
ドライバー業界では2024年4月1日から時間外労働の上限が960時間に設定されてからも、
慢性的な人手不足が続いています。
人手不足を解消するために、外国人ドライバーを採用している会社も出てきています。
ただ、これまで外国人を採用したことがない会社は不安でいっぱいでしょう。
本記事では、外国人ドライバーの採用の流れや注意点、
成功事例について、詳しく解説します。
外国人ドライバーのニーズが高まっている理由
外国人ドライバーにニーズが高まっている理由として、
トラック・バス・タクシー等において、
深刻なドライバー不足が慢性化していることが背景として挙げられます。
2024年4月1日より、ドライバーの時間外労働の上限時間が960時間となったことが
ドライバー不足に、より拍車をかけることになりました。
このようなドライバー不足を解消するために、特定技能にドライバーが加わったことが
国土交通省「自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて」
にも記載されているのです。
特定技能ドライバーに関しては下記の記事にて詳しく紹介しておりますので、
そちらも合わせて参考になさってください。
特定技能でドライバーを採用する際の完全ガイド│採用条件や手続きの流れ、注意点も紹介
外国人ドライバーの採用方法
外国人ドライバーの採用方法についてみていきましょう。
特定技能外国人のサポートをしている登録支援機関については、
株式会社ジャパン・リリーフの「 」の記事も役に立ちますので、
合わせて参考になさってください。
運転ドットコムに相談する
運転ドットコムは、運転の仕事を探す際に役に立ちます。
外国人ドライバーの求人はもちろんのこと、
求人に関する相談も受け付けていますので、ぜひアクセスしてください。
株式会社ジャパン・リリーフに相談する
株式会社ジャパン・リリーフは、外国人の人材派遣を行なっているほか、
特定技能制度を採用している企業のアフターサポートを行なっています。
株式会社ジャパン・リリーフを利用すると、
自社に合った外国人ドライバーが見つかること間違いなしです。
登録支援機関に登録する
登録支援機関は、日本の企業が特定技能外国人を雇用する際に、
企業と外国人を仲介し、外国人の円滑な就労と生活を支援するための機関です。
就労環境の整備や生活面での支援だけでなく、
文化の違いを理解するための教育も行なっていますので頼りになります。
求人広告メディアを利用する
最近では外国人に特化した求人広告メディアも増加しており、
国内在住の外国人にアプローチできます。
自社で求人原稿を作らなければいけない、母国語に翻訳しなければならない、
応募があればそれに一件ずつ対応しなければならないなど、
自社の負担は多いですが、外国人ドライバーの採用に役立ちます。
ハローワークを利用する
ハローワークでは、外国人ドライバーの求人を出すことが可能です。
自社の求人原稿を作成し、不明点はハローワーク職員に相談するなど、
自社に合った外国人ドライバーを募集してください。
民間の人材紹介会社を利用する
indeedや求人ボックスといった民間の人材紹介会社でも、
外国人ドライバーの募集・採用を行なうことが可能です。
詳細条件を設定して、自社に合った特定技能外国人を募集しましょう。
スカウトサイトを利用する
スカウトサイトは、人材紹介サービスや求人メディアに登録した外国人に対して、
企業から勧誘することが可能です。
登録されている外国人の中から日本語レベル・国籍など、
条件を絞って検索することができるので、
自社に合った人材を採用することができるでしょう。
SNSを活用する
SNSは世界中の人が利用しています。
日本語だけでなく、
採用したい国籍の言語で発信することで一定の効果がみられるでしょう。
外国人を採用する際の流れ
外国人を採用する際の流れについてご紹介します。
~ステップ①~受け入れ要件の確認
外国人を採用する際は、受け入れ要件を確認しなければなりません。
受け入れ要件は、以下のようになっています。
<条件①>受け入れ企業の基準
〇1年以内に解雇者や行方不明者がいない
〇5年間、出入国・労働関係法令違反がない
〇保証金の徴収を外国人がされていない
〇受け入れにかかる費用を外国人が負担していない
〇報酬を口座振込で支払っている
<条件②>雇用契約の基準
〇分野で規定されている業務に従事させる
〇外国人報酬額が日本人の従事による額と同額以上である
〇外国人であることを理由に、差別的な待遇をしない
〇一時帰国の希望時は休暇を取得させる
〇契約終了後の出国を円滑にできるように、外国人が帰国時の旅費を負担できないときは
受け入れ企業が負担する
<条件③>支援体制の基準
〇外国人の母国語での支援ができる体制を有している
〇支援責任者・担当者が、外国人やその監督者と定期面談を実施できる体制にある
〇以下のいずれかに該当している
・過去2年間に中長期在留者を受け入れており、職員から支援責任者・担当者を選任(兼
任)している
・過去2年間に中長期在留者の従事経験がある者から支援責任者・担当者を選任してい
る
・上記と同等に、支援業務を適正に実施できる者から支援責任者・担当者を選任してい
~ステップ②~人材募集・面接~
上記の受け入れ要件を満たしていれば、
外国人の採用に向けて人材募集を開始します。
人材募集は前述の「外国人ドライバーの採用方法」に記載していますので、
自社にとって最適な方法を選んでください。
応募者に対しては面接を実施し、会社にふさわしい人がいれば採用決定となります。
外国人が運転免許証を取得する方法や必要な書類
外国人が運転免許証を取得する方法や、必要な書類についてみていきましょう。
必要書類
必要書類は、以下の通りです。
・有効な外国の運転免許証
・外国免許証の日本語翻訳文
・申請用写真(縦3cm×横2.4cm)
・新旧パスポート
・本籍(国籍)の記載された住民票
・身分証明書(在留カードなど)
・日本の免許証(過去に取得していた場合など)
・申請用紙・質問票
・手数料
・運転に必要なもの(眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器など)
・外国で免許を取得後、その国に3ヶ月以上滞在していたことを証明する書類(旅券など)
取得方法
自国の運転免許がある場合は、外免切替で日本の運転免許に切り替えることが可能です。
その場合、以下の条件を満たす必要があります。
・外国の運転免許証が有効であること
・外国の運転免許証取得日から通算で3ヶ月以上その国に滞在したことが証明できること
※パスポート等滞在期間を証明する資料が必要
次に、以下の流れに沿って、免許センターで外免切替の手続きを行なってください。
1. 申請書類提出
2. 適性検査(視力・色覚検査等)
3. 交通規則の知識確認(筆記試験)
4. 運転技能の確認(免許センター内コースを実走)
5. 日本の運転免許証取得
その後、ドライバーになるためには、
自動車運送業分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。
トラック、タクシー、バスで試験が異なりますので、以下を参考にしてください。
特定技能1号試験 |
運転免許 |
日本語能力 |
自動車運送業分野特定技能 1号評価試験(トラック) |
第1種運転免許 |
日本語能力試験N4以上もしくは 国際交流基金日本語基礎テスト合格 |
自動車運送業分野特定技能 1号評価試験(タクシー) |
第2種運転免許 |
日本語能力試験N3以上 |
自動車運送業分野特定技能 1号評価試験(バス) |
第2種運転免許 |
日本語能力試験N3以上 |
トラック分野に関しては、技能実習2号を良好に修了した場合、
職種・作業の種類に関わらず、日本語能力水準を有するとみなされ、
日本語試験は免除となります。
具体的な試験方法は、以下をご覧ください。
特定技能1号試験 |
試験言語 |
実施主体 |
実施方法 |
自動車運送業分野特定技能1号評価試験 (トラック) |
日本語 |
一般財団 法人日本 海事協会 |
学科試験 および実技試験 CBT方式または ペーパーテスト方式 |
自動車運送業分野特定技能1号評価試験 (タクシー) |
日本語 (第2種運転免許の学科試験に準拠した内容については現地語を併記) |
||
自動車運送業分野特定技能1号評価試験 (バス) |
外国人が第2種免許を取得するには、以下の手続きが必要です。
特定技能1号試験 |
試験言語 |
実施主体 |
実施方法 |
自動車運送業分野特定技能1号評価試験 (トラック) |
日本語 |
一般財団 法人日本 海事協会 |
学科試験 および実技試験 CBT方式または ペーパーテスト方式 |
自動車運送業分野特定技能1号評価試験 (タクシー) |
日本語 (第2種運転免許の学科試験に準拠した内容については現地語を併記) |
||
自動車運送業分野特定技能1号評価試験 (バス) |
外国人が第2種免許を取得するには、以下の手続きが必要です。
|
手順 |
内容 |
1 |
運転経験 |
一定期間の運転経験、運転技術に関する訓練が必要 |
2 |
運転免許所持 |
2種免許取得の前に、一般の運転免許を所持していることが前提 |
3 |
筆記試験受験 |
日本の交通法規・安全運転に関する知識を問う筆記試験を受験 試験は日本語であるため日本語能力が必要 |
4 |
実技試験受験 |
バスやタクシーなどの大型車両を安全運転する能力を図る実技試験を受験 |
5 |
試験合格後の 2種免許取得 |
筆記試験・実技試験に合格すると、2種免許の取得が可能 |
6 |
定期的な更新 安全運転実践 |
試験合格後も、定期的な更新や安全運転の実践が必要 |
外国人ドライバーを採用するメリット
外国人ドライバーを採用するメリットについてみていきましょう。
多様な視点と新しいアイデアの提供
外国人は日本人がもっていない多様な視点・アイデアを持っています。
新しい風が吹き込むことで職場全体の活力が増すだけでなく、
新しい経営展開も発見できるのです。
国際的なビジネス展開への貢献
外国人ドライバーを採用することで、
外国人顧客へのサービス向上につながる可能性が出てきます。
場合によっては、海外との取引が拡大するチャンスも生まれ、
国際的なビジネス展開へ貢献されることも見込めるのです。
人手不足の解消
2019年4月より、日本では特定技能外国人の受け入れが開始されました。
受け入れの制度が導入された背景は、
まさに人手不足の解消であるドライバー不足を補うことで、
不足が解消されれば、業務の効率化に貢献することが可能です。
柔軟な働き方の可能性
現在の日本では、ドライバー不足が深刻化しているため、
在職しているドライバーが時間外労働を行ないながら、
業務を遂行している状態となっています。
外国人ドライバーが人手不足を補うことで、時間外労働を減らすことができ、
休日の確保も可能で、柔軟な働き方になる可能性が見出せるでしょう。
文化交流の促進
外国人ドライバーの採用が多くなると、
在職している日本人ドライバーは、外国人と接する機会が多くなります。
外国人ドライバー文化交流を図ることで、
インバウンドのお客様にもこれまでにはない形で、
対応できる可能性が高くなるでしょう。
外国人ドライバー採用の注意点
外国人ドライバー採用の際の注意点についてご紹介します。
文化的な違いの理解と尊重
外国人ドライバーには自国の文化があって当然です。
日本の会社に採用された外国人ドライバーは、
日本文化について深く理解していないドライバーがいる一方、
日本人ドライバーも外国の文化を深く理解していない場合があるでしょう。
同じ職場で異なる文化のドライバーが働くわけですから、
会社は、相互の文化が理解・尊重できるような研修を行なうなどの対策が必要です。
前に文化が異なるからといって、差別・偏見を持つことは絶対にあってはなりません。
コミュニケーションの課題
ドライバーの仕事の中でも、特にバスやタクシーのように、
直接お客様に接する仕事があります。
接客する際は日本語の使用が基本で、日本の習慣も理解しておく必要があるでしょう。
外国人にとって、日本語や日本の習慣には慣れていない部分があるかもしれませんが、
少しずつ適応できるよう、会社側も研修などを用意する必要があります。
法令遵守と労働条件の整備
外国人ドライバーの中には、
日本の法令や労働条件を深く理解できていない人もいるでしょう。
だからといって、会社側がその状況を悪用することは、決してあってはなりません。
会社は外国人ドライバーに対して、労働法規や交通法規をはじめとして、
法令が遵守できるよう、研修などの機会を設ける必要があります。
また、労働条件に関しても、日本人と同じ条件で採用しなければなりませんし、
条件の内容については外国人が理解できるように説明する必要があるのです。
安全運転教育の重要性
どのような人であっても車を運転する際に交通法規を守ることは当然ですが、
ドライバーの仕事をしている人は、
より交通法規を遵守することを意識しなければなりません。
外国の交通法規と日本の交通法規には、さまざまな違いがあって当然です。
国によって、右ハンドルのところもあれば、左ハンドルのところがあるように、
運転環境1つとっても大きく異なります。
これらの視点から、会社は外国人ドライバーに対して、
安全運転教育を施す必要があるのです。
離職率の管理とサポート
同じドライバーの仕事をしている会社でも、労働環境はさまざまです。
現在働いている職場環境が、自分に合わないと思った外国人ドライバーは、
離職・転職を考えるでしょう。
会社は外国人ドライバーが離職するとなった場合、
なぜ離職するのかなどの理由と向き合わなければなりません。
また、外国人ドライバー離職・転職するとなった場合、
これまで外国人を受け入れていた企業も、必要な書類を用意する必要があります。
このように会社は外国人ドライバーを採用するところから、
次の道に進むまでのサポートをしなければならないのです。
外国人ドライバーによる事故やトラブル事例とその対策
外国人ドライバーによる事故やトラブル事例、その対策についてご紹介します。
従業員同士のトラブル
職場で日本人と外国人の従業員同士の喧嘩が始まりました。
喧嘩の原因はお互いの国の違いによる話題が引き金になったのです。
対策
外国人が多く集まる職場では、
その数だけバックグラウンドを持った人が多く集まるということです。
もめごとの火種はたくさんありますが、
特に政治や宗教に関しては
お互い尊重し職場でそれについては議論しないなどのルール決めが必要でしょう。
多様性を尊重することが大前提ですが、
トラブルになる可能性がある場合は会社で相談窓口を作り、
相談できる環境を整えるのも1つです。
契約内容に関するトラブル
外国人ドライバーが勤めていた会社で給料が支払われましたが、
雇用契約時に聞いた給料より低い金額しか支払われていませんでした。
対策
会社が雇用契約時に、外国人ドライバーに提示した金額を支払っていない場合は、
会社側に非があります。
一方で外国人が雇用契約時の採用を理解していないという可能性も考えられます。
このようなトラブルを防ぐためには、
雇用契約書の内容を分かりやすい日本語で説明することに加え、
外国人の母国語で雇用契約書を作成することが必要です。
交通法規に関するトラブル
業務中に、外国人ドライバーがガードレールに接触しました。
会社に戻ってきてから車両を確認した際に、何かにぶつかった後があったため、
外国人ドライバーに確認すると、ガードレールぶつかったことが判明しました。
その際外国人ドライバーは警察に届け出をしていませんでした。
対策
日本と外国では交通法規の内容は大きく異なります。
外国では、ものにぶつかった程度であれば
警察に報告しなくていい国があるかもしれませんが、
日本ではものや人にぶつかった際は警察に届け出なければなりません。
このように、交通法規に関しては日々確認できるよう、
研修などを設ける必要があるでしょう。
外国人ドライバー採用の成功事例
最後に外国人ドライバー採用の成功事例についてご紹介します。
1カ月1名以上の採用に成功
求人原稿を作成する際に「未経験の歓迎」「外国人社員の勤務状況」を
目立つところに記載しました。
また、挑戦のしやすさ・安心感を強調したことで、短期間で多くの採用に成功しました。
若い世代の採用に成功
俳優やアイドルなど、目標を実現する人材を歓迎し、
応援する会社の特徴を強調すると、特定の外国人から多くの応募がきました。
また、教育制度を充実させていることも魅力を見い出し、
未経験者の採用にも成功しています。
多くの応募者から最適な人材を採用
転職支援金などの福利厚生や、自由な出勤日数・時間を強調しました。
短期間の応募にも関わらず、96名の応募者があり、中から4名を採用しました。
2種免許取得費用全額負担で応募者アップ
外国人にとって、2種免許を取得するための費用は大きな金額となります。
2種免許取得費用を全額負担することを求人原稿に書くと、
たくさんの応募者が問い合わせてきました。
このように、少しでも外国人の出費を会社側が負担することで、
外国人の応募者が増えるのです。
福利厚生を手厚くして採用者をアップ
外国人採用されてからも、日本での安定した生活を望んでいます。
会社までの交通費支給はもちろんのこと、福利厚生として家賃補助について掲げました。
家賃は毎月発生する費用であり、
採用した外国人ドライバーの中に毎月の家賃補助もありがたいと言っている人もいます。
まとめ
外国人ドライバーの採用の流れや注意点、成功事例について、
ご理解深まりましたでしょうか。
外国人ドライバーを採用する際は日本人を採用する際の流れと異なる点がありました。
また外国人ドライバーを採用する際には複数の注意点がありますので、
どのようなことに注意しなければならないのか参考になさってください。
本記事を参考に、外国人ドライバーの採用を検討してみてはいかがでしょうか。