長距離トラック運転手の2日運行とは?1運行の時間はどれくらい?

コラム

・長距離トラックにおける2日運行という言葉の意味や定義を知りたい
・2日運行がドライバーにどのような影響を与えるのか知りたい
・2日運行に関連してドライバーが注意すべきことを知りたい

本記事では上記のような疑問を解決するとともに、「1運行」「2日運行」など運行について解説します。

 

ドライバーの求人情報はこちら

 

長距離トラックの2日運行とは?

長距離トラックドライバーを目指す上で「2日運行」という言葉を聞く方も多いかもしれません。これはどのような意味なのでしょうか。
 

1運行とは?

輸送安全規則によると、「1運行」とは「出発地点へ戻るまでの期間」を指します。具体例としては、出発点である会社から倉庫へ向かい、荷物を積み、配送を行い、帰社する時までの業務が1運行です。出発点に戻るまでの期間であるため、配送を終えた後に他の営業所に寄ったとしても1運行は継続します。運行の前に「◯日」がつくと、「2日運行」や「3日運行」と呼ばれますが、これは「1運行に◯日かかること」を指します。例えば、月曜日に出発し、水曜日に出発地点に戻る場合は「3日運行」です。この◯日運行は、トラックドライバーの長時間労働を防ぐために定められています。
 

6運行(144時間)が上限時間

輸送安全規則第3条によると、1運行につき6日運行(144時間)が上限とされています。その理由は、1運行が長期間化すると事故やドライバーの健康面におけるリスクが増加するためです。そのため、基本的に片道3日で配送先へ着けないところへは配送できません。では、もし運送時に休息や休日をとった場合は、上限時間が休息分増えるのでしょうか。答えは「いいえ」です。あくまで休息も含めた上での6日(144時間)とされているため、いくら休息を取ろうが、6日以内に出発地点へ戻る必要があります。
 

上限時間に例外がある

 

トラック運転手2日運行

 

しかし、場合によってはこの6日運行の上限にも例外(144時間にカウントされない条件)があります。それがフェリーに乗船した時間です。ここからは、フェリー乗船の例外についてと、一見例外に見えるがそうではない労働時間の特例について解説します。労働時間の特例については、休息のケースと同じように6日運行の144時間にカウントされてしまうため、フェリーの例外と混同しないよう注意が必要です。
 

【例外】フェリーに乗船している場合

まずは唯一の例外、フェリーの乗船時間についてです。フェリーの乗船時間は6日運行の時間に含まれません。なぜなら、運転している業務時間と見なされないためです。例えば、1運行で150時間かかる場合、通常は144時間を超えているため規則違反となります。しかし、フェリーの乗船時間が6時間以上あれば、運行時間は144時間以内となり、規則の範囲内です。配送先に離島が含まれるような場合は、フェリー乗船時間がどれほどになるかを検討しておく必要があります。その時間を除外して6日(144時間)に収めなければなりません。
 

【例外ではない】休息期間を分割した場合

次に労働時間の特例「休息期間の分割」についてです。トラックドライバーは継続で8時間以上の休息を取る必要がありますが、状況によっては難しい場合もあります。そのようなときに役立つ特例が「休息期間の分割」です。例えば、集荷が午前中で終わるも、納品時間に合わせるため夜に配送を行うような場合は、継続8時間以上の休息が難しいです。このケースでは、昼間に4時間、夜の配送後に6時間の休憩を取ることで労働時間の規定を守れます。ただし、休息期間を分割するためには条件があります。それが「最低でも休息を4時間は継続すること」「分割した休息時間の合計は10時間以上にすること」の2つです。
 

【例外ではない】2人乗車の場合

次に労働時間の特例「2人乗務」についてです。1人のドライバーが運転できる時間は「2日平均で9時間」までと制限があります。そのため、配送距離の長い長距離トラックでは1人の運転ですと6日運行を満たせない可能性があります。そのようなときに役立つ特例が「2人乗務」です。例えば、長距離の配送を行う際には、2人で交代しながら運転をすることで、1日の運転時間を守りつつ長距離を走れます。この場合は、1日の最大拘束時間を20時間まで延長可能となり、休息期間を4時間まで短縮可能です。しかし、2人の運転を合わせて6日運行に収める必要があります。
 

【例外ではない】隔日勤務の場合

次に労働時間の特例「隔日勤務」についてです。ドライバーは業務を6日運行に間に合わせるために、集荷や配送の業務を朝から翌日まで行う場合があります。しかし、先述した「運転時間は2日平均で9時間が限度」の規定も守らなければなりません。そのようなときに役立つ特例が「隔日勤務」です。例えば、6日運行の最終日に運転時間を増やさなければ間に合わないケースでは、隔日勤務で翌日の休みを取ることでその日の長時間運転を実現できます。ただし、勤務終了後は20時間以上の休息期間が必要です。
 

長距離トラックドライバーの労働時間を削減する方法

 

長距離運行 2日運行

 

ここまで解説したとおり運送業界に規則はあるものの、一部現場では労働環境の改善に至っておりません。大手運送会社では、潤沢な資金を活用し荷積みの機械化や車両の大型化など行っていますが、中小運送会社にはそのような施策が取れないためです。

 

そこで、長距離トラックドライバーの労働時間を削減するために各中小運送会社が行っている施策を一部紹介します。
・道路だけでなく積極的にフェリーを利用する
・長距離トラックドライバーは荷積みをせず運転業務のみを行う
・往復で高速道路を使用する(これまでは復路のみの利用が多くあった)
・運転や休息などの業務スケジュールを見直す
・運転時間を減らしても賃金が減らない制度を導入する
・待機時間を減らすために荷主に交渉を行う

このように中小運送会社員はさまざまな工夫をこらし、労働環境の改善に努めています。
 

2日運行とは1運行に2日かかることを指す

1運行とは「出発点へ戻るまでの期間」を指し、2日運行とは「1運行に2日かかること」です。輸送安全規則第3条によると、1運行の限度は6日運行(144時間)とされています。しかし例外として、1運行内でフェリーに乗船した時間はカウントされません。一見例外にみえる、「休息期間の分割」や「2人乗務」などは労働時間に関する特例であり、6日運行の144時間に含まれます。

 

ドライバーの求人情報はこちら