トラック運転手の人手不足が、近年深刻化しています。
トラック運転手の人手不足の理由として、長時間労働がきついという理由や、肉体的にきつい割に給料が低い、といった理由があります。
トラック運転手は、労働時間の長さや肉体的疲労による体調不良により、労災認定される人が多いです。
そのため、労働環境がブラックであるとも言われてしまっているようです。
この記事では、トラック運転手の労働環境がブラックと言われる理由や労働環境がブラックになってしまう理由、ブラックではない良い会社を見つける方法を詳しく紹介します。
トラック運転手を目指している人や、ブラックな労働状況や環境で働いている人には必見の内容になっています。
トラック運転手がブラックだと言われる理由
ブラックな業界や企業は、長時間労働や残業代の未払いなど、働く人が働きやすい環境を整えていない場合に使われている言葉です。
ブラック企業の定義は具体的には定まっていません。
しかし厚生労働省のQ&Aでは、一般的な特徴として、労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課すといった企業のことを指します。
また、残業代の未払いやパワーハラスメントが横行している企業、コンプライアンスの低い企業で労働者を選別する企業のことを指します。
トラック運転手の労働環境がブラックと言われてしまうのには、以下のような理由があります。
■出典:厚生労働省 「ブラック企業」ってどんな会社なの?Q&A
労災の件数が多い
トラック運転手の労働環境がブラックと言われてしまう理由の1つとして、労災の取得件数の高さが挙げられます。
厚生労働省の過労死等の労災補償状況によれば、労災の支給決定件数の甥業種の1位に運輸業、郵便業、道路貨物運送業が入っています。
労災認定される人が多くないため、過酷な労働環境である事実を知り、ブラックな労働環境であると言われてしまうようです。
■出典:厚生労働省「H29年過労死等の労災補償状況」
労働時間が長い
トラック運転手の労働環境がブラックと言われるのは、労働時間の長さも挙げられます。
厚生労働省の賃金構造統計調査の結果では、トラック運転手が属している運送業の1か月平均の残業時間は28時間で、平均労働時間は198時間です。
ドライバーの平均労働時間は、他の業種や業界と比較しても高くなっています。
順位 | 業界 | 労働時間 |
1位 | 運送業 | 198時間 |
2位 | 製造業 | 184時間 |
3位 | 建設業 | 183時間 |
働く会社によって異なりますが、トラック運転手は運転や荷物の積み下ろし以外にも、トラックの清掃や整備を担う場合もあります。
勤務時間以外に掃除や整備を行う場合には、その分の作業時間も加算されるため、労働時間以外の拘束時間は長くなってしまう傾向です。
トラックの清掃や整備に関しては、会社によって違いがありますが、労働時間ではないとみなされて給料や残業も発生しない場合も多くなっています。
■出典:平成29年賃金構造基本統計調査 結果の概況
給料が低い傾向にある
トラック運転手の労働環境がブラックと言われるのには、給料が低い水準であるとの傾向も理由となっています。
順位 | 業界 | 給料 |
1位 | 金融業・保険業 | 38.9万円 |
2位 | 教育・学習支援業 | 36.6万円 |
3位 |
学術研究 専門・技術サービス |
34.5万円 |
10位 | 運送業 | 23.5万円 |
全体平均 | 31.7万円 |
厚生労働省の賃金構造統計調査によれば、トラック運転手の1か月の平均給与は23.5万円となっており、他の業界と比較しても低い水準です。
1位の金融業・保険業とは15万円ほどの違いになり、全体の平均の給料と比較しても給料の水準が低いのが分かります。
運送業は、他の業界と比較しても残業時間も多く総労働時間も多いのにも関わらず給料が低いのは、ブラックと言われてもおかしくはないでしょう。
■出典:平成29年賃金構造基本統計調査 結果の概況
なぜブラックになってしまうのか?
運送業界のトラック運転手の労働環境がブラックになってしまう主な要因は、それぞれこのような理由があります。
人材不足が深刻化している
トラック運転手は、仕事量の増加と反比例して人手不足が深刻化している現状です。
総務省が毎月行っている家計消費状況調査では、2020年5月にはネットショッピングの利用世帯が2002年以降初めて50%を突破しました。
2020年10月には50.9%になるなど、コロナ渦もネットショッピングを後押しする形となり、利用率が上がっています。
インターネット通販を利用する人が増加しているため、運ぶ荷物も増加傾向にあり、人手不足を招いてしまっています。
■出典:総務省「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について」
深夜労働が発生しやすい
トラック運転手の特に長距離トラック運転手に関しては、深夜労働が発生しやすいです。
荷物の搬入先である小売店が、朝9時の開店である場合が多いため、お店が混む時間をさけて搬入する必要があります。
そのため夜間や深夜労働が発生してしまい、不規則な勤務形態によって体調を崩して労災認定されるといった場合もあるようです。
待機時間が長い
トラック運転手は、荷主を運送業者に依頼してくる相手に対して、要望に答えなければいけないという暗黙のルールが存在します。
実際に多くのトラック運転手の負担になっているのが、会社の指示よりも荷主に現場で告げられた作業をすることです。
主な問題が荷待ちと呼ばれる「荷物を下ろす時間まで待っている時間」で、荷主や客先で4時間や5時間といった長時間待たされる場合もあります。
待機時間が長くても荷物の搬入を終えないと仮眠をとったり、帰路につけないのもトラック運転手の労働環境としてはブラックな面と言えます。
良い会社を見つける方法は
トラック運転手に就職や転職を考えている際には、ブラックな会社でないかを見極める必要があります。
入社後にブラックな労働環境の会社だったと後悔しないためにも、良い会社を見つける方法を抑えておきましょう。
古い車両が少ない
トラック運転手が細心の注意を払っているのが、交通事故やトラックの故障といったトラブルです。
事故のリスクを最小限にするためには、衝突被害軽減ブレーキや車線一脱警報装置などの安全装置が欠かせません。
安全装置は、古い車両には装備されていない場合もあります。
ある程度利益を上げている運送会社では、最新の安全装置を搭載した車両を導入しています。
しかし、利益を上げていない会社や社員を大事にしていない会社は、導入していない可能性が高いです。
安全に運転をしたいと考える人は、古い車両ばかりの会社はできるだけ避けるようにしましょう。
勤続年数が長く、離職率も低い
常にトラック運転手募集の求人を出している会社は、ブラックである可能性が高いです。
どの程度のペースで求人が出ているのか、求人に期限があるのかを確認しましょう。
エン転職やdodaといった口コミサイトを利用して、勤続年数が長い人はどれくらいなのか、離職率が低いのかを調べてから検討しましょう。
残業制度が整っている
トラック運転手を募集している会社の求人票を見ると、「残業手当あり(みなし残業100時間分)」と書かれている場合があります。
基本的に毎月最低でもそれくらいの残業があると考えられるため、ブラックである可能性が非常に高いです。
長時間労働を想定した残業代は無効になる可能性が高いため、残業した分の残業代を支払ってくれる会社を選ぶ必要があるでしょう。
まとめ
この記事では、トラック運転手の労働環境がブラックであると言われる理由やブラックになってしまう理由、良い会社を見つける方法を詳しく紹介しました。
トラック運転手の人手不足は深刻と言われており、人手不足を補うための長時間労働が多く、深夜労働をしても次の日の朝早いこともあります。
トラック運転手の就職や転職している会社が「ブラックなのかも」と気づいた人は、労働環境の整った良い会社を見つける方法を参考にされてみてください。