マイクロバス運転手を目指している方は以下のような疑問をお持ちではありませんか。
「マイクロバスって結局どのような免許が必要?費用はどの程度かかる?」
「マイクロバス運転手ってどのような仕事をしている?給料は?」
「現在マイクロバス運転手として働いているけれど自分の給料は高い?低い?」
本記事ではこのような疑問を解決するとともに、マイクロバス運転手に必要な免許やその取得方法・費用、給料事情などについて解説します。
マイクロバスとは?
マイクロバスとは全車両共通で以下のような特徴があります。
・車両総重量8t未満、最大積載量5t未満である
・乗車定員が11人~29人までである(補助席含め)
・トランクがない
・シート配列は車両の片側に2席ずつ並んでおり、もう片側は1席ずつ並んでいる車両が多い
そのほか車両によって、以下のような特徴もあります。
・助手席がない
・テレビやビデオプレーヤーが設置されている
・冷蔵庫が設置されている
このようにマイクロバスは種類が豊富なため、数多くの用途に利用可能です。例えば、大人数の送迎、観光などがあります。なお、マイクロバスと中型バス、大型バスとの違いは以下のとおりです。
バスの種類 | 定員 | 席数 | 全長 |
---|---|---|---|
マイクロバス | 定員29人以下 | 補助席5席程度 | 7m |
中型バス | 定員29人 | 補助席なし | 9m |
大型バス | 定員30人〜50人以上 | 補助席7席前後 | 11m~12m |
マイクロバスを運転するために必要な免許
マイクロバスに必要な免許は以下の4点です。
・8t限定なしの中型免許
・8t限定なし中型二種免許
・大型免許
・大型二種免許
もともと、1970年8月20日の道路交通法改正により、乗車定員が11名以上の車両は大型免許が必要になりました。しかし、2007年6月2日に再度改正された道路交通法により、中型自動車として扱われるようになっています。それ以降、8t限定なしの中型免許で運転が可能になりました。なお、2007年6月2日以前に普通免許を取得した方は、8tに限る中型車のみを運転できますが、手続きを行うことで8t限定の解除を行えます。もし、免許証に「中型免許(8t)に限る」という記載がある場合は、マイクロバスの運転はできないため注意が必要です。ではここから、マイクロバスの運転に必要な免許について、「運転できるようになる車両」「取得条件」の2つを解説します。
8t限定なしの中型免許
1つ目は8t限定なしの中型免許についてです。
【運転可能な車両】
・定員が11人〜29人
・最大積載量4.5t以上6.5t未満
・車両総重量7.5t以上11t未満
例えば、8tトラック、マイクロバスなどが挙げられます。
【取得条件】
・満20歳以上である
・視力や聴力などが定められた水準を超えている
・第一種免許を取得して2年以上の運転経歴がある
なお、免許の取得方法については、「8t限定中型免許を持っている方」と「普通自動車免許を持っている方」で方法が異なります。8t限定中型免許を持っている方は、限定解除を行うことで、8t限定なしの中型免許を取得可能です。普通自動車免許のみ持っている方は、中型免許をいちから取得する必要があります。
8t限定なし中型二種免許
2つ目は8t限定なし中型二種免許についてです。
【運転可能な車両】
「8t限定なしの中型免許」と同じです。
【取得条件】
・満21歳以上である
・視力や聴力などが定められた水準を超えている
・ほかの第二種免許を取得しているもしくは第一種免許を取得して3年以上の運転経歴がある
原則上記の条件を満たす必要がありますが、2022年5月13日に警察庁が二種免許取得の条件緩和について公表しました。それは、特別な講習を受けた場合は19歳以上、かつ特定の免許を1年以上運転できる状態で保持していると試験を受けられるという内容です。詳しくは警察庁の該当ページをご覧ください。なお、白ナンバーの車両であれば二種免許を取得する必要はありませんが、緑ナンバー(旅客輸送用)を運転する場合は二種免許が必要です。
大型免許
3つ目は大型自動車免許についてです。
【運転可能な車両】
・定員が30人以上
・最大積載量6.5t以上
・車両総重量11t以上
例えば、貨物輸送用の大型トラック、旅客輸送用の大型バス、ダンプカー、タンクローリーなどが挙げられます。
【取得条件】
・満21歳以上である
・視力や聴力などが定められた水準を超えている
・第一種免許を取得して3年以上の運転経歴がある
大型二種免許
4つ目は大型自動車二種免許についてです。
【運転可能な車両】
「大型自動車免許」と同じです。
【取得条件】
・満21歳以上である
・視力や聴力などが定められた水準を超えている
・ほかの第二種免許を取得しているもしくは第一種免許を取得して3年以上の運転経歴がある(警察庁による緩和条件有り) なお、大型二種免許については、免許の取得方法や取得支援制度などの情報をまとめた記事があるため、ぜひこちらも併せてご覧ください。
マイクロバスを運転するための免許取得に掛かる費用
ここでは、先述したそれぞれの免許を取得するためにかかる費用について解説します。前提として、ご自身が現在何の免許を所持しているかで、必要な講習が異なるため費用も変動します。
それぞれの免許にかかる費用は以下のとおりです。
※いくつかの教習所の費用を参考にした金額のため、あくまで目安としてお考えください。
取得する免許 | 所持免許 | 費用(目安) |
---|---|---|
8t限定なしの中型免許 | 普通一種 | 15万円〜21万円 |
準中型5t限定 | 13万円〜19万円 | |
準中型 | 11万円〜17万円 | |
中型一種8t限定 | 7万円〜11万円 |
取得する免許 | 所持免許 | 費用(目安) |
---|---|---|
8t限定なし中型二種免許 | 普通一種 | 31万円〜38万円 |
中型一種 | 24万円〜30万円 | |
普通二種 | 12万円〜18万円 |
取得する免許 | 所持免許 | 費用(目安) |
---|---|---|
大型免許 | 普通一種 | 33万円〜42万円 |
準中型5t限定 | 29万円〜35万円 | |
準中型 | 11万円〜17万円 | |
中型一種8t限定 | 24万円〜30万円 | |
中型一種 | 19万円〜24万円 |
取得する免許 | 所持免許 | 費用(目安) |
---|---|---|
大型二種免許 | 普通一種 | 40万円〜60万円 |
中型車免許 | 30万円〜50万円 | |
大型第一種免許 | 30万円〜40万円 | |
中型二種免許 | 25万円〜30万円 |
中型も大型も二種免許を取得する際は、すでに別の二種免許を取得していると学科教習が免除されるため、費用が最も安くなります。
マイクロバス運転手の給料(年収)
給料事情について触れる前に、簡単にマイクロバスを使用した仕事をいくつか紹介します。
・スクールや学校などの定期送迎
・結婚式や空港の臨時送迎
・献血や健康診断用の会場兼移動 など このように送迎を仕事とする場合が多いです。
では、まずは「バス運転手」という括りでの給料を確認してみます。2021年度に厚生労働省が公表した賃金構造基本統計調査によると、バス運転手の平均給料(年収)は約403.9万円です。平均月給が約33.7万円であり、そのうちの賞与額(ボーナス)は約62万円です。月に22日間働くとすると、日給は約1万5,300円と計算できます。同じ調査より、一般的なサラリーマンの給料は488万円とされているため、比較するとバス運転手の給料の方が低いです。しかし、多くの業種と同じように勤続年数を上げることや規模の大きい会社へ転職を行うことで、平均以上の収入も得られます。
まとめ
今回は、マイクロバス運転手の免許事情について解説しました。2007年6月2日の法改正により、マイクロバスは以下の4つの免許で運転が可能になりました。
・8t限定なしの中型免許
・8t限定なし中型二種免許
・大型免許
・大型二種免許
それぞれ取得条件や方法は異なります。マイクロバス運転手を目指す方は、まずは自分がどの免許を取るべきかを考えた上で、取得に向けて調査を進めてみてください。