
日本のドライバー業界では、慢性的な人材不足が継続しています。
ドライバー不足を解消するため、
企業によっては、外国人のドライバーの採用を検討しています。
特定技能外国人が日本でドライバーの仕事に就くためには、
どのように免許を取得すればいいのでしょうか。
本記事では、特定技能外国人の運転免許取得条件や取得方法、
費用や注意点について、詳しく解説します
特定技能ビザで就労可能な運転免許が必要な職種
特定技能ビザで就労可能な運転免許が必要な職種には、以下のようなものがあります。
トラックドライバー
トラックドライバーになるには、普通免許、中型免許、大型免許など、
就労先で取り扱っているトラックの大きさによって必要な免許が異なります。
基本的にトラックドライバー顧客から有償で荷物を輸送することから、
2種免許も必要です。
バス運転手
バス運転手になるには、大型免許が必要となります。
バス運転手に関してもトラックドライバーと同様に
基本的には顧客から有償で送迎することから、2種免許も必要です。
タクシードライバー
タクシードライバーになるには、普通免許が必要となります。
タクシーの顧客を有償で送迎することから、2種免許も必要です。
建設業での重機オペレーター
建設業で使用される重機オペレーターは、さまざまな種類があります。
クレーン車、ブルドーザー、油圧ショベル、
ロードローラー、高所作業車などがありますが、
基本的には普通免許・中型免許・大型免許が必要で、
とくにクレーン車、ブルドーザーでは、
大型・小型自動車の特殊免許も合わせて必要です。
倉庫業でのフォークリフト作業
倉庫業で使用されるフォークリフトを運転する場合は、
フォークリフト技能講習を受講して、免許を取得しなければなりません。
普通免許以上の運転免許をもっていると、
学科・実技の一部が免除される場合があります。
運転免許を取得するための条件と制限
運転免許を取得するための条件と制限についてみていきましょう。
日本で免許を取得する際の一般的な条件
まずは、日本で免許を取得する際の一般的な条件についてご紹介します。
外国の運転免許を取得している場合
外国人が自国ですでに運転免許を取得している場合、
日本の運転免許に切り替える「外免切替」という方法があります。
外国の運転免許証と、
その免許証を発給した国に3か月以上滞在していることが証明できる書類が必要です。
外国の運転免許を取得していない場合
外国人が自国で運転免許を取得していない場合は、
日本で運転免許証取得する必要があります。
自動車教習所に入学し、必要な技能・学科の教習を受け、
その後、運転免許試験に合格して運転免許を取得しなければなりません。
外国人に対する特定の制限や注意点
上記のように、外免切替をする際は、
その国で3か月以上滞在していることがわかる証明書類を用意しなければなりません。
外免切替をする際は、代理人が申請手続きを行なうことは認められていませんので、
本人が直接、手続きをする必要があります。
また、運転免許試験を受験する際、
試験は日本語で実施されますので、日本語能力が必要です。
過去の運転歴や違反履歴に関連する制約
特定技能外国人が運転免許を取得する際、過去の交通違反が影響する場合があります。
例えば、永住許可を取得する場合、
過去5年間の交通違反が審査対象となっていることから、
違反が多い場合は運転記録証明書から違反の履歴がなくなるまで
待つことがおすすめです。
また、75歳以上の人が運転免許を更新する際に、過去3年間に一定の違反があると、
運転技能検査や高齢者講習を受けなければならない場合があります。
運転免許取得における日本語能力の必要性
前述のように、日本で運転免許を取得する場合、
技能・学科教習はすべて日本語で実施されます。
また運転免許試験は全て日本語表記となっていますので、
運転免許を取得する際は十分な日本語能力が必要です。
運転免許取得による仕事上のメリット
運転免許を取得したことによる仕事上のメリットについてみていきましょう。
特定技能の採用をお考えの企業の方は、運転ドットコムの下記の記事も役に立ちますので、
合わせて参考になさってください。
特定技能の外国人転職者を採用する企業が知るべき全て│転職する際の要件や手続き、注意点についても紹介
~メリット①~広がる就職先の選択肢と可能性
運転免許を取得することで、免許の種類にもよりますが、
ドライバーの仕事幅広く選択することが可能です。
とくに大型免許をもっていると、全般的な車両を運転することができます。
ドライバーの2024年問題が取り上げられている今、
ドライバー業界ではドライバー不足が深刻ですので、
免許をもっていると多くの求人に応募することができるでしょう。
~メリット②~給与面でのプラス効果とキャリアアップ
ドライバー業界では、人手不足を解消するため、
給料を上げて人材確保に努めている企業もあります。
また、運転免許の種類も普通免許より中型免許、
中型免許より大型免許をもっている方が給料が高くなる場合があるのです。
大型免許をもっていると、バスやトラックなど、
幅広い車種を運転することができますので、キャリアアップにもつながります
~メリット③~資格手当などの追加収入の機会
運転免許以外に、フォークリフト免許や危険物取扱者など、
他の資格をもっている場合は、資格手当を支給してもらえる場合があります。
資格手当は、1000円から50,000円程度支給されるのが一般的です。
~メリット④~運転スキルがもたらす日常生活への利便性
ドライバーの仕事は、お客様や顧客の貨物を運ぶ、いわば運転のプロといえます。
普段から丁寧な運転をしなければならない仕事であり、
日常生活でも丁寧な運転をすることで、
自分の車に人を乗せた際に安心感をもたらすでしょう。
~メリット⑤~他の国でのキャリアにも役立つ国際的な有用性
他の国では、日本のように、鉄道などの公共交通機関が整備されていない国もあります。
そのような国では、もっぱら移動手段は車に頼るしかなく、
日本で運転免許を取っている場合は、国際免許を取得することで、
他の国でも運転することが可能です。
日本で一から運転免許取得する場合の具体的なステップと流れ
日本で一から運転免許を取得する場合の具体的なステップと、
流れについてみていきましょう。
~ステップ①~運転免許取得の申請をする
日本で運転免許を取得する場合、まずは教習所を選び、入所の手続き申請を行ないます。
教習所で適性検査を受け、教習の進め方に関する説明を受けましょう。
~ステップ②~教習所で講習を受ける
教習所の教習は学科教習と技能教習があります。
学科教習は、50分1時限とした教習を26時間受講し、
交通ルールや安全な運転の知識について学習します。
技能教習は、普通自動車AT車限定で31時間、MT車で34時間となっており、
教習所内や公道での運転練習を行ないます。
~ステップ③~修了検定・仮運転免許学科試験を受ける
修了検定は、学科試験と技能試験を受けて合格しなければなりません。
学科試験はテキストの問題から構成されており、技能試験は教習所内を走行し、
試験官が運転操作の確認を行ないます。
修了検定合格後、仮運転免許学科試験を受験し、合格すると仮免許証が交付されます。
仮運転免許を取得すると路上教習が始まり、
実際の道路で5回程度の路上教習を受けるのです。
~ステップ④~卒業検定を受ける
路上教習を受け終えた後は、卒業検定を受験します。
学科試験と技能試験を受験し、合格すると卒業検定に合格となります。
~ステップ⑤~本免許学科試験を受ける
卒業検定に合格後、運転免許センターで本免許学科試験を受験します。
交通ルールや安全運転に関する知識が問われ、
問題数は100問、90問以上の正解で合格です。
本免許学科試験に合格すると、その日に運転免許証が交付されます。
外国人の方で、自国で運転免許を取得している場合、
外免切替という手続きが必要です。
画面切り替えの技能試験に関しては、
運転ドットコムの「 」の記事も役に立ちますので、
合わせて参考になさってください。
合格後の免許交付手続きについて
本免許学科試験合格後、運転免許センターで免許交付の手続きを行ないます。
次でお示しする必要な書類をもって、運転免許センターで交付手続きを行ないましょう。
必要な書類一覧
運転免許センターで、免許の交付手続きを行なう際に必要な書類は以下の通りです。
|
必要書類 |
1 |
教習所卒業証明書 |
2 |
住民票【本籍(国籍)が記載されており、マイナンバーが記載されていないもの】 |
3 |
本人確認書類 【健康保険証、マイナンバーカード、パスポート等、写真付のものが望ましい】 |
4 |
申請用写真 【縦3cm×横2.4cm、無帽、正面、上三分身、無背景、6か月以内に撮影のもの】 |
5 |
手数料【普通免許、準中型免許など、免許種別によって異なる】 |
6 |
筆記用具【鉛筆、消しゴム、黒ボールペン、印鑑など】 |
運転免許センターにより、必要書類が異なる場合があります。
外国籍の場合は、
在留カード特別永住者証明書などを本人確認書類として提示しなければなりません。
なお、筆記用具については、持参しておくと便利なものとして捉えてください。
運転免許取得にかかる費用と時間
運転免許取得にかかる費用と時間についてご紹介します。
平均的にかかる費用と教材費
運転免許にかかる費用に関しては以下の通りです。
|
項目 |
金額 |
|
1 |
教習所費用 |
全国平均 |
【AT車】約290,000円 【MT車】約300,000円 |
通学免許 |
約300,000~400,000円 |
||
合宿免許 |
約200,000~400,000円 |
||
2 |
仮免許費用 |
試験手数料 |
約2,900円 |
交付手数料 |
約1,900円 |
||
再受験費用 |
約1,700~1,800円 |
||
3 |
本免許費用 |
試験手数料 |
約1,900円 |
交付手数料 |
約2,350円 |
||
再受験費用 |
約1,900円 |
上記以外では、教習所に通う交通費などがかかります。
特定技能ビザ保持者のための特別コース費用
特定技能ビザ保持者が日本で運転免許を取得する場合、
新規の取得となるため、前述でお示しした教習所の費用が発生します。
免許取得までに必要な平均的な期間
教書所は、通学免許の場合は2~3カ月、合宿免許の場合は2週間程度で卒業できます。
最短で教習所を卒業する場合、AT車の場合は13日、MT車の場合は15日です。
教習所から卒業証明書が発行され、
その後、運転免許センターで本免許試験を受験することで免許が取得できますので、
免許取得までに必要な平均的な時間は約3週間~約3カ月といえるでしょう。
まとめ
特定技能外国人の運転免許取得条件や取得方法、費用や注意点について、
ご理解深まりましたでしょうか。
特定技能外国人が日本でドライバーの仕事をする場合、運転免許をもっていない場合は、
日本の教習所に通って運転免許を取得する必要があります。
外国人が自国で運転免許を取得している場合は、
日本で外免切替の手続きを行なわなければなりません。
特定技能外国人がドライバーの仕事に就くことで、
ドライバー業界が抱えている人材不足が少しでも解消されるでしょう。
本記事を参考に、特定技能外国人の免許取得について知っていただければ幸いです。