長距離トラック運転手の2日運行とは?1運行の時間はどれくらい?

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長距離トラックの運行において「2日運行」という言葉を耳にすることがありますが、その具体的な意味や定義については意外と知られていないかもしれません。

特に、運転手の方や運行管理に関わる方々にとっては、この言葉が何を示しているのかを正確に理解しておくことが非常に重要です。

 


この記事では、「2日運行」や「1運行」といった運行スケジュールに関する基礎知識を解説するとともに、こうした働き方がドライバーに与える影響や注意点についても詳しくご紹介していきます。

2日運行においては、拘束時間や休憩・仮眠の取り方、1回あたりの連続運転時間の管理など、労働基準法や厚生労働省の告示に基づくルールが関係しており、違反が発生すると安全運転や健康面に悪影響を及ぼす可能性もあるため、十分な理解と対応が求められます。


2024年の法改正によってトラック業界では働き方に大きな変化が起きており、特に貨物運送業における拘束時間の上限や休息期間の確保などが厳格に見直されています。

 

今後は、適切な管理体制のもとで運転手の負担を軽減しつつ、安全かつ効率的な運行を実現していくことがポイントとなるでしょう。


このような背景をふまえ、本記事では2日運行にまつわるさまざまな要素を具体的に解説し、ドライバーや関係者の方々が安心して仕事に取り組むための情報を提供していきます。

 

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長距離トラックの2日運行とは?

この用語は、1回の運行にかかる日数を示しており、運転手の拘束時間や労働時間、休息時間の確保に関するルールとも密接に関わっています。

近年は2024年4月の改正労働基準法や関連する告示により、貨物自動車運送業の現場でも拘束時間や運転時間の上限が厳格に管理されるようになっています。


また、「2日運行」や「3日運行」などの日数を含む運行は、長距離輸送に多く見られ、ドライバーの健康と安全を守るために、仮眠・休憩設備の整備、24時間を超える拘束に対する対策、1週間あたりの運行回数の制限なども重要なポイントです。
 

1運行とは?

輸送安全規則によると、「1運行」とは「出発地点へ戻るまでの期間」を指します。

具体例としては、出発点である会社から倉庫へ向かい、荷物を積み、配送を行い、帰社する時までの業務が1運行です。

出発点に戻るまでの期間であるため、配送を終えた後に他の営業所に寄ったとしても1運行は継続します。


運行の前に「◯日」がつくと、「2日運行」や「3日運行」と呼ばれますが、これは「1運行に◯日かかること」を指します。

例えば、月曜日に出発し、水曜日に出発地点に戻る場合は「3日運行」です。

 

このように、運行日数が2日間や3日間に及ぶケースでは、長時間の拘束や待機時間、仮眠設備の利用状況、途中での休息の取り方も重要となってきます。


なお、こうした運行日数の把握は、運行管理者や安全管理者が労働環境を適切に整備し、労使協定の遵守や法的制限を超えない運行を実施する上でも欠かせません。
 

6運行(144時間)が上限時間

輸送安全規則第3条によると、1運行につき6日運行(144時間)が上限とされています。

その理由は、1運行が長期間化すると事故やドライバーの健康面におけるリスクが増加するためです。

長時間労働や連続運転による疲労の蓄積は、脳や心臓などへの健康被害にもつながりかねません。

そのため、基本的に片道3日で配送先へ着けないところへの配送は原則として認められておらず、遠方輸送を担当する場合でも、あらかじめ休息・仮眠のスケジュールを計画した上で、6日間以内に出発地点へ戻る必要があります。

 


では、もし運送時に休息や休日をとった場合は、上限時間が休息分増えるのでしょうか。

答えは「いいえ」です。

 

あくまで休息や仮眠も含めた上での6日(144時間)とされているため、いくら休息を取ろうが、6日以内に出発地点へ戻る必要があります。

これは、労働時間や拘束時間に関する明確な基準を設けることで、労働災害や交通事故の発生リスクを抑える目的があります。


また、トラックドライバーの労働時間管理は、年間拘束時間960時間未満や、1週間あたりの連続勤務日数など、さまざまな角度からの管理が求められており、今後さらに制度の見直しや規制の強化が進められる可能性もあります。
 

上限時間に例外がある

 

トラック運転手2日運行

 

トラック運転手の2日運行においては、基本的に1運行あたり144時間、つまり6日間が上限とされています。

しかし、場合によってはこの上限に例外が認められることがあります。

 

それが、フェリーに乗船している時間です。

 


ここからは、フェリー乗船による例外的な扱いと、一見すると例外のように見えるけれども実際は144時間にカウントされる「労働時間の特例」について詳しく解説いたします。

厚生労働省が定める労働時間のルールや労働基準法の枠組みにおいて、こうした例外や特例の扱いを正しく理解しておくことは、運転手・管理者の双方にとって非常に重要なポイントとなります。
 

【例外】フェリーに乗船している場合

フェリーに乗っている時間は、運転を伴わないため実労働時間や拘束時間と見なされず、6日運行の144時間の中に含まれません。


たとえば、1運行が全体で150時間に及ぶ場合、通常であれば144時間を超えているため違反となります。

 

しかし、そのうち6時間以上がフェリーによる移動であるならば、その時間は除外対象となり、運行時間は規定内の144時間に収まることになります。


特に離島への貨物配送などでは、フェリーの利用が不可欠となるため、出発前に乗船時間を事前に確認し、運行スケジュール全体を調整する必要があります。

これは運行管理者にとっても重要な業務の一つであり、安全管理や労働環境の確保といった観点からも見逃せないポイントです。
 

【例外ではない】休息期間を分割した場合

次に紹介するのは、例外ではなく労働時間の特例に該当する「休息期間の分割」についてです。

通常、トラックドライバーは継続して8時間以上の休息を取る必要がありますが、配送スケジュールによってはそれが難しい場面もあります。

そういった場合に用いられるのが「分割休息」の制度です。

 

たとえば、午前中に集荷を済ませ、納品が夜間に指定されているケースでは、日中に4時間、納品後に6時間休むといった形で分けて休息を確保することが可能です。


ただし、分割する際には厚生労働省の告示により以下の条件が定められています。

 

・1回の休息は連続して最低4時間以上であること

・分割した休息時間の合計は10時間以上であること

 

この特例は業務上の柔軟性を高めるものですが、誤ってこの時間を「例外」と見なしてしまうと、144時間の運行制限を超えるリスクがありますので注意が必要です。

 

【例外ではない】2人乗車の場合

続いての特例は、「2人乗務」に関するものです。

運転手1人あたりの1日あたりの運転時間は「2日平均で9時間まで」とされており、長距離輸送ではこれを超えてしまうケースも少なくありません。


そのような場合に有効なのが2人乗車で、2人の運転手が交代で運転を行うことにより、運転時間の制限を超えずに長距離の輸送が可能となります。

この制度を用いると、1日の最大拘束時間は20時間まで延長可能になり、休息時間も4時間まで短縮されます。

 


ただし、2人乗車であっても、1運行はあくまで6日間(144時間)以内に完結させる必要があります。

特に深夜帯や連続運転時には、しっかりと仮眠や健康管理が行われているかをチェックすることも大切です。
 

【例外ではない】隔日勤務の場合

最後に紹介するのが、「隔日勤務」という勤務形態です。

これは、1日を超える勤務を行い、その後に長めの休息期間を取るという形式で、公共交通機関などでは一般的に見られますが、トラック運送業でも一部導入されています。

 


例えば、6日運行の最終日で配送を完了させるために、早朝から深夜にかけて運転する必要がある場合などには、隔日勤務が選択されることがあります。

この制度を活用することで、当日の運転時間を一時的に増やすことができますが、勤務終了後には20時間以上の休息が必須となります。

 


このように、例外ではない特例とフェリーのような正式な例外とを正しく区別することが、運行スケジュールの設計や法令遵守にとって非常に重要なポイントとなります。
 

 

長距離トラックドライバーの労働時間を削減する方法

 

長距離運行 2日運行

 

ここまで解説したとおり、運送業界には法律や規則が定められているものの、現場レベルでは必ずしも労働環境の改善が進んでいるとは限りません。

特に、長距離運行や2日運行を担う現場では、拘束時間の長さや休息時間の取りづらさ、待機時間の発生など、ドライバーの身体的・精神的負担が依然として大きい状況にあります。


大手運送会社では、潤沢な資金を活かして荷積み作業の自動化や大型車両の導入などを進めており、業務負担の軽減や安全設備の充実が図られています。

 

しかし、中小の運送会社においては、同様の施策をすぐに取り入れることが難しく、現実的な改善策を模索しながら対応しているのが実態です。


そこで、中小運送会社が取り組んでいる労働時間削減の工夫を一部ご紹介いたします。

 

・道路だけでなく積極的にフェリーを利用し、運転業務の負担を軽減する

・長距離トラックドライバーが荷積み作業を担当せず、運転に専念する体制を整える

往復で高速道路を活用し、移動時間や拘束時間の短縮を図る

・運転・休息・待機などの業務スケジュールを再構成し、無理のない勤務体制に見直す

・運転時間を減らしても賃金が減らない給与制度を導入し、安心して休める環境を作る

・長時間の待機を避けるために、荷主企業と交渉し納品時間の調整を図る

 

こうした取り組みの背景には、労働基準法や厚生労働省の告示を踏まえつつ、いかにしてトラック運転手の安全と生活を守るかという現場の切実な課題があります。

特に、長時間労働の是正は人材の確保や離職率の抑制にも直結するため、中小企業にとっても経営上の重要なポイントといえます。

 


今後は、これらの現場発の工夫を積み重ねながら、制度的なサポートや業界全体の意識改革と合わせて、より実効性のある改善が進んでいくことが期待されます。

 

まとめ


2日運行とは、「1運行に2日かかること」を指す言葉です。

そもそも1運行とは、出発点を起点として荷物を積み込み、配送し、出発点に戻るまでの連続した業務の一区切りを意味します。

そのため、帰社までに要する日数が2日間であれば、それは2日運行と定義されます。

 


また、輸送安全規則第3条では、1運行の上限は6日間(144時間)以内と定められています。

この時間には、運転中の拘束時間だけでなく、仮眠や休憩、待機なども含まれます。

ただし、唯一の例外としてフェリーに乗船している時間は業務時間とみなされず、144時間のカウント対象外とされています。

これは厚生労働省の告示にもとづいた正式なルールです。

 


一方、「休息期間の分割」や「2人乗務」「隔日勤務」などは、いずれも労働時間に関する特例的な制度ではありますが、144時間の制限には含まれます。

そのため、これらの措置を活用しても、1運行の所要時間が144時間を超えることは認められません。

 


このように、2日運行という概念を正しく理解するためには、ただの日数ではなく、「労働時間の制限」や「拘束時間の管理」、「例外規定」といった複数の視点から把握することが重要なポイントとなります。

運転手の健康や安全を守るためにも、ルールに沿った運行計画の策定と柔軟な対応が求められています。
 

 

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