トラックドライバ―として求職中の方や、トラックドライバ―として期間が短い方は、
手取りの給料がどれくらいなのか、お知りになりたいでしょう。
トラックドライバ―の手取りは、運送会社によって大きく異なります。
本記事では、トラックドライバ―の手取りと、手取りをあげる方法について詳しくご紹介します。
トラックドライバーの平均的な手取りってどのくらい?
トラックドライバ―の平均給与は、月38.6万円です。
日本は年功序列制を採用しているため、年齢を重ねるごとに平均給与は高くなりますが、
50~54歳をピークにその後の平均給与は減少傾向にあります。
日本人の平均給与は年461万円(男性567万円、女性280万円)で、月に換算すると38.4万円ですので、
トラックドライバ―の給与は日本全体と比較しても悪いものではありません。
トラックドライバ―は、一般的な仕事のイメージが「かなり大変そう」「長時間労働」「休みがなさそう」と思われがちで、
トラックドライバ―のなり手が多くないこと、さらに2019年12月からのコロナウイルス感染拡大を期に、
物流・宅配の需要が増加したことなどが背景で、慢性的な人材不足となっています。
トラックドライバ―はこのような労働環境であることから、厚生労働省は1日の拘束時間の改善を施すなどの対策を打ち出しています。
合わせて人材不足を背景に給与が増加していくことが期待されているのです。
では具体的にトラックドライバーの手取りはいくらなのかみていきましょう。
出典:2020年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態(概要版抜粋)
<普通車トラックドライバ―>
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<準中型トラックドライバー>
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<中型トラックドライバー>
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<大型トラックドライバー>
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<牽引トラックドライバー>
|
|
|
|
|
|
|
|
|
トラックの大きさが大きいほど、給与が高いことがわかります。
トラックドライバーの給与はトラックの大きさ以外にも決まる要素がありますので、その内容については後述します。
また、下記の記事の中では大型トラックドライバーの給料について詳しく紹介しているのでぜひご覧ください。
大型トラック運転手の平均年収・給料は平均463万円。年収1000万円も目指せる?
トラックドライバーの手取りって年収から見るとどう?
「年収」は、1年間の「給与」のことをいいます。
「給与」とは、会社から労働者に支払われる対価のことで、基本給、各種手当、ボーナスなどが含まれます。
「手取り」とは、実際に労働者が受け取るお金のことです。
つまり「給与」から、所得税、住民税、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、源泉徴収税)
などが差し引かれたお金を手取りといいます。
前述ではトラックドライバ―の手取りについてお伝えしましたが、トラックドライバ―でも、他の職種でも、差し引かれるお金は同じ割合です。
トラックドライバーの手取りの決まり方
前述で、トラックドライバ―の手取りは給与によって決まることがわかりました。
では具体的にトラックドライバ―の給与や手取りが決まるのかみていきましょう。
走行距離によって決まる
トラックドライバ―の給与は、近距離・中距離・長距離といった走行距離の違いによって異なり、
走行距離が長いほど給与は高くなります。
長距離になればなるほど勤務時間が長くなり、時間外手当がつきますので、給与が高くなるのです。
一方で、運送会社によっては時間外手当が固定となっているところもあります。
とくに長距離ドライバーは、1日の勤務時間がどこからどこまでかが明瞭ではないという理由で、
時間外手当が固定になっている場合が少なくありません。
優良な運送会社は、トラックドライバ―の勤怠管理をきちんとしているため、走行距離が長いほど給与は高くなります。
トラックの大きさによって決まる
小型・中型・大型といったトラックの大きさによっても給与が大きく異なり、
トラックの大きさが大きいほど給与は高い傾向です。
理由としては、小型トラックであれば普通免許で運転できますが、中型トラックは中型免許、
大型トラックは大型免許が必要であることが関係しています。
大型トラックになるとトレーラーを牽引する機会もあり、けん引免許をもっていると給与が高くなる傾向があるのです。
手当によって決まる
前述で時間外手当について触れましたが、手当が多くつくほど給与は高くなります。
手当については後述しますが、例えば無事故手当は運送業界にみられる手当で、
運送会社が決めた期間に無事故だった場合に支給される手当です。
このような手当なども含めて、トラックドライバ―の手取りが決まります。
トラックドライバーの手取りをあげる方法を紹介!
トラックドライバ―の手取りの決まり方についてみてきましたが、手取りが多いほうが生活が豊かになることに間違いありません。
ここではトラックドライバ―の手取りをあげる方法をご紹介します。
免許や資格を取得する
トラックドライバ―は自動車運転免許をもっていることは大前提ですが、より活用的な免許・資格をもっていることで手取りはあがります。
具体的にどのような免許・資格をもっていると手取りがあがるのかをみていきましょう。
大型自動車運転免許
自動車運転免許には、普通運転自動車運転免許や中型自動車運転免許がありますが、
大型自動車運転免許を取得すると、積載量や車両総重量の制限がなくなるため、全トラックを運転することができます。
大型自動車運転免許は高度な運転技術をもっていることの証で、運送会社は大型自動車運転免許保持者はすぐにでもほしい存在なのです。
運転免許の中で大型自動車運転免許は最上級の免許ですので、その分手取りも多くなります。
牽引免許
牽引免許をもっているとトレーラーを連結して引っ張ることができます。
大型トラックにトレーラーを連結することで大量輸送が可能となり、
通常2台のトラックを稼働させなければならないところを、1台のトラックで輸送することができるのです。
運送会社からすると、トラックの台数を1台で済ませることで高速道路代やガソリン代を節約することができますし、
人件費も1人分で済ませることができます。
大型自動車運転免許に加えて牽引免許をもっていると、もはや最強で、運送会社が最もほしい人材であるため手取りも高くなるのです。
玉掛作業者
トラックドライバ―はトラックを運転するだけでなく、荷下ろしも業務に含まれます。
トラックの大きさが大きくなるほど、荷物の大きさが大きくなったり、重量が重くなります。
手作業で荷下ろしできるものもありますが、建設資材や鉄鋼資材などの荷下ろしは手作業で行なうことは不可能でしょう。
その際に玉掛作業者の資格をもっているとクレーンを使用して荷下ろしすることができます。
トラックを運転して、クレーンで荷下ろしするとなると勤務時間は長くなりますが、
担っている業務も重責でもあることから、手取りが高くなるでしょう。
フォークリフト運転技能者
前述のようにトラックの大きさが大きいほど、荷物の大きさが大きかったり、重くなったりします。
そのような荷物はパレットに載せられていることもあり、フォークリフトを使って荷下ろしをするのです。
とくに倉庫で荷下ろしをする業務ではフォークリフトは利用されている頻度が高く、
トラックドライバーも現地のフォークリフトを使って荷下ろしする機会もあります。
フォークリフト運転技能者の免許をもっていることで、円滑に荷下ろしすることができ、業務を効率よく進めることができます。
このようにフォークリフト運転技能者の免許をもっていると、運転業務以外も円滑に行なえる背景から、手取りが高く可能性があるのです。
危険物取扱者
トラックドライバ―の中で、タンクローリーなどで危険物を輸送する際に危険物取扱者の資格が求められます。
トラックドライバーの職種は幅広いため、自動車運転免許のみもっているのではなく、
危険物取扱者の資格をもっていることで就職の幅が広がったり、手取りアップにつながる可能性があるでしょう。
手当で手取りアップを狙う!
トラックドライバ―には一般企業に勤めている方にはない手当が複数あります。
手当の対象になることで手取りアップが図れるでしょう。
ここではトラックドライバ―にある手当についてご紹介します。
深夜手当
深夜手当は22時から翌朝5時までに勤務している際に適用になる手当で、時給×1.25倍の手当が支給されます。
深夜の仕事は体への負担が大きいかもしれませんが、深夜手当が支給されるほか、
深夜は交通量が少なく、大きなストレスなく働くことができるメリットがあるのです。
また日中は深夜労働のために休息もできますし、病院や家族や子どものために時間を費やすこともできます。
残業手当
トラックドライバ―は勤務時間があやふやで残業手当がうやむやにされるケースが見受けられますが、
労働時間が1日8時間、週40時間を超えると残業手当がつくのが労働基準法により定められています。
残業手当も深夜手当と同じく、時給×1.25倍の手当が支給されるのです。
無事故手当
運送会社が定める期間に、無事故で業務を遂行したトラックドライバ―に無事故手当が支給される場合があります。
深夜手当や残業手当のように法律で定められている手当ではありませんが、
無事故手当を設けることでトラックドライバ―の安全意識の向上につながるのです。
トラックドライバ―の業務中の故意ではない業務上過失による損害は、
トラックドライバ―に全額負担させることは法律で認められていないこともあり、運送会社はより安全に配慮した運営を行なわなければなりません。
無事故手当の金額は運送会社によりさまざまですが、運送会社が定めた期間に無事故だった場合に1~3万円程支給されるケースがあります。
休日出勤手当
休日出勤した際には休日出勤手当があり、時給×1.35倍の手当が支給されます。
ただトラックドライバ―の負担を考慮して、休日出勤は2週間に1日までしか認められていません。
早出手当
定められた始業時間より早い時間に出勤が命令された際は、時給×1.25倍の手当が支給されます。
皆勤手当
皆勤手当は定められた勤務日数を休むことなく出勤した際に支給されます。
支給される金額は運送会社によってさまざまですが、おおよそ1~3万円の支給となるでしょう。
トラックドライバーの手取りの疑問Q&A
ここまででトラックドライバーの手取りについてみてきました。
ここではトラックドライバーの手取りについての疑問を解消していきます。
Q1. 給料を手取り40万円にするためには?
トラックドライバーの手取りで40万円を得るためには、約53万円の給与を得る必要があります。
トラックドライバーで約53万円の給与を得ることは簡単なことではありませんが、
大手運送会社に勤務したり、トラックドライバーではなく運送会社のマネジメント業務に携わることで実現可能な金額です。
ただ運送会社のマネジメント業務に携わるとなると、ある程度の運送業界経験が必要ですので、
おおよそ40代以降でその業務に携わる方が多いです。
トラックドライバ―で給与が約53万円に到達するためには、大型トラックドライバ―で、
月約60時間の残業を行ない、自動車運転免許以外の免許・資格も十分視野に入れてもらう必要があります。
これが手取り50万円となると、月の給与が約67万円必要となり、トラックドライバ―では稼ぐことがほぼ不可能な金額となるのです。
Q2. 最低賃金って?
日本では最低賃金法により、各都道府県で最低賃金が定められており、最低賃金を下回って労働者を雇用することは原則認められません。
各都道府県の最低賃金については、厚生労働省:2023(令和5)年度地域別最低賃金改定状況を参考になさってください。
時給制の場合は、最低賃金法に定められた時給が下回っていないかを確認することは簡単です。
月給制の場合は「基本給÷1カ月の平均所定労働時間数」で、1時間あたりの時間を算出します。
算出方法の一例は、以下を参照してください。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
上記の例で、時間外手当、通勤手当、無事故手当は基本給に含まれないことから、月給からひき算して基本給を算出しています。
日給制の場合は、基本給×稼働日数÷所定労働時間数で、1時間あたりの労働時間を計算することが可能です。
このように最低賃金がきちんと支給されているかの確認もしておきましょう。
もし最低賃金を下回っている場合は、会社に報告・相談し、話し合いでの解決を図ってください。
会社に相談しても改善が見られない場合は、労働基準監督署に通報する方法もあります。
労働基準監督署は、運送会社に行政指導や是正勧告を行なってくれますので、大きな効果が期待されます。
労働基準監督署への通報で人間関係を気にされる場合は、転職を考えるのも1つです。
まとめ
トラックドライバ―の平均的な手取りについて、さまざまなことをお知りいただけたと思います。
トラックドライバ―の手取りの決まり方や、手取りをあげる方法についてもご紹介しましたので参考になさってください。
またトラックドライバ―の手取りについて、よくある質問についての回答もしておきました。
トラックドライバ―として働く上で、最低賃金などを運送会社が適切に守っているかを確認するのも大切なことです。
本記事を熟読していただき、トラックドライバ―への就職や転職を検討される際に、参考になさっていただければ幸いです。