大型トラックを運転している人をみると、女性ドライバーを見かける頻度が多くなりました。
女性の中で「大型ドライバーになりたい」とお思いの方がいらっしゃる中で、
労働環境や給料などについて不透明なところが多いがゆえに、求人にエントリーできない方もおられるのではないでしょうか。
本記事では、女性の大型ドライバーに実情について詳しく解説します。
女性で大型ドライバーをお考えの方は、ぜひご一読ください。
トラガール促進プロジェクトって?
2014年に国土交通省は「トラガール促進プロジェクト」を開始しました。
「トラガール」とは、女性(=girl)のトラックドライバーという意味があり、
トラックドライバ―は男性の職業という印象が強いですが、現在女性にも活躍の場が広がっていることを受けて、
トラガールの活躍をもっと応援しようという思いで立ち上げられたのが、このプロジェクトです。
女性トラックドライバ―が働きやすいと感じる環境を設けることが目的で、
トラガールが応援する企業が利用できる各種助成金などの情報がまとめられています。
トラガールが増えることで以下のような効果が期待できるのです。
運送会社のイメージ向上
女性トラックドライバーが働いているほど、安全管理や教育をしっかり行なっていると評価されます。
女性トラックドライバ―が増えることで、細かな気配りができているなど、運送会社のイメージ向上が期待できるのです。
職場全体の働きやすさの向上
女性トラックドライバ―を採用することで、これまで男性中心だった職場の環境が一変します。
これまでの会話の内容も変わりますし、女性が採用されることで労働環境が改善された働きやすい職場になる効果が期待できます。
ドライバ―不足解消
女性トラックドライバ―が多く働いている運送会社は、
求人を行なう際に「女性ドライバーも活躍中!」とうたうことで、女性ドライバーの応募に期待します。
女性トラックドライバ―が働きやすい環境は、若年層が求める職場環境にもつながることから、
トラックドライバ―不足の解消に期待がもてるのです。
営業力の向上
女性トラックドライバ―は取引先との対応が丁寧な傾向があることから、
荷主の評判が高くなり、業績向上の期待が高まります。
また女性ならではの視点による営業の提案も取り入れられることから、より営業力が向上できる可能性が高いです。
女性の大型ドライバ―の割合ってどのくらい?
全日本トラック協会の『日本のトラック輸送産業現状と課題2022』によると、
2021(令和3)年の道路貨物運送業の輸送・機械運転従事者数が84万人に対して、女性の従事者数は3万人程度です。
割合で表すと、わずか3.6%ほどしか女性ドライバーがいません。
全産業の女性従事者の割合が平均44.5%であることをみると、
女性ドライバーの割合がいかに少ないかがお分かりいただけるでしょう。
このような現状が背景にあることもあり、日本政府はトラガール促進プロジェクトを行なうなどして、
女性のトラックドライバ―の増加を促しているのです。
大型ドライバーの仕事内容について
大型ドライバーは女性・男性問わず就くことができる仕事です。
ここでは実際に大型ドライバーの仕事内容について詳しくご紹介します。
また下記の記事でも大型トラックドライバ―の仕事内容についてご紹介していますので、合わせてご一読ください。
トラックの種類別に仕事の内容を紹介!トラック運転手になる方法も併せて紹介!
大型トラックドライバーの仕事内容
大型トラックドライバ―は、小型・中型トラックでは運ぶことができない、大きくて重量物を運ぶ仕事が中心です。
よって積載する荷物は、手作業で荷積み・荷下ろしできるものではなく、フォークリフトやクレーンを使わなければなりません。
大型トラックは積載量が豊富であるがゆえに、車中泊を伴いながら遠方まで荷物を運ぶことも多いです。
大型トラックの種類別の仕事の内容
大型トラックといってもさまざまな種類があります。
ここでは大型トラックの種類別に仕事内容をみていきましょう。
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大型トラックの種類によって仕事内容は大きく異なります。
大型トラックの運転には大型自動車運転免許は必須で、けん引免許をもっていることでより仕事の幅が広がるのです。
女性が大型ドライバーになるメリット・デメリット
女性が大型ドライバーになることによるメリット・デメリットについてみていきましょう。
メリット
女性が大型ドライバーになるメリットを4つご紹介します。
気配りが歓迎される
女性は男性が気づかないところへの目配り・気配りができます。
仕事をきめ細やかにすることで取引先からの評価も高くなるでしょう。
体を動かすことができる
大型トラックドライバーの仕事は、デスクワークと違って体を動かす機会が多いです。
もちろん大型トラックを運転しているときはあまり体を動かしていませんが、
荷積み・荷下ろしのときは体を動かすことになりますし、ときには重いものを動かさなければならないときもあります。
このように体を動かすことが好きな女性にとって大きなメリットといえるでしょう。
運転好きにとって天職
働くうえでお給料はもちろん大切ですが、やりがいも大切です。
もしあなたが運転好きなのであれば大型トラックドライバーは天職であり、
やりがいを感じながら仕事することができるでしょう。
運転やドライブ、初めての地域に行くのが好きな人にとって大型トラックドライバーはピッタリです。
女性客に安心感を与えられる
取引先で応対してくれる社員が女性の場合もあります。
女性社員にとって男性の大型トラックドライバ―は少し怖いと感じる方も少なくありません。
大型トラックドライバ―が女性であることで、取引先の女性社員に安心感を与えることができるのです。
デメリット
メリットがある一方で、以下の4つのデメリットがあげられます。
体力仕事中心である
前述で大型トラックドライバーの仕事は運転時間が長いことに触れましたが、
運転中は座っているとはいえども、知らない間に体力が消耗するものです。
トラックが大きい分、周囲にも十分な配慮をしながら運転をしなければいけませんので、意外と疲れます。
実際に休憩をするためにトラックを降りたときに、ドッと疲れを感じるときもあるほどです。
それに加えて荷積み・荷下ろし作業がありますし、
深夜に走行するとなると睡眠時間も不規則になるため、より一層の体力が求められます。
生物学的に女性は男性より筋力が劣る傾向がありますので、しんどさを感じるでしょう。
拘束時間が長い
2024年4月1日より、働き方改革関連法が改正され、ドライバーの時間外労働に上限が設けられます。
つまりこれまでのように時間外労働に制限がない状態ではなくなりますので、拘束時間は短くなるかもしれません。
とはいっても大型トラックドライバー不足の影響などにより、拘束時間が長い状況は今後も続くと思われます。
拘束時間が長くなると、前述のように体力が求められたり生活リズムが不規則になりますので、
女性あっても男性と同じく十分な体力を備えておかなければなりません。
女性用トイレが少ない
大型トラックドライバ―は男性の割合が非常に高いことから、取引先に女性用トイレが設置されているところが少ないです。
取引先に到着する前に、高速道路であればサービスエリアなどでトイレを済ませる、
コンビニで大型トラックを駐車できるところがあれば、そこでトイレを済ませるなど、
取引先に女性トイレはない前提で行動する必要があります。
仕事を休みにくい
モノを輸送する日や時間は運送会社によって決められますが、
仕事を休むとなっても代わりのドライバーがいないことがほとんどです。
保育園に預けている子どもが熱を出したため迎えに行かなければならないとなっても、
仕事を中断して迎えにいくことは不可能でしょう。
また生理がひどいときであっても代わりのドライバーがいない場合は休みにくいのが現状です。
女性の大型ドライバーの給与事情
大型トラックドライバ―になるとしても、お給料がどれくらいなのかが気になるところです。
お給料については、1985年に施行された男女雇用機会均等法により、性別で給料の差をつけてはならないことになっています。
ここでは具体的に大型トラックドライバ―の給料についてみていきましょう。
月給はどのくらい?
厚生労働省の『賃金構造基本統計調査・令和3年賃金構造基本統計調査・一般労働者職種』
からの試算では、大型トラックドライバーの平均年収は約463万円です。
月給に換算すると約35万円となります。
国税庁の『令和3年分民間給与実態統計調査』によると、日本の平均年収は約443万円ですので、
大型トラックドライバ―は平均より少し高い給料水準であるといえるでしょう。
手当はどんなものがあるの?
一般に、大型トラックドライバ―には以下のような手当が設けられています。
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無事故手当と皆勤手当は、労働基準法により定められた手当ではありませんので、支給金額は運送会社によって異なります。
ボーナスは?
厚生労働省の『賃金構造基本統計調査・令和3年賃金構造基本統計調査・一般労働者職種』
からの試算では、大型トラックドライバーの平均ボーナスは約38万円です。
月給×1カ月分が支給されているのが一般的と考えましょう。
女性で大型ドライバーの仕事をする際の注意点
女性で大型トラックドライバ―の仕事をする際の注意点には、以下のようなものがあります。
力仕事する場合がある
基本的に大型トラックに積載するものは大きくて重たいものですので、
ドライバーが手作業で荷積み・荷下ろしすることはありません。
ただ家具や家電など、フォークリフトなどが使用できない場合は手作業になる場合は力仕事になることを知っておいてください。
職場は女性が少ない
大型トラックドライバ―は男性中心ですので、女性の仲間が少ないです。
勤務先によっては女性はいないことも考えられるでしょう。
男性ばかりの職場が苦手な場合は、採用面接時に運送会社に確認しておいてください。
女性で大型ドライバーが向いている人はどんな人?
以下のような女性は、大型トラックドライバ―に向いているといえます。
▢体力に自信がある
長距離走行できる体力、重いものを荷積み・荷下ろしできる体力があるかがポイント
▢運転が好き
大型トラックドライバ―は長距離走行が基本であるため、運転が好きかどうかがポイント
▢男性とのやり取りが苦手ではない
男性中心の職場であるため、男性とうまくコミュニケーションがとれるかがポイント
ぜひ、自分に向いているかチェックして確認してみましょう。
女性で大型ドライバーに向いていない人はどんな人?
一方で、以下のような女性は、大型トラックドライバ―に向いていないといえるでしょう。
自己管理ができない
大型トラックドライバ―は長距離走行が基本ですので、体調管理ができない人には向いていません。
一度、輸送のために出発すると数日間帰ってくることができない場合もありますので、
自己管理がきちんとできる必要があります。
コツコツ稼ぎたい
前述のように大型トラックドライバ―の給料は日本の平均給料よりは高いですが、一度に高収入を見込める仕事ではありません。
コツコツした収入にはなりますが、手当などを複数もらいながら収入を得ていくと大きな収入になっていきます。
女性で大型ドライバーの仕事を探す方法を紹介!
大型トラックドライバ―の仕事を探す方法には以下のようなものがあります。
また、運転ドットコムでも大型トラックドライバ―の求人はたくさんありますので、ぜひご覧ください。
ネットで探す
運転ドットコムのようにネットから、女性の大型トラックドライバ―の求人は豊富に掲載されていますので、
1件ずつ内容をみていきましょう。
ハローワークで探す
各地域に置かれているハローワークで、大型トラックドライバ―の女性採用の求人情報が豊富にあります。
ハローワークは希望する運送会社との連携もサポートしてくれます。
求人情報誌で探す
求人情報誌ではジャンル別に求人が掲載されています。
大型トラックドライバ―の求人も掲載されていますので、自分に合った運送会社があるかをみてみましょう。
女性で大型ドライバーの人の体験談を紹介!
実際に大型トラックドライバ―として働いている女性の体験談を、今後の参考になさってください。
~ケース①~Aさん・32歳の場合
Aさんは独身で、がっつり稼ぐことができる大型トラックドライバ―に就職。
身長も150cm台と低いですが、大型トラックドライバ―の運転に身長は関係なく、日々運転に励んでいるとのことです。
周りにも女性ドライバーがいて、仲間たちとの交流を楽しんでいるそうです。
~ケース②~Bさん・43歳
Bさんは大型トラックドライバ―をしていますが、睡魔が強敵と感じています。
睡魔がきたときは素直に仮眠をとるようにして事故なく、業務を進めているとのことです。
ガムをかんだり、好きな歌を歌ったり、さまざまな睡魔対策をしているそうです。
まとめ
女性の大型トラックドライバーに実情について、理解が広まりましたでしょうか。
大型トラックドライバ―は男性社会であるため、女性が働きにくい環境が改善されていない部分も少なくありません。
一方で、女性が大型トラックドライバ―として働くことでのメリット・デメリットについてもご紹介しましたので参考になさってください。
本記事を参考に、女性の方で大型トラックドライバ―として活躍されてみてはいかがでしょうか。