街なかや郊外など、さまざまなところで必要とされるタクシー。
タクシー運転手は地域の地理を駆使しながらお客様を運んでいますが、
タクシー運転手の仕事はきついと言われます。
実際にタクシー運転手の仕事はどのような面できついのでしょうか。
本記事では、タクシー運転手がきついと言われる理由や、
タクシー運転手の魅力・体験談について詳しくご紹介します。
タクシー運転手がきつそうと言われる理由5選!
タクシー運転手の仕事はきついと言われますが、その背景にはどのような理由があるのかみていきましょう。
理由①休日が取りにくい
タクシー運転手は休日が取りにくいと思われがちですが、タクシー運転手は働き方改革関連法に基づき、
過重労働を防止するために、1カ月の労働時間は決められています。
日勤は288時間以内、隔日勤務は262時間以内となっていますので、
タクシー運転手が休日が取りにくいということはないでしょう。
厚生労働省「ハイヤー・タクシー業における働き方改革について」によると、
タクシー運転手の残業時間は21時間となっており、
バス運転手の39時間、大型トラック運転手の45時間と比較すると残業時間が少ないです。
2024年4月1日より、タクシー運転手の残業時間の上限規制がかかるため、
これまで以上に休日が増えることが期待されます。
タクシー運転手は1回の勤務時間が長いですが、
勤務後は9~11時間の「明け番」(休息日)に入り、約1日休むことができるのです。
このように、タクシー運転手は休日が取りにくいと言われますが、
言われている以上に休みが多いことを知っておいてください。
理由②お客様とのトラブルが多そう
タクシー運転手とお客様とのトラブルで考えられるのは、
お客様が望んでいたルートで行先に向かわなかった際のクレームであったり、
お酒を飲んでいるお客様とのトラブルです。
ただこれらのトラブルに対して、各タクシー会社はドライブレコーダーの搭載、
防犯仕切板、防犯カメラ、GPSの搭載などで、経緯の録画を行なうなどの対策を図っています。
最近では女性タクシー運転手が増加していることから、より上記の対策はより進められており、
タクシー運転手を守るための対応がなされているのです。
理由③年収(給与)が安そう
タクシー運転手は歩合制であることが多いことから、
仕事に慣れていない人は給与が安そうと感じておられます。
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「タクシー運転者賃金・労働時間の現況」、令和4(2022)年賃金構造基本統計調査では、
令和3(2021)年のタクシー運転手の平均年収が約280万円となっています。
一方、大型トラック運転手の平均年収は約464万円、小型・中型トラック運転手の平均年収は約433万円、
バス運転手の平均年収は約405万円ですので、他の仕事と比較すると年収を低い傾向です。
安定した給与を求める場合は「固定給」を選択するべきですし、
頑張った分だけ給与に反映されたい場合は「歩合給」の仕事を選びましょう。
タクシー運転手の中には、歩合制であるがゆえに、平均年収を大きく超えた収入を得ている運転手もいます。
中には年収1,000万円以上稼ぐタクシー運転手もいますが、
そのような運転手は以下のことに留意して業務にあたっていることも参考になさってください。
・渋滞情報を常にキャッチし無駄な時間を省く
・お客様を降ろした場所の近辺で次のお客様を乗せる
・タクシーを探しているお客様が多い道を通る
・タクシーアプリでどの地域からの依頼が多いか知っておく
理由④地理的に覚えなければいけないことが多そう
タクシー運転手はお客様を目的地に運ばなければならないため、お客様に言われた場所は知っていて当然です。
以前はタクシー会社を中心とした地理について、タクシー会社がテストをしていたこともありました。
近年ではカーナビが普及していることから、
お客様に指定された場所もカーナビに入力して走行することも日常になっていますので、
地理的に覚えなければいけないことが多い状況ではなくなったのです。
しかしベテランのタクシー運転手は、カーナビが指定する道ではなく、
ときに自身の経験を活かした抜け道などを駆使しながら目的地に到達しています。
経験年数を重ねるにつれてカーナビに頼ることは少なくなりますし、自然と地理的なことは頭に入ってくるでしょう。
理由⑤経験がないときつそう
前述のようにタクシー運転手は、
経験年数を重ねることでカーナビに頼らなくても最善の道を選ぶことができますので、
たくさんの経験があったほうが良いでしょう。
ただベテラン運転手とよばれる人にも、未経験の時代がありました。
タクシー運転手になった当初は、ベテラン運転手のように道も駆使できていなかったに違いありません。
また接客に関しても経験を重ねることで上達していくものです。
経験がないときつそうというのはもちろんですが、仕事をしながら業務に慣れていくことで、
お客様から評価される運転手になれるでしょう。
ちなみに厚生労働省「タクシー業界まるわかりHANDBOOK」によると、
タクシー運転手として働いている人の70%が未経験からスタートしています。
基本的にタクシー会社は未経験者を歓迎していますし、社内の研修制度も整っていますので安心してください。
上記で給与について紹介しましたが詳細について下記の記事でも紹介しておりますので是非ご覧ください。
タクシー運転手の平均年収・給料は約300万円。歩合制の仕組みを紹介
タクシー運転手の魅力って?
タクシー運転手の仕事にはさまざまな魅力があります。
仕事の魅力を知るほど、タクシー運転手になりたいと思う方が増えるのではないでしょうか。
ここではタクシー運転手の魅力についてみていきましょう。
仕事内容ではどうなのか?
タクシー運転手の仕事内容では、以下のような場面で魅力を感じることができます。
仕事内容の魅力①たくさんの出会いがある
1人のタクシー運転手が1年間に乗せるお客様の数は、5,000人程といわれています。
1年間でこれだけの人と出会う職業は、他に少ないでしょう。
乗車中にまったく会話がないお客様もいれば、会話が弾むお客様もいます。
ときには有名人を乗せることもありますので、
日頃からさまざまな話題に興味をもち、色々な話題についていける用意をしておくといいでしょう。
このようにたくさんの人と出会うことができるところが、タクシー運転手の魅力といえます。
仕事内容の魅力②地理に詳しくなる
タクシー運転手の経験を重ねていくと、渋滞ポイントや交通量の多いポイントが見い出せます。
「お客様を早く・安全に運ぶためにもっと適切な道はないか」と道路を研究していくことで地理に詳しくなれます。
地域の土地勘をもつことでお客様を早く運ぶことができるだけでなく、
新たな地名を知ることもできますし、新しい道路を新規開拓していく中で、
これまで知らなかった飲食店を発見することができます。
タクシー運転手の多くは、勤務時間中は外食していますので、
新しい飲食店を知ることで、勤務時間中の楽しみが増えるでしょう。
仕事内容の魅力③自分のペースで仕事ができる
タクシー運転手は、ずっと会社にいるのではなく、勤務時間中のほとんどは外でタクシーに乗っており、
どこを走行していても問題ありません。
お客様を乗せていないときは勤務時間中ではありますが自分の時間です。
デスクワークのように、ずっと同じ場所で働くのが苦手な人にとっては適している仕事といえるでしょう。
仕事内容の魅力④運転技術の高さが維持できる
タクシー運転手は、週に50時間程度運転していることから、運転技術は確実に高くなります。
運転技術が衰えなければ、一般的な定年年齢を超えても働くことができるのです。
日頃から運転技術を高め、維持するためにも交通ルールを遵守した安全運転に努めましょう。
給料面での魅力は?
前述で、令和3(2021)年のタクシー運転手の平均年収が約280万円であるとご紹介しました。
タクシー運転手の給料形態は歩合制であることが多いです。
つまり基本給は用意されていますが、プラスアルファ分は自身の売り上げにかかっています。
どうすればお客様をたくさん乗せられるのかは、タクシー運転手としての業務経験を重ねることでみえてきます。
前述で年収1,000万円を超えるタクシー運転手もいるとお伝えしましたが、
そのタクシー運転手は効率よくたくさんのお客様を乗せているのです。
休日面での魅力は?
前述では、タクシー運転手は休日が取りにくいことに触れましたが、
隔日勤務の場合は出勤日に2日分働くことになります。
大手タクシー会社では、月に11~12日の出勤としているところが多いことから、
月18日は休みとなり、会社によっては4連休が月2回取れるところもあるのです。
これだけ休みがあると自分の時間が確保できるほか、さらに稼ぎたい人は副業で収入を得ることもできます。
タクシー運転手が向いている人・向いていない人の特徴
上記でタクシー運転手の仕事内容や給料など、さまざまなことをお伝えしてきました。
中にはタクシー運転手になりたいとお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここではタクシー運転手に向いている人・向いていない人の特徴についてご紹介します。
向いている人の特徴
タクシー運転手に向いている人の特徴には、以下のようなことが挙げられます。
▢運転が好きな人
タクシー運転手は、長時間タクシーを運転しますので、長時間の運転が苦ではなく、
運転が好きな人に向いているといえます。
▢集中力がある人
タクシー運転手はお客様の大切な命をお預かりして業務をしているわけですから
運転に集中できる人でなければなりません。
▢相手のことを読み取れる人
前述のように、タクシー運転手は1年間で5,000人程のお客様を乗せるといわれており、
乗せたお客様がどのような方なのかを読み取って接客することが大切です。
▢コミュニケーション能力が高い人
タクシー運転手は、ときにお客様と接客・会話をするときがありますので、
さまざまなお客様と話しができるよう、幅広くアンテナを張りながら話題を仕入れておく必要があります。
▢気配りができる人
基本的にお客様はタクシー運転手の後ろに乗っており、お客様の様子がつかみにくいところもありますが、
終始お客様に気配りしながらサービス応対できなければなりません。
▢自己管理ができる人
タクシー運転手は夜勤をするときもあり、生活が変則的になるときがありますので、
しっかりと自己管理できる人が向いているといえるでしょう。
向いていない人の特徴
続いて、タクシー運転手に向いていない人の特徴についてご紹介します。
運転が好きではない人
タクシー運転手の仕事は、車を運転することがメインですので、
運転が好きでない人には向いていない仕事といえるでしょう。
注意力が散漫な人
タクシー運転手は、お客様を乗せているときはもちろんのこと、
お客様を乗せていないときも、車を走らせているときは集中して運転しなければ事故を起こしてしまいます。
1人の時間が苦手な人
タクシー運転手は、お客様を乗せていないときは、
車内は1人ですので、1人の時間が苦手な人にとっては苦痛に感じるかもしれません。
人に気遣いしすぎてしまう人
サービスとしてお客様に気遣いすることは大切ですが、
あまり気遣いしすぎてしまうと疲労が重なってしまい、業務に支障をきたしてしまいます。
短気な人
短気な人は運転が荒っぽくなりがちですし、お客様とトラブルになりがちですので、
タクシー運転手に向いていないといえるでしょう。
現役タクシー運転手に聞いた体験談!
最後に、現役タクシー運転手に聞いた体験談についてご紹介します。
~ケース①~ Aさん/男性/60代/勤務歴1年目
転職でタクシー運転手になったAさんは、タクシー会社の研究期間に、
2種免許を取得するために教習所に通うところからのスタートでした。
その後も地理試験や接客の仕方を学ぶなど、多くの研修を重ねたうえでタクシー運転手になったのです。
タクシー運転手になるまでは苦労の連続だったAさんですが、
仕事を覚えていく度にやりがいを感じるようになり、
今では同年代の仲間ができたことにも嬉しさを感じているようです。
平日に休みが取りやすいため、仲間と遊びにいったり、その間も話題が尽きないそうです。
タクシー運転手は高齢者であっても就くことができる仕事ですので、楽しい老後を送りながら仕事に励んでいます。
~ケース②~ Bさん/男性/40代/勤務歴5年目
Aさんと同様にBさんも転職からタクシー運転手になりました。
最初はお客様からお叱りを受けることもあったそうですが、
ほとんどのお客様は親切にしてくれるそうで、徐々にやりがいを感じるようになったそうです。
とくに深夜割増料金が適用される22~翌5時は、仕事をすればするほど売り上げが伸びていき、
こんな楽しい仕事はないと思うほどになりました。
Bさんが努めているタクシー会社では、Bさんの単純計算にはなりますが、
10,000円の売り上げで自分の収入が6,000円程になるようで、高収入を得ています。
Bさんは運転が好きということもあり、タクシー運転手が天職と感じているとのことでした。
~ケース③~ Oさん/男性/30代/勤務歴1年目
2種免許をもっていない状況でタクシー会社に就職したOさんですが、
タクシー会社の補助で2種免許を取得することができました。
2種免許を取得する際は研修中の扱いでしたが、給料は満額で支払われており、
寮完備だったため、かなり安い家賃で住めたそうです。
ただ歩合制の仕事であるため、給料に満足がいかなかったとのことです。
またOさんには接客業が合わなかったことも、仕事がきついと感じた要因でした。
まとめ
タクシー運転手の仕事がきついと言われる理由について、ご理解が深まりましたでしょうか。
タクシー運転手がきついと言われる理由が複数ありましたが、本記事では実態についても合わせて解説しています。
一方で、タクシー運転手の仕事には魅力を感じるところもたくさんありました。
タクシー運転手の仕事に就きたいと思われた方は、
本記事の「タクシー運転手に向いている・向いていない人の特徴」についてご一読ください。
実際にタクシー運転手の仕事をしている方の体験談はきっと役に立つことでしょう。
本記事を参考に、タクシー運転手の仕事について知っていただき、就職や転職を考えてみてはいかがでしょうか。