バス運転手を目指している女性や現役女性バス運転手の方は、以下のような疑問をお持ちではありませんか。
「給料や男女の割合はどうなっているのか」
「女性のバス運転手の需要はあるのか」
「現在、女性バス運転手として働いているが業界の実態と比較したい」
本記事では、このような疑問を解決するとともに、女性バス運転手についての実態を解説します。
女性バス運転手の給料・年収
2021年度に厚生労働省が公表した賃金構造基本統計調査によると、女性バス運転手の給料は以下のとおりです。
・平均年収(賞与含む):359万円〜467万円
・月収(賞与含む):30万円〜39万円
・賞与:44万円〜85万円
なお、同じ調査によると、男性バス運転手の年収は405万円〜471万円です。
女性の給料が男性よりもやや低い理由は以下のことが考えられます。
・平均勤続年数が異なる
・男性の方が管理職に就いている割合が多い
平均勤続年数は、男性が11.8年、女性が7.7年です。バス運転手の業界は一般的に勤続年数を上げることで給料を上げられるため、年数の違いが平均年収に大きく作用していると考えられます。
バス運転手の女性の割合
2020年度に国土交通省が発表した調査によると、女性バス運転手の割合は全国平均で1.8%です。なお、全産業の平均男女割合は、男性が57.2%で女性が42.8%です。そのため、バス運転手の男女割合は女性比率が非常に低いといえます。なぜここまで大きな開きができるのでしょうか。ここからいくつか理由を解説します。
バス運転手が男性のイメージが強い
1つ目はバス運転手は男性のイメージが強いためです。バス運転手に限りませんが、自動車運送業は男性の働き手が多いイメージが強いのではないでしょうか。事実、この業界は全体的に中高年層の男性労働力に依存している状態です。そのため、会社側から見ても女性の採用を積極的に考えていない会社もあります。また、働き手側から見ても「女性は働きづらそう」と、バス運転手になることに対して消極的な方が多い状態です。
女性の労働環境が整っていない
2つ目は女性の労働環境が整っていないためです。9割以上の働き手が男性であるため、働く環境は男性向けに整えられている会社が多いです。女性用の仮眠室や更衣室、トイレなど、女性にとっての労働環境が良いとはいえません。そのため、働き先の選択肢として外している女性が多いと考えられます。
バス運転手の女性の割合を増やす取り組み
ここまで、女性バス運転手の割合が少ないこととその理由についてお話ししました。しかし、バス業界では女性運転手を増やす取り組みが行われているため、いくつかご紹介します。
イベントを開催し、女性バス運転手のサポートをする
1つ目はイベントの開催です。バス業界に関わるさまざまな団体が、女性バス運転手をサポートするためにイベントを開催しています。例えば以下のようなイベントが過去に開催されました。
イベント名 | 主催団体 | 内容 |
---|---|---|
女性バス運転手の会 | 女性バス運転手協会 | 現役女性ドライバーと就職を検討する方の情報交換 |
どらなびEXPO | リッツMC株式会社 | 運転手不足に悩むバス会社と就職を検討する方の情報交換 |
バス運転体験会 | 岐阜乗合組合 | 女性限定のバス運転体験 |
もし、バス運転手に興味があるが迷っているという方は、このようなイベントで情報交換を行うと決断の助けになるかもしれません。
各会社が女性のバスドライバーをサポートする取り組みをする
2つ目は各会社が女性バス運転手をサポートすることです。近年、先述したような女性向けの労働環境を整備する会社が増えています。さらに、路線バス運転手から高速バス運転手へ昇進させる制度の導入、運転経験が少ない方向けの養成制度の導入などを行う会社もあります。
例えば、神奈川県のとあるバス株式会社で行われている取り組みは以下のとおりです。
・女性運転手に防犯ブザーを配布
・不測の事態に対応するためのマニュアルを配布
・女性運転手のアンケートに応じた会社設備の拡充
・介護や育児制度を積極的に活用するためのハンドブックを配布
・リーダー職への積極的な昇進
これらのサポートを進めることで、実際に20代の女性社員が入社する例が増えているようです。このような取り組みはバス業界全体に浸透しつつあるため、今後は女性が働きやすい業界になると考えられます。
女性がバスドライバーとして重宝される理由
なぜこのように女性バス運転手を増やす取り組みが行われているのでしょうか。2020年に国土交通省が行った調査によると、北陸信越地方のバス会社では、8割以上の会社から、女性バス運転手の採用を求めていることがわかっています。ここからは、女性がバス運転手として重宝される理由をいくつか紹介します。
細かな気遣いができるから
1つ目は細かな気遣いに期待できるためです。バス運転手のメイン業務は運転ですが、何か困っているお客様への対応や運転中のアナウンスなど、接客スキルも求められます。運転手の対応が無愛想だと、お客様からクレームが入ることもあるため、細かい気遣いは重要なスキルです。
安全運転ができるから
2つ目は安全運転に期待できるためです。バス運転手によって運転の丁寧さは異なりますが、女性のほうが丁寧な運転をしているイメージがあることやお客さまからの評判が良いケースがあります。荒い運転によってお客様を不快にさせてしまうと、バス会社の評判が落ちてしまう可能性もあるため、丁寧な運転をできることは重要です。
コミュニケーションを取りやすいから
3つ目はコミュニケーションに期待できるためです。女性はソフトな印象を持たれることが多いため、お客様対応がスムーズにいきやすいです。さらに、お客様に困りごとがあった際に、話しかけやすい雰囲気もあります。このように、より円滑なコミュニケーションを行うことで、お客様の満足度や不満解決につながります。
まとめ
今回は女性バス運転手について解説しました。現在、男性が働く職業であるというイメージや環境の整備不足により、バス運転手の男女割合は女性が1割未満です。しかし近年は、女性バス運転手を採用するメリットの大きさから、女性の労働環境を整備する取り組みが行われていることもわかりました。今後は、女性バス運転手が活躍する場は広がると考えられます。女性でバス運転手を目指している方は、イベントやインターネット上で情報を収集しつつ、バス運転手になるために必要な技能や資格の習得に力を入れてみてください。バス運転手を目指している方は、併せて「取得するべき運転免許・資格」を記載したこちらの記事もご覧ください。