他の業種と同様に、トラックドライバーにも定年制度があります。
「トラックドライバーは65歳以上でも働けるのか、高齢者を雇用する際は何に気を付けるべきか」などの疑問をお持ちの方もいるでしょう。
本記事では、トラックドライバーの定年制度について、法律改正についても触れながら解説していきます。
トラックドライバーの定年
トラックドライバーの定年は、会社によって異なりますが、定年が設定されていない求人も多く存在します。
ここからは、トラックドライバーの定年制度や65歳以上でも働けることを解説していきます。
定年制度
トラックドライバーの求人の中には、年齢制限がなかったり中途採用が可能なものが多く存在しています。
中卒や高卒など学歴の条件が設定されていない場合もよく見受けられます。
実際に街中でトラックの運転手を見てみると、高齢である方も多いです。
大きな会社の場合には、定年が60歳や65歳に設定されていることもありますが、中小企業の場合は定年制度が設定されていないこともあります。
しかし、定年後でも契約社員や、嘱託などの非正規雇用で働き続ける方も多く存在します。
高年齢者雇用安定法の改正とは?
60歳を超えても働き続けている方の多いトラックドライバーですが「なぜ長く働き続けることが可能なのか」という疑問を持つ方もいるでしょう。
少子高齢化が進み、人口が減少し続けている中で経済活動を促進するために、働きたいという意志のある高齢者が働き続けられるように法律が改正されています。
この法律は、高年齢者雇用安定法であり、法律が改正され令和3年4月1日から施行されています。
主な改正内容は以下のようなものです。
(1)70 歳までの 定年の引上げ
(2)定年制 の廃止
(3)70 歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 (特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
(4)70 歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70 歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
事業主は、上記のいずれかの措置をとる努力をすることを求められています。
高齢者雇用安定法は、定年の引き上げを義務付けているものではないですが、この改正によりさらに長期的に働き続けやすくなったと言えます。
引用:高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保 - 厚生労働省
65歳以上でも働けるの?
結論からお伝えすると、トラックドライバーは65歳以上でも働くことが可能です。
国土交通省の調査によるトラックドライバーの年齢構成を見てみると、全体のうち約45.2%が40~54歳の方であることがわかります。
トラックドライバーとして従事している方の平均年齢は、全職業の平均年齢と比較して約3~5歳高いことがわかっています。
これらの調査結果からもわかるように、トラックドライバーとして働いている方は高齢な方の割合が高いです。
また、60歳以上のトラックドライバーの割合を見ると全体の15%ほどあり、65歳以上でも働くことが可能だといえます。
引用:トラック運送業の現況について
タクシードライバーとして活躍する道も
ドライバーとしての仕事は、トラックドライバーだけではなく、タクシードライバーとして活躍することも可能です。
先ほど述べたように、全職業で見た場合トラックドライバーの平均年齢が3~5歳高いですが、タクシードライバーの場合は、平均よりも16.5歳高いことがわかっています。
タクシードライバーは、力仕事もなく普通車と同じサイズである場合が多いため、高齢でも負担を少なく働くことが可能です。
そのため、定年後はトラックドライバーよりも、タクシードライバーとして活躍できる可能性が高いといえます。
高齢ドライバーを雇用するのに気を付けること
トラック業界は、人手不足が問題となっており、高齢者でも採用したいと考えている方もいるでしょう。
ここからは、高齢ドライバーを雇用する際に気を付けたい点について解説します。
高齢ドライバーに配慮した安全管理
高齢者の場合は、判断能力が低下していることがあるため、事故を起こす可能性が高くなることから安全管理が必要です。
例えば高齢者が運転するトラックには、車線逸脱警報やブレーキアシストなどの装備をつけておくことで事故の可能性が減ります。
その他にも運転を補助する機能は多く開発されているため、役立ちそうなものは活用すると良いでしょう。
心身の状態変化を踏まえた健康管理の強化
運転前に体調を確認することも大切です。
高齢になると免疫力の低下や身体機能の低下から、体調不良になることが多くなります。
さらに若い方に比べて疲れやすくなっているため、疲労やストレスを感じやすいです。
そのため、心身の状態変化を踏まえた健康管理を行う必要があります。
負荷軽減
高齢ドライバーは、疲れやすくなっていることが多いため、仕事の際に負担を軽減することが大切です。
具体的な方法をいくつか以下に示します。
・運転時間(労働時間)を減らす
・長距離運転をなるべく減らす
・休憩回数を増やす
・運転前にストレッチなどをする
高齢者は、集中力や判断力が低下しているため、運転時間や長距離運転を減らすことが効果的です。
運転する際には、同じ姿勢でいることが多くなるため血流が悪くなり、集中力の低下を招くことにもなります。
そのため、運転前や休憩時にストレッチなどをして、血流をよくしておくことも負担の軽減に繋がると考えられます。
賃金制度などによるモチベーション管理
定年の前後で仕事内容が変わっていない場合でも、賃金が大きく下がることがあるとドライバーのモチベーションは下がります。
定年後に賃金が下がる際には、ドライバーに対して賃金が下がる理由などを説明し、理解を得ておくことが必要です。
また、ドライバーの活躍をしっかりと評価し、給料に反映するなどの工夫が大切です。
活躍が評価され人の役に立ったと感じることでモチベーションにつながり、仕事の効率も良くなるでしょう。
高齢ドライバーの活躍をみた、他の従業員のモチベーションにもつながるため、良い循環が生まれることになります。
高齢者を配慮した仕組みづくり
高齢者ドライバーに長く働いてもらうためには、高齢者に配慮した仕組みを作ることが大切です。
例えば高齢ドライバーにも、社内でのイベントへ参加をすすめることも良い仕組みです。
定年後も働き続ける理由として給料が欲しいというのもありますが、従業員とのつながりを理由としている場合も少なくありません。
社内のイベントなどに参加してもらい、他の従業員とのコミュニケーションをとることでチームワークの向上にも繋がるでしょう。
まとめ
本記事では、トラックドライバーの定年について解説しました。
トラックドライバーは、定年になっても働いている方が多く、大型トラックであれば力仕事も少なく高齢でも働きやすいです。
定年後は、給料が下がることも多くモチベーションが低下しがちなため、モチベーションを失わないために労働環境の工夫が必要です。
紹介した注意点を参考に、高齢者ドライバーのモチベーションを維持しましょう。