石油やガスなど液体や気体を運ぶのに使用されるタンクローリー。 運転にはどのような免許が必要になるのでしょうか。 この記事では、タンクローリーを運転するために必要な免許や資格について、また免許取得にかかる費用について詳しく解説します。 タンクローリー運転手を目指している方はぜひ参考にしてみてください。
タンクローリーとは?
一般のトラックでは運べない液体や気体を運ぶタンクローリー。 タンクローリーは、運搬物によって大きく3つの種類に分けられます。
危険物ローリー
もっともよく見かけるタイプの危険物ローリーは、消防法で規定されているガソリンや灯油、軽油などの石油系燃料や劇薬類を運搬します。
粉粒体運搬車ローリー
主な運搬物は小麦粉や砂糖、石灰、飼料などの粉粒体です。 運搬物の性質上、工場や農場へ運搬することが多いです。
高圧ガスローリー
可燃性ガスや毒性ガス、酸素や液体窒素などを運搬します。 圧力に耐えられるよう貯蔵タンクが円筒であるという特徴があります。
タンクローリーを運転するために必要な免許
タンクローリーの運搬物はさまざまですが、共通して多くの場合に必要となるのが「大型自動車免許」と「けん引免許」です。 また、タンクローリーの運搬物によっては「危険物取扱者乙4類」や「高圧ガス移動監視者」、「毒物劇物取扱責任者」の資格が必要とされます。 以下では、それぞれの資格について詳しく解説します。
大型自動車
タンクローリーは、小型から大型までさまざまなサイズがありますが、多くの企業では、大型のタンクローリーを使用しているため、運転には大型自動車免許が必要になることが多いです。 大型自動車免許を取得すると、車両総重量が11トン以上の車両や積載量6.5トン以上の車両を運転できるようになります。 大型自動車免許の取得には条件があり、通算3年以上の運転経歴があること、免許取得日に満21歳以上であること、規定の視力と聴力を満たすことが求められます。 運転経歴と年齢制限については、事故が相次いだことで2007年に法律が改正され、それまでの基準【満20歳以上であること・運転経歴2年以上であること】から現在の基準になりました。
けん引免許
タンクローリー車は、セミトレーラー型の車両が多いため、運転には一般的にけん引免許が必要です。 けん引免許を取得することで、一般の普通免許では運転できない大型のけん引車両を運転できるようになります。 けん引免許を取得するには、普通自動車免許を保有していることが必要です。 また、けん引免許を取得することで運転できる車種は、主に「けん引自動車」と「けん引限定自動車」の2つです。 けん引自動車の場合、けん引免許を持っていれば、原動機付自転車を含むあらゆる車両をけん引することができます。 一方、けん引限定自動車は、けん引免許を持っていても運転できない車種もあり、限定された条件下でのみ運転が許されます。
危険物取扱者乙4類
タンクローリー車を運転する場合、配送する物質によっては危険物取扱者乙4類の取得が必要です。 危険物取扱者乙4類は、液化石油ガスや石油類、有機過酸化物などの危険物を運搬するために必要な資格です。 タンクローリー車は、ガソリンや灯油などの石油製品を運ぶことも多いため、危険物取扱者乙4類を取得することで業務の幅を広げることができます。 危険物取扱者乙4類の受験には、年齢制限はありません。 マークシート式の試験で、各科目60%以上の正解率をとることで合格となります。 実施時期や回数は、地域によって異なるため、該当する機関への確認が必要です。
高圧ガス移動監視者
タンクローリー車を運転する場合、LPガスなどの高圧ガスを配送する際には高圧ガス移動監視者の取得が必要となります。 高圧ガス移動監視者を取得するためには、高圧ガス移動監視者の講習を受講し、修了後に試験に合格することが必要です。 高圧ガス移動監視者の取得には、年齢制限や経験の制限はなく、2日間の講習を受ければ誰でも取得可能です。 講習後に受ける試験の合格率は約85%となっており、難易度はそれほど高くないといえます。 また、高圧ガスを運搬するタンクローリー車の運転者として働く場合は、法令で定められた期間ごとに更新講習の受講が必要となります。
毒物劇物取扱責任者
タンクローリー車でアンモニアや塩素など毒物や劇物を運搬する場合には、毒物劇物取扱責任者の資格が必要となります。 毒物劇物取扱責任者は、危険物を安全に取り扱うための知識や技能を持つ人物であり、資格を取得することで危険物の取り扱いに関する責任を負うことができます。 毒物劇物取扱責任者になるには、18歳以上であること、毒物劇物取扱責任者の試験に合格することが必要です。 毒物劇物取扱責任者の試験は、年に1回開催されており、試験日は各都道府県で異なります。 試験合格後、各都道府県に毒物劇物取扱責任者として届け出をすることで毒物や劇物を取り扱えます。
タンクローリーを運転するための免許取得に掛かる費用
タンクローリーの運転には、車両の重量や搭載物質によって異なる免許が必要になります。 以下は、一般的な免許取得費用の例です。 大型自動車免許:通学型だと25万円程度、合宿型だと20万円程度。 試験のみだと4万円程度となっています。 けん引免許:通学型、合宿型どちらも12万円程度が一般的です。 危険物取扱者乙4類:1.2万円〜1.5万円の費用がかかります。 高圧ガス移動監視者:2万円程度が一般的です。 毒物劇物取扱責任者:地域によって異なりますが、1.0万円〜1.2万円の費用がかかります。 また、免許更新や特別な講習などによって追加の費用が発生する場合もあります。
タンクローリー運転手の給料(年収)
タンクローリー運転手の平均年収は、約400万円〜500万円、月収に換算すると約25万円〜40万円です。 ただし、勤務形態や地域によって異なります。 都市部の交通渋滞が多い地域や、運搬する物質が危険物である場合は、手当がついたり、給料が高くなる傾向があります。 ボーナスについては、業界によって異なりますが、年2回の支給が一般的です。 ボーナスの額は、給与の1〜2ヶ月分程度が相場です。 業務内容が危険物を扱うことが多く、運転中の事故やトラブルには細心の注意が必要なため、一般的なサラリーマンの給料・年収と比較すると、タンクローリー運転手の給料はやや高めであると言えます。
まとめ
今回は、タンクローリーの運転にはどのような免許や資格が必要なのか、また免許の取得にかかる費用について解説しました。 タンクローリーの運搬物によっては、危険物取扱者や高圧ガス移動監視者の資格が必要になりますが、これらの資格を取得することで運搬できるものが増やせるため、給料も高くなる傾向があります。 タンクローリーの運転手を目指している方は、これらの資格を取得することで就職も有利になるため、ぜひこの記事を参考に資格取得をしてみてください。