ドライバーの仕事では、日頃の業務内容について定期的に評価が行なわれる場合があります。
評価制度の項目は会社企業によりさまざまです。
実際にドライバーの評価制度を採用している会社企業がありますが、評価制度にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
本記事ではドライバーの評価制度について詳しく解説していきます。
ドライバーの評価制度ってなに?
ドライバーの評価制度とは、会社企業の方針・指針に基づいてドライバーを評価する制度のことをいいます。
評価制度の意義としては、会社企業によっては評価制度の結果をもとに給与やボーナスが決まるのです。
その他の意義として、評価制度は金銭的なことだけでなく、
評価が高いと社内表彰されたり、優良ドライバーとして社内広報で発表される場合もあります。
また評価制度があると、ドライバーのモチベーションが上がったり、
目標達成により意欲向上につながることも意義の1つといえるでしょう。
このようにドライバーの評価制度にはさまざまな意義があるといえるのです。
ドライバー評価制度の項目について紹介!
ドライバーの評価制度の項目は会社企業によってさまざまです。
以下はドライバーの評価制度の項目の一例になります。
評価項目 | 具体的内容 |
業務ミス | 伝票・荷物チェック・受け渡し時間の厳守・受領書の提出 |
業務姿勢 | 社内規則の遵守、服装・みだしなみの徹底、挨拶の徹底、報告・連絡・相談の徹底、会議への出席 |
無事故運転 | 交通規則の遵守、商品事故の皆無、ミス・クレームの即時報告とその対応 |
経費節約 | 高速代や燃料の節約、車の修繕費の節約 |
デジタコ管理 | 法定速度の遵守、急発進・急加速・急停止禁止の遵守、アイドリングストップの遵守 |
車の管理 | 運転前の点検実施、整理整頓・清掃・清潔、タイヤ管理 |
上記以外の項目については、以下の6つのものがあります。
働く意識の高さ
働く中で、法令や時間を守るのは当然のことですが、これらが遵守できているかが評価対象になります。
また上司や先輩の指示を理解しているか、お客様に満足のいく働きができているかも評価対象になるのです。
ビジネスマナー
ビジネスマナーは、適切な敬語の使用、制服の着用、明るい挨拶、礼儀をもった接客対応が基本です。
日頃から社会人として他者と適切な接し方ができているかが重要なポイントとなります。
責任感
仕事を最後までやり遂げる責任感は社会人として強く意識しなければなりません。
仕事を最後までやり遂げることはもちろんのこと、仕事に失敗した場合は自分で責任をもって解決する行動が求められます。
責任感をもって仕事をすることで、真面目さや誠実さが他者にも伝わり、高く評価される傾向があるのです。
円滑なコミュニケーション
前述で業務姿勢の1つとして、報告・連絡・相談が成立している必要があるとお伝えしました。
それ以外のコミュニケーションとしては、適切に上司や同僚と関わりながらコミュニケーションが図れているか、
相手の心情に配慮し、適切な態度・言葉遣いで会話ができているかが重要なポイントです。
良好な人間関係が構築されているほど、円滑に仕事が進められる傾向が強いことから、高い評価を得られることが多くあります。
チャレンジ精神が旺盛か
仕事は改善や工夫を重ねながら効率を図る必要があります。
その他、必要性のある仕事を積極的に進めていることや、
仕事を成功させるために自己啓発に取り組んだり、他者の仕事ぶりでいいところを参考にしているなど、
仕事のためにさまざまなことにチャレンジしていることが評価につながるのです。
自分を磨き、お客様のために行動する姿が評価の対象になります。
自分で考える力を有しているか
仕事は何事に対しても「考える力」が必要です。
仕事を成功させるためにはどうすればいいか、お客様が満足しなかった場合はどのように対処すればいいかなど、
考える力があるからこそ、お客様が満足のいく仕事ができます。
とくにトラブルが発生した際にどのような対応をするかを考え、行動するのが重要になるでしょう。
考える力を発揮し、仕事に対応している姿は高く評価されることになります。
ドライバーの評価制度のメリット・デメリット
ここまででドライバーの評価制度がどのようなものなのかがご理解できたと思います。
ドライバーの評価制度を導入することで、ドライバーや会社企業にどのような影響があるのでしょうか。
ここではドライバーの評価制度のメリット・デメリットについてご紹介します。
ドライバ―評価制度のメリット
ドライバーの評価制度を導入することで、以下の6つのメリットがあります。
・ドライバーのモチベーションが高くなる
・会社企業の評価が高くなる
・生産性が高まる
・会社企業の理念が浸透する
・人材育成に役立つ
・コミュニケーションの機会が増える
ではこれらのメリットについてみていきましょう。
ドライバ―のモチベーションが高くなる
ドライバーの評価制度が導入されることで、ドライバーは仕事の成果が適切に評価されることになります。
人は褒められたり、高い評価を得ることでモチベーションが高くなるものです。
評価制度が導入されることで、ドライバーは高い評価を目指して頑張りますし、
頑張っても評価されないから頑張らないでおこうという状態もなくなります。
評価制度の結果が給料に反映されるとなると、ドライバーの意欲はより一層高まるでしょう。
会社企業の評価が高くなる
前述のように、ドライバーの評価制度を導入することで、ドライバーのモチベーションが高くなることがわかりました。
ドライバーのことをきちんと評価してくれる会社企業に対して、ドライバーは信頼感が高くなります。
ドライバーの信頼感が高くなると、より会社に貢献しようという気持ちが芽生えてくるものです。
またドライバーが意欲的に働くことで、取引先やお客様の評価が高くなります。
このようにドライバーの評価制度を導入すると、さまざまなところで相乗効果が生まれるのです。
生産性が高まる
ドライバーは評価制度で高い評価を得るために、仕事に対してより真剣に向かい合うでしょう。
高い評価を得るためには、これまでと同じ仕事を継続させてはいけません。
効率よく仕事をする方法を模索したり、無駄な仕事を省いたりすることで、仕事の生産性がどんどん高まります。
生産性の高い仕事をすることで評価制度での評価が高くなり、
再び次の高いレベルをしようと模索を始めていくことで、さらに生産性は向上するのです。
会社企業の理念が浸透する
ドライバーの評価制度を導入する際に、会社企業がドライバーに「会社企業の理念」を示すのが一般的です。
理念を基に、どのような評価点があるのか、会社企業のビジョンはどのようなものかをドライバーが知ることになります。
評価制度を導入することで、ドライバーに会社企業の理念やビジョンが浸透していくのです。
人材育成に役立つ
評価制度を導入することで明確な評価基準が設定されることになるため、
会社企業は評価基準に基づいた人材育成を行なうことができます。
人材育成を行なうことで、よりレベルの高いサービスを取引先やお客様を提供することができるのです。
コミュニケーションの機会が増える
日頃ドライバーは上司と接する機会が少ないでしょう。
評価制度が導入されることで、ドライバーとドライバーを評価する上司との間で接点が生まれます。
評価制度では、結果の公表を直接ドライバーに伝えるのが一般的です。
結果公表の場をきっかけに、上司との接点が生まれることで信頼関係を構築することができます。
会社企業内で社員同士の信頼関係が構築できれば、社内の雰囲気も良くなりますし、業績の向上にもつながります。
ドライバ―評価制度のデメリット
ドライバー評価制度には以下の4つのデメリットがあげられます。
・手間や労力がかかる
・評価者のスキルが必要
・ドライバーのモチベーション低下が起こる可能性がある
・自社でしか活躍できないドライバーが育ってしまう
ではこれらのデメリットについて詳しくみていきましょう。
手間や労力がかかる
ドライバー評価制度は、導入が完了するまでに手間や労力がかかります。
導入にあたってはドライバーに対しての説明会を実施したり、
評価シートの作成、評価後のデータ管理など、準備しなければならないことがたくさんあるのです。
ドライバーの評価は年に1回実施が基本ですが、ドライバーの数が多いほど管理が大変になることもデメリットといえるでしょう。
評価者のスキルが必要
ドライバー評価制度では、評価者が適切な評価を行なわなければ、
ドライバーの納得がいかない評価をしてしまうことがあります。
納得がいかない評価が行なわれた場合、ドライバーの不満が募るだけでなく、
優良なドライバーが退職する可能性もあるのです。
評価者が適切な評価を行なうためには、社外で行なわれている研修に参加するなど、
評価者自身がスキルを向上させなければなりません。
ドライバ―のモチベーション低下が起こる可能性がある
ドライバー評価制度で、ドライバーが納得のいかない評価をされた感じてしまうと、モチベーションの低下が発生します。
頑張った割に高い評価が得られなかったときだけでなく、
これまでの評価が高かったがその評価が下がったときに、ドライバ―はよりモチベーションが下がってしまうのです。
評価者はドライバ―に対して、評価制度の結果公表をするだけでなく、なぜ今回の結果になったのかを明確に説明する必要があります。
次回の評価制度までにどのような取り組みをしなければいけないのかを、
評価者とドライバ―が一緒になって考えることで、評価者とドライバ―の間に人間関係や信頼関係が構築されるでしょう。
ドライバ―のモチベーションを保てる環境をつくるのも評価者の仕事であるといえます。
自社でしか活躍できないドライバ―が育ってしまう
会社企業に固執した内容の評価制度になってしまうと、
自社では活躍できるものの社外では臨機応変に活躍できない人材になってしまいます。
会社企業は自社の型にはまった評価を行なうのではなく、人間として成長が見込めるような評価をする必要があるのです。
ドライバ―評価制度に自己評価は適用される?
ドライバ―評価制度には自己評価があります。
自己評価は「自分で自分の評価する」もので、自身の業績や仕事ぶりを振り返り、良かった点や改善点を見い出すものです。
自己評価は過小評価をしても、過大評価をしてもいけません。
そのためにも周囲との評価との乖離がないかを意識する必要があります。
自己評価は適用されるのか?
自己評価は、評価者に自身の業績をアピールしたり、評価者がドライバ―を公正に評価するための役割を担っています。
自己評価をする際は、会社企業の評価基準を理解しながら、客観的事実に基づきながら具体的な数字で示すといいでしょう。
また問題点や改善点にも視野をあてながら、総合的に自己評価を行なってください。
自己評価の一例
上記では自己評価は適用されることをお伝えしました。
ここではドライバ―の自己評価の一例についてご紹介します。
<例①~長距離トラックドライバ―の自己評価~>
目的地までの距離や到着までにかかる時間を計算し、時間にゆとりをもって会社を出発するよう努めた。
交通ルールを守り、必要な休憩を取りながらトラックを走らせ、予定より早く到着することができた。
月に5~7件程、年に60~84件程配送に出向くが、この1年間で目的地への到着に遅れたことはない。
取引先も「いつも時間通りに来てくれるので助かる」とのお声をいただいている。
時間を守るなど、責任をもちながら業務を遂行することができた。
自己評価を作成する際に重要なのは「客観的に書く」ということです。
また例①のように数字を使って書くことで、より具体的な内容が評価者に伝わります。
<例②~近距離宅配ドライバ―の自己評価~>
荷物を宅配する中で、いつも同じエリアを回っているため、お客様と顔見知りになり、コミュニケーションを図ることができるようになった。
コミュニケーションが増える度に、お客様との信頼関係が構築できている。
一方で時間指定の荷物があるが、時間指定のある荷物が重なったときに、指定された時間内に配達できない場合があった。
この改善方法としては宅配に出向く前に、配達先が近いところはトラックを移動させずに、
徒歩で配達することで配達時間を短縮することができ、配達時間を間に合わせることができると思われる。
自己評価では良いことを書くだけでなく、改善点を書くことも大切です。
仕事をミスや落ち度なく完璧にこなしている人はほとんどいません。
失敗は失敗と受け止め、同じミスを繰り返さないためにどのように改善していく必要があるのかを記すことで、自身のスキル向上が図れます。
会社企業は自己評価で自身を振り返り、伸びしろがあるドライバ―を評価したいものです。
自己評価は過大評価ではなく、改善点も含んだものを書きましょう。
まとめ
ドライバーの評価制度について知っていただけましたでしょうか。
評価制度を導入することで、以下のようなメリット・デメリットがありました。
<メリット>
・ドライバーのモチベーションが高くなる
・会社企業の評価が高くなる
・生産性が高まる
・会社企業の理念が浸透する
・人材育成に役立つ
・コミュニケーションの機会が増える
<デメリット>
・手間や労力がかかる
・評価者のスキルが必要
・ドライバーのモチベーション低下が起こる可能性がある
・自社でしか活躍できないドライバーが育ってしまう
評価制度では会社企業がドライバ―を評価するだけでなく、
ドライバ―自身が自分のことを評価する「自己評価」も行なわなければなりません。
自己評価は過大評価・過小評価をせず、自身の評価を行なうもので、評価者にも自己評価を伝える必要があります。
総合的にドライバーの評価制度は、ドライバーにとっても会社企業にとってもプラスになることが多いです。
本記事を参考に、会社企業に評価され、自己評価を行ないながら、
自身のドライバ―としてのスキルや意識を向上させていきましょう。