車で走行しているときに、目の前のタクシーが急に停車したり、
車線変更をしてきた経験はありませんか。
タクシー運転手はお客様を有償で運んでいる、
いわばプロの運転手のはずが、なぜこのような危険運転に及ぶのでしょうか。
本記事では、タクシー運危険運転の実例や現状、
逮捕例やタクシー運転手の心理について詳しく解説します。
タクシーの危険運転の現状について
タクシー運転手の危険運転の現状については、
以下のように複数のデータをみることで見い出すことが可能です。
・走行台キロ当たりの交通事故率は「普通乗用車の1.5倍以上」
(出典:土木学会論文集「各種の道路交通暴露度指標を活用した 交通事故率の分析」)
・走行距離1億キロあたりの交通事故件数は「トラックの約4倍、乗合バスの6.7倍」
(出典:国土交通省「事業用自動車の交通事故統計(令和3年版)[第1分冊]」)
・タクシー走行距離1億キロ当たりの「事故件数が空車時が実車時の2.5倍」
(出典:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会報告書(平成30年度)」)
・業態別の交通事故第1当事者の年齢分布において「タクシーは60歳以上の事故割合が圧
倒的に多い」
(出典:国土交通省「事業用自動車の交通事故統計(令和3年版)[第1分冊]」)
・重大事故を起こした運転手年齢と健康起因の事故年齢は「65歳以上圧倒的多数」
(出典:国土交通省「自動車運送事業用自動車事故統計年報 (自動車交通の輸送の安全にかかわる情報)[令和3年][第2分冊]
・事故第1当事者運転手の平均年齢が高く「平均62.7歳」
(出典:国土交通省「自動車運送事業用自動車事故統計年報 (自動車交通の輸送の安全にかかわる情報)[令和3年][第2分冊]
・事故類型別交通事故件数「他者との事故が5,334件と最多約75%」
(出典:国土交通省「事業用自動車の交通事故統計(令和3年版)[第1分冊]」)
・タクシーの法令違反別交通事故件数の割合「圧倒的に安全不確認2,849件が多い(約40%)
(出典:国土交通省「事業用自動車の交通事故統計(令和3年版)[第1分冊]」)
例えば「各種の道路交通暴露度指標を活用した 交通事故率の分析」では、
2010年の交通事故率が、普通乗用車の場合で約100件/億台キロ対して、
タクシー・ハイヤーが約160件/億台キロとなっているように、
タクシー・ハイヤーのそ走行台キロ当たりの交通事故率は
普通乗用車の1.5倍以上となっています。
また歩行者事故、自転車事故では、普通乗用車の場合で約25件/億台キロ対して、
タクシー・ハイヤーが約70件/億台キロとなっているように、
タクシー・ハイヤーのそ走行台キロ当たりの交通事故率は
普通乗用車の2倍以上となっているのです。
【実体験】タクシーの危険運転の実例を紹介
実際にタクシーの危険運転にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここではタクシーの危険運転の実例をご紹介します。
危険運転①急な車線変更
タクシー運転手が流し営業をしている際、
歩道で手を挙げてタクシーを停めようとするお客様がいた場合、
第2車線を走行していても、急に車線変更をして第1車線に入ってきて
お客様を乗せようとします。
急な車線変更だけでなく、お客様を乗せるために停車するわけですから、
後続車からすると急停車をしたり、追突してしまう危険性があるのです。
危険運転②実車時のノロノロ運転・急な右左折
お客様を乗せて走行している実車時の場合、
お客様が指定する場所でタクシーを停めなければなりません。
そのためタクシー運転手はスピードを落として走行することがあります。
またお客様から急に「次の角を左に曲がって」と言われた場合、
ウインカーをつける間もなく左折する場合もあるのです。
お客様のためとはいえ、後続車や周りを走行している車にとっては
非常に危険で迷惑な運転であるといえます。
危険運転③急加速・急減速する
実車中でない場合のタクシーが急加速する理由としては、
どの車よりも早く発進して、お客様の乗せようとしています。
一方、実車中にも急加速・急減速するタクシーがありますが、
それはお客様の指示によるものです。
お客様に「急いでるから!」と言われると、どうしても急発進してしまいますし、
急いでいる中で信号が赤になれば急減速して止まらざるを得ません。
また急加速・急発進することで、急いでいるお客様に対して、
タクシー運転手がお客様へアピールしているのも一理あるのです。
危険運転④ハザードランプをつけているのに停車しない
タクシーが実車中にハザードランプをつけるということは、
お客様を降車させるということです。
しかしハザードランプをつけているのにも関わらず、
なかなか停車しないタクシーを見かけます。
これはお客様が指定した目的地に到着したため、
タクシー運転手はハザードランプをつけましたが、
お客様が「もう少しまで走って!もうちょっと!」と言いながら、
さらに進ませようとしているのです。
後続車からすると「どこで停まるつもりなんだ」とイライラしますが、
タクシー運転手も停車させたくてもさせられない状況になっている場合があります。
危険運転をするタクシー運転手の心理とは?
危険運転をするタクシー運転手は、以下のような心理で危険運転をしています。
実際のタクシー運転手の体験談については、
運転ドットコムの下記の記事にも記載していますので、
合わせて参考になさってください。
タクシー運転手がきついと言われる理由5選!タクシー運転手の魅力は?体験談も紹介!
心理①とにかくお客様を乗せたい!
都市部であるほど、タクシーの台数が多いため、
流し営業ではお客様の取り合いになります。
そのため信号が青になると同時に急加速することもあれば、
走行時にお客様をみつけた場合に、急な車線変更、急停車をするのです。
とにかくお客様を乗せたいという気持ちはわかりますが、
周囲の車に危険を及ぼしていることを十分に理解しなければなりません。
心理②お客様の言うことを聞かなけれならない
日本では「お客様は神様」といった名残りがあることから、
タクシー運転手もお客様の指示に従ってタクシーを走らせていることがほとんどです。
もしお客様の言うとおりに走らなければ、
危害を加えられる可能性もゼロではありません。
しかしタクシーは公道を走っており、
道路交通法を遵守しなければならないのが最優先です。
お客様第一という心理より、
交通ルールを守って走行することをお客様に理解してもらう必要があるでしょう。
タクシーの危険運転の逮捕例
タクシーで危険運転をしてしまったがゆえに、逮捕された事例についてみていきます。
逮捕例①あおり運転
2023年、東京都江東区で乗用車が赤信号で停車しようとしたため、
タクシー運転手が右側から追い抜いて通報されました。
ドライブレコーダーをみると執拗にあおっていることがわかり逮捕となりましたが、
実際は交差点安全進行義務違反で2点、9,000円の違反金の支払いで済みました。
厳罰は免れたものの、あおり運転は決して許される行為ではありません。
逮捕例②ひき逃げ
2023年3月、大阪市生野区でタクシー運転手が成人の男女3人を相次いではね、
うち女性1人が死亡、別の女性は意識不明の重体、男性は軽傷を負いました。
タクシーは現場から逃走し、約600m先の原付バイクと衝突、さらに逃走し、
付近の植え込みに突っ込んでタクシーは停止しました。
タクシー運転手は逮捕されましたが、どのような状況であっても
事故を発生させた場合は被害者の救護および110番・119番通報を忘れてはなりません。
逮捕例③アクセル・ブレーキの踏み間違い
2024年5月、福岡市中央区の繁華街で、タクシーが歩行者に突っ込み、
7人が重軽傷を負いました。
タクシーに乗っていた乗客2名も軽傷を負っています。
タクシー運転手(74歳)は過失運転致死傷の疑いで書類送検されました。
アクセルとブレーキの踏み間違えで発生した事故ですが、
人の命を預かる仕事をしている以上、より運転操作には注しなければなりません。
まとめ
タクシー運危険運転の実例や現状、逮捕例やタクシー運転手の心理について、
ご理解深まりましたでしょうか。
タクシー運転手が危険運転をしている理由にはさまざまなものがありました。
しかし道路交通法を遵守しなければならないのは当然ですし、
お客様の命を預かっている仕事であることを忘れてはなりません。
本記事を参考に、タクシー運転手の危険運転の実情について、
知っていただければ幸いです、