証明書の発行手数料は、
大学・専門学校で定められているものですので安くなることはありません。
また証明写真を撮影にかかる費用は、写真機によって安く済むものもあります。
ただ、価格が安い写真機は、
写真が不鮮明になるなどのデメリットがあることをご留意ください。
奨学金や助成金が利用できるかも?
2025年3月現在、
留学ビザから就労ビザへ変更する際に利用できる奨学金や助成金の制度はありません。
就労ビザへの変更をする際、費用を抑えたい場合は、上記の方法を取るしかないのです。
また、留学ビザから就学ビザに変更した場合、
奨学金の受給資格を失う可能性があることも留めておいてください。
留学中のインターンシップと就労ビザへの影響
留学中のインターンシップ就労ビザの影響についてみていきましょう。
インターンシップの経験がある場合のメリット
インターンシップの経験がある場合、
留学生本人と企業側にも、以下のようなメリットがあります。
留学生のメリット |
企業側のメリット |
・日本で働くことで職場習慣を学ぶこと ができ、異文化理解が進むほか、日本 企業での仕事に適応しやすくなる ・日本語能力の向上する ・日本文化や生活、働き方を経験できる ・社会人としての教養や常識を身につけ ることができる
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・優秀な留学生を採用し、将来の雇用に つなげられる ・人材の多様化と採用競争力の向上を図 ることができる ・業務適性を見極め、本採用の判断材料 にできる ・異文化交流により、日本人社員に新た な視点や刺激を与えることができる |
就労前に、留学生と企業側に接点があることで、
互いにさまざまなことを知ることができるのです。
インターンシップと就労ビザの法的関係
留学生が日本の企業で報酬を得るインターンシップを行なう場合、
在留資格「特定活動ビザ(告示9号)」と「資格外活動許可」が必要となります。
特定活動ビザと資格外活動許可の要件に関しては、以下の通りです。
特定活動ビザの要件 |
資格外活動許可の要件 |
・期間は1年を超えないこと ・通算して大学の修業年限の2分の1を超 えないこと ・大学・専門学校を卒業または修了した 者に対して学位の授与される教育機関 に在籍していること |
・1週間について28時間以内(長期休業中 は1日8時間以内)のアルバイトが可能で あること ・専攻科目と密接な関係があるなど、単 位修得のために必要な実習であること
|
上記の要件を守りながら活動しなければなりません。
就労ビザ取得後のインターンシップへの影響
就労ビザを取得した後インターンシップを継続することは可能ですが、
上記の「インターンシップと就労ビザの法的関係」の要件を守りながら
活動するのが原則です。
資格外活動許可を取得し、適正な形でインターンシップを行ないましょう。
就労ビザ取得後の生活や働き方の変化
就労ビザを取得した後の生活や働き方の変化についてご紹介します。
生活環境の変化
就労ビザを取得する前は、留学生として学業に専念する生活でしたが、
就労ビザ取得後は、労働者として就労に専念することになります。
就労ビザ取得後は、留学生と違って働くことに集中できますので、
責任ややりがいを感じながら就労することができるでしょう。
また、留学生のときはアルバイトとして働くことができる時間に制限がありましたが、
労働者として働く場合は、日本人正社員と同じくフルタイムで働くことが可能です。
収入が大きく増えますので、生活面に関しても食生活についても変化がみられます。
働き方の法律的側面
留学ビザと就労ビザで、働き方の法律に以下のような違いがあります。
留学ビザ |
就労ビザ |
・労働は週28時間以内のアルバイトのみ ・長期休暇中は、1日8時間まで就労可能 ・アルバイトをするには資格外活動許可 を得ていなければ違法 ・資格外活動許可は、入国管理局から予 め取得する |
・日本人と同じく労働基準法に基づいた 労働時間が適用 ・労基法の範囲内であれば時間制限なし ・適用事業所である場合、厚生年金、健 康保険、労災保険、雇用保険に加入可 能 |
すでにご紹介している内容も含まれていますが、
特に、就労ビザの年金や保険に関する事項に関しては、新たにご留意ください
ビザ期限と更新の手続き
留学ビザの有効期限は学校によって異なり、
学習期間によって入国日から6カ月以上最長2年間発給されます。
留学ビザから就労ビザへの変更申請に期限はありませんが、
大学・専門学校に在学しているときに内定が出た場合、
卒業前の12月頃から申請可能です。
卒業後に内定が出た場合は、内定が決まればすぐに更新手続きの申請をしましょう。
留学ビザから就労ビザへの変更申請の手順は、以下の通りです。
1.雇用契約を結ぶ
2.就労ビザの変更申請を行う
3.就労ビザの審査を受ける
4.就労ビザを取得する
入社に間に合うように、時間に余裕をもって準備しておく必要があります。
就労ビザの更新に関しては下記の記事にて詳しく紹介しておりますので
そちらも合わせご覧ください。
就労ビザの更新手順や費用を詳しく解説│企業による更新支援についても紹介
留学ビザから就労ビザに変更する際のよくある質問
留学ビザから就労ビザに変更する際に、よくある質問について回答しておきます。
内定があれば就労ビザ取得可能?
上記のように、大学・専門学校に在学しているときに内定が出た場合、
卒業前の12月頃から就労ビザ取得申請が可能です。
卒業後に内定が出た場合は、すぐに取得申請を行なってください。
入社までに就労ビザ取得が間に合わなかった場合は不法滞在になる?
入社までに就労ビザ取得が間に合わない場合は、
留学ビザがある状態では不法滞在にはなりません。
ただ、就労ビザが不許可であった場合は、就労ビザへの変更はできませんので、
不法滞在にならないように、一度出国する必要があります。
不法滞在は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金や、
退去強制となり、最低でも5年間は入国禁止となるのです。
また、入社までに就労ビザが間に合わない場合は、
内定が無効になるときがありますので、
時間にゆとりをもって手続きを行なってください。
入社までに就労ビザが取得できなかった場合はどうしたらいい?
上記のように、入社までに就労ビザが間に合わない場合は、
一度出国する必要がでてきます。
ビザがない状態では、不法滞在(オーバーステイ)となってしまい、
その場合は入国管理局へ自主的に出頭しなければなりません。
まとめ
留学ビザから就労ビザへ変更する手続きと条件、費用の補助金や注意点について、
ご理解深まりましたでしょうか。
日本で就労する場合は、留学ビザから就労ビザへ変更しなければなりません。
就労ビザ変更しないまま滞在していると、
不法滞在と判断される場合がありますのでご注意ください。
また終了する際の費用について記していますので、
参考になさっていただければ幸いです。
本記事を参考に、留学ビザから就労ビザへ変更してみてはいかがでしょうか。