長時間運転や人手不足など様々な理由から、トラックドライバーは大変、離職率が高いと言われています。
実際、労働環境や重労働の大変さから割に合わず辞めてしまう人が少なくありません。
トラックドライバーは、「きつい」「大変そう」などといったイメージから離職率が高いのではと気になっている方も多いと思います。
本記事ではトラックドライバーの離職率は高いのか、高いと言われる理由にはどのようなことがあるのかを解説していきます。
ドライバーの離職率は高い?
トラックドライバーなど運輸業界では離職率が入職率を上回る年が多く、慢性的な人手不足で悩まされています。
厚生労働省の「学歴別の就職後3年以内離職率の推移」によると、運輸業における平均離職率は、平成31年の時点で高卒者が32.7%、大卒者が25.5%です。
運輸業では、3割近くの人が入社して3年以内に退職しています。
他の業種と比較して特段離職率が高いわけではありませんが、3割という数値は決して低くはありません。
また厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、令和2年から令和3年にかけて入職者の数が97.8千人減となっています。
全産業の中で減少幅が一番大きく、人手不足が発生しています。
出典:
厚生労働省「学歴別の就職後3年以内離職率の推移」
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」
離職率が高いと言われる理由
トラックドライバーの離職率が高いとよく耳にする理由が何であるか気になるでしょう。
人によって退職したいと感じる理由は様々ですが、代表的な理由について8つ紹介します。
勤務条件への不満
トラックドライバーは運転時間が長いため、渋滞などに巻き込まれると予想よりも長い時間労働しなければならない場合があります。
また会社によっては休日日数が少ない所もあり、勤務条件への不満から退職したいと考える人が多いようです。
その他にも残業代が発生しない日が続いたり、始業時間になっていないにも関わらず業務命令が下されたりすると社員のモチベーション低下につながります。
またトラックドライバーに限らず多くの企業では、求人票に労働時間や年間休日○○日のように記載しています。
求人票を見た時には、「条件が良いから入社したい」と感じて入社したのにもかかわらず実態が大きく異なれば、「騙された」と不満に感じてしまうでしょう。
このように勤務条件に対する不満から、トラックドライバーの離職に繋がっている可能性が考えられます。
1人での仕事が多い
トラックドライバーの仕事は配送のための荷積や運転業務が主な仕事となるため、1人での業務時間が長いです。
そのため仕事に関する悩みや不満が蓄積されていたとしても、中々上司や同僚に相談する機会がありません。
それに加え一人で仕事をすることに孤独を感じてしまい、堪えられず退職に踏み切ってしまうケースがあります。
厳しい仕事をこなしているのにも関わらず、社員同士での交流が少なければ「頑張りが評価されない」「誰も認めてくれない」とモチベーションの低下に繋がります。
体力の問題
ドライバーの仕事はただ運転するだけでなく、重い荷物を荷台に乗せ荷物を所有したまま移動しなければなりません。
そのため体力を日々削られ過労になってしまい, 疲労度から退職につながってしまうことがあります。
また重荷な荷物を運ぶことにより、腰痛や背中の痛みから辞めざるを得ない状況に陥ってしまうケースもあるようです。
若いうちは体が元気でも将来歳を重ねてからのことを考え、他業種に転職してしまうことも離職率が高い理由の一つと考えられます。
社内育成が上手くいかない
社内育成が不十分で新しく入社した社員が一連の流れを掴む前に退職してしまうことも離職率が高い原因の一つです。
ドライバーは新入りに対し、最初は上司が同行して業務を行うことが一般的です。
新人用のレギュレーションや教育プロジェクトを制作し、全てを落とし込ませるのには時間を要します。
その際、会社側が教育を全て上司に一任している場合は注意が必要です。
特に繁忙期や業務量が多い時期は、仕事を早めに終わらせるために「何をしているか観察して仕事を覚えてください」のみ伝えて自身だけで業務を行うことがあります。
不適切な教育を受けた新人は、「必要なことが覚えられない」「冷たい会社」などと感じてしまい、離職に繋がってしまいます。
向いていない
どのような職種にも向き・不向きがありますが、ドライバーの場合は一人で居ることが苦手な人や体力にあまり自信のない人にとって厳しいです。
自分があまりしたくないと感じる仕事を続けていては、当然ストレスが溜まりやすくなり離職に繋がります。
またトラックドライバーの場合、高い運転技術が求められるため運転に自信がないという方にも難しい職種です。
長時間労働
近年は働き方改革により業務時間の見直しなどがされていますが、依然として長時間労働を余儀なくされる会社は存在します。
特に長距離運転をする場合は、家に滞在できる時間が少ないため家族との触れ合いが減ることもあります。
そのためプライベートを優先させたいと感じてしまい、別業種への転職を考える人は少なくありません。
不規則な勤務
ドライバーの仕事は、オフィスワークのように実働8時間で残業があまり発生しないという会社は少ないです。
例えば始業時間になっていないのにも関わらず、上司から「荷積みをするから手伝って」と言われることも珍しくありません。
始業時間が8時、終業時間が17時など定められた働き方を望む人にとっては、ドライバーの仕事は向いていないと言えるでしょう。
事故のリスク
ドライバーの仕事は運転が主な業務であるため、交通事故などの危険性が常に伴います。
長距離の運転の場合は、長時間の運転が余儀なくされるため疲労が蓄積されて事故に繋がる可能性が高まります。
また大型トラックで重量物を運搬することが多いため、事故が発生した際の被害が大きくなることもあるでしょう。
このため職場におけるストレスやプレッシャーに繋がり、離職率を上げている可能性が考えられます。
トラックドライバーの仕事はきつい?
トラックドライバーの仕事が「きつそう」と感じたことのある人は多いと思います。
どのような場面で仕事がきついと感じるのか気になるでしょう。
ここでは、トラックドライバーの仕事はどのような時にきついと感じるのか紹介します。
腰痛がつらい
PCを普段から使用する人が腱鞘炎になりやすいようにトラックドライバーは、重い荷物を運ぶことで腰痛を起こしやすいです。
トラックドライバーとして働いている人の体験談では、特にぎっくり腰が一番つらかったようです。
ぎっくり腰は中腰で重い荷物を運んだりした際に、腰部に激痛が走ります。
荷積みや配送先に荷物を運ばなければならないトラックドライバーが、ぎっくり腰になると思うように仕事が出来なくなってしまいます。
そのためトラックドライバーとして働く際は、適度なストレッチを欠かさず行うようにする必要がありそうです。
出典:ドライバーコネクト
待機時間が長い
トラックドライバーは労働時間中における待機時間が長いため、「きつい」と感じることがあります。
例えば倉庫に空きができるまで待機命令を受けた場合、問い合わせが来る時を除き、倉庫に空きができるまで待ち続ける必要があります。
そして待機中は、仮眠を取ることもかないません。
体力的に問題があるというよりかは、待機している時間を何か別の事に利用したいというのが本音です。
人手不足
国土交通省の「トラック運送業の現況について」によると、トラックドライバーは求人募集をかけたのに対し、有効求人倍率がH30年の時点で2.76という数値がでています。
有効求人倍率は、企業の求人数÷求職者で算出されます。
そして有効求人倍率が1を上回る場合、求人に対する応募数が少ない状態で人手不足であることを示唆しているのです。
人手不足が深刻化すると一人当たりのタスク量が増加するため、その分仕事がきつくなります。
出典:国土交通省「トラック運送業の現況について」
まとめ
本記事では、ドライバーの離職率について紹介しました。
全業種と比較すると特段高いわけではありませんが、運送業の離職率は決して低くありません。
離職率を上げている原因としては、勤務条件への不満や一人で仕事をすることに耐えられないなど様々です。
またトラックドライバーの仕事は、人手不足が続いており業務過多による仕事のきつさが際立っています。
ネットショッピングの需要が増しているため、運送業界は新しい人材を確保しようと頭を悩ませています。
新しい人材を確保するためには、労働条件の改善や社員とのコミュニケーション不足解消など様々な対策を講じる必要があるでしょう。