タンクローリードライバーはさまざまな液体や気体、個体などを運搬する仕事です。
生活に必要なものを運ぶため、仕事量や収入が安定しやすい一方、きついと感じる人も多いといえます。
タンクローリードライバーに転職したい人にとっては、どのような仕事でどんなところがきついのか、気になるでしょう。
そこで今回はタンクローリードライバーの仕事のきつい部分や対処法について紹介します。
ドライバーの体験談も紹介するので、参考にしてください。
タンクローリードライバーの仕事内容や必要資格について紹介!
まずはタンクローリーのドライバーの仕事内容や必要な免許、資格について解説します。
タンクローリードライバーの仕事内容
タンクローリードライバーとは文字通りタンクローリーを運転する仕事で、以下の車両を運転します。
車両の種類 | 運搬するもの |
危険物ローリー | ガソリンや劇物、毒物などの危険物 |
非危険物ローリー(粉粒体運搬車ローリー) | 食料や飼料などの危険物以外 |
高圧ガスローリー | 高圧ガスや液体窒素などの期待を運搬する |
タンクの容量は最小で12000L程度、最大20000L程度です。
仕事内容は荷物を積み、指定の場所まで運搬して、荷下ろしをして帰社するのが一般的です。
1日1回の運搬で完了する場合や、2~4回ほど運搬を繰り返して業務が完了するケースがあります。
危険物や高圧ガスなどを運搬するには資格が必要になり、資格手当が支給される場合があります。
タンクローリードライバーの一日の流れ
タンクローリードライバーの1日の流れの一例は以下の通りです。
5:00~ 出社
5:30~ 点呼、スケジュール確認、荷物の積み込み、車両点検
6:00~ 出発(目的地まで運転)
8:00~ 目的地に到着、納品、確認作業
8:30~ 出発(次の目的地まで運転、途中で休憩を取ることも)
↓
輸送を繰り返す
↓
15:00~ 帰社、業務報告、車両点検、洗車、点呼
16:00~ 退社
出社時間は早朝となることが多く、出社後は点呼ののち、荷物の積み込みやスケジュールの確認、車両点検を行います。
時間に余裕を持って早めに出発して目的地まで運搬し、目的地に到着後は荷下ろしを行います。
危険物を運搬するケースが多いため、荷下ろし前後には念入りな確認作業が必要になります。
ただし、専用のホースやアームを使用して相手のタンクに荷物を移すケースが多いため、重たいものを運ぶ必要はありません。
納品後の空いている時間で休憩を取る場合もありますが、そのまま帰社するケースもあります。
また所属会社によっては帰社後に再度別の目的地へ運搬するケースがあります。
帰社後は洗車や給油、上司や運行管理者への業務報告を行い、点呼が完了すればその日の業務は終了です。
タンクローリードライバーに必要な資格について
タンクローリーを運転するのに必要な免許は以下のとおりです。
・大型自動車免許
・けん引免許
タンクローリードライバーは大型車に乗ることが多いため、大型自動車免許が必要になります。
この免許があれば、車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上の車両を運転できます。
免許取得の条件は次のとおりです。
・通算で3年以上の運転経歴があること
・免許取得日に満21歳以上であること
・視力と聴力が規定以上であること
また、タンクローリーはセミトレーラー車が多いため、けん引免許の取得が必要です。
けん引免許は普通自動車免許を保有していれば、取得できます。
さらに、運搬物によって必要になる資格は次のとおりです。
・危険物取扱者
・高圧ガス移動監視者
・毒物劇物取扱責任者
液化石油ガスや石油類、有機過酸化物などの危険物の運搬には、危険物取扱者乙種4類の資格が必要です。
また、圧縮ガスや液化ガス、特殊高圧ガスなどの高圧ガスを車両で移動させるには、高圧ガス移動監視者という国家資格が必要です。
資格取得には高圧ガス保安協会の講習を受講した後に、検定試験をパスする必要があります。
毒物劇物取扱責任者とは、毒物や劇物の輸入、製造、販売などを行う企業で、
保育衛生上の危機の防止に当たる責任者を指します。
各都道府県で実施する毒物劇物取扱責任者試験に合格すれば同責任者になることが可能です。
必要な免許や資格についてはこちらの記事も参考にしてください。
タンクローリードライバーの給料や年収、基本的な条件について
次に、タンクローリードライバーの給料や年収、雇用条件について解説します。
タンクローリードライバーの給料・年収は?
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」によれば、タンクローリードライバーの平均年収は477.4万円です。
またハローワークの求人統計データによれば、タンクローリードライバー求人の平均賃金は月額25.9万円となっています。
ただし、運転する車両(=運搬物)によって年収に違いがある点に注意が必要です。
運転ドットコムがリサーチしたところ、運転車両ごとの平均年収と平均月収は以下のとおりです。
・粉粒体運搬車ローリーのドライバー:平均年収約400万円、月収25~40万円程度
・危険物ローリーのドライバー:平均年収450~500万円程度、月収35万円前後
・高圧ガスローリーのドライバー:平均年収400~450万円程度、月収30~35万円程度
なお、正社員として働く場合は、年2回のボーナスが支給されるのが一般的です。
給料や年収については、こちらの記事も参考にしてください。
タンクローリーを運転するのに必要な免許とは?中型免許の取得が必要?
タンクローリードライバーの休日
タンクローリードライバーの仕事では、シフト制や週休2日制を採用しているケースが多い傾向にあります。
年間休日もさまざまですが、GWや年末年始などの大型連休がある企業では年間120日程度の休日が確保される場合もあります。
また、休日出勤が発生する場合には、相応の手当が支給されるのが一般的です。
ただし、所属企業によって大きく異なるため、事前の確認が必要です。
タンクローリードライバーは残業は?
残業は、ほぼ発生しない場合や、慢性的に発生する場合など、さまざまです。
また、交通渋滞が関係することで、意図しない残業が発生することがあります。
ただし、一般的なタンクローリードライバーの仕事では、退社時間が昼過ぎになる場合もあり、
残業しても夕方には退社できるケースが多いでしょう。
こちらも所属する会社によって異なるため、確認することをおすすめします。
タンクローリードライバーのメリット
タンクローリードライバーはきついといわれている一方、以下のようなメリットもあります。
・重い荷物の手積みや手降ろしがない
・長距離運転の機会が少ない
・人間関係に悩まされることが少ない
それぞれ詳しく解説します。
重い荷物の手積みや手降ろしがない
重量のある運搬物を手積みしたり、手降ろししたりする機会が少ないことがメリットの1つです。
タンクローリーで運搬する液体や気体、粉粒体の荷降ろしは、納品先のタンクにホースなどをつないで行います。
そのため、ドライバーが実際に荷物を運ぶことがなく、ドライバーにとっては待ち時間となるケースがほとんどです。
一般的なトラックドライバーと比較して体力的な負担が少ないといえます。
長距離運転の機会が少ない
長距離運転の機会が少ないというメリットもあります。
タンクローリーを使った運搬は地場での運搬が多く、遠くても中距離程度となるのが一般的です。
まれに長距離輸送が必要になるケースもありますが、車中泊となることは少なく、
会社がタンクローリー用のガレージや宿泊先を用意してくれるケースが多いといえます。
地場ドライバーとしての運搬業務が多いため、勤務時間が一定になりやすく、残業が発生しづらくなります。
また、残業が発生しても昼過ぎや夕方前には退社できるため、プライベートの時間を充実させることも可能です。
長距離ドライバーと比較して、精神的・体力的な負担が少ないのも、この仕事の魅力といえます。
人間関係に悩まされることが少ない
人間関係に悩まされるケースが少ない点もメリットです。
一般的なトラックドライバーの場合、1日に何件もの配送先に訪問するケースがあります。
さまざまな関係者に接する機会が多いため、中には態度の悪い人や相性の合わない人がいる可能性があります。
ストレスを感じたり、トラブルに発展したりするかもしれません。
タンクローリーのドライバーは1日の配送件数が少なく、関係者と接する機会も多くありません。
その分、人間関係に悩まされることも少ないでしょう。
タンクローリードライバーの仕事はきついってホント!?体験談も紹介!
ここでは、タンクローリードライバーの仕事がきついといわれる理由や体験談を紹介します。
タンクローリードライバーがきついと言われる理由
タンクローリードライバーの仕事がきついといわれるのは、以下のような理由があるためです。
・運転が難しい
・運転ルールが厳しい
・確認作業が多い
・拘束時間が長い
それぞれ詳しく解説します。
運転が難しい
きついといわれる理由の1つが、運転の難しさです。
大きな車両を運転することが多く、液体を運搬している場合は、
タンク内で液体が動く遠心力が生じて車両が流される場合もあります。
運転の難易度が高く、高い運転スキルと集中力が要求されるため、きつく感じることがあるでしょう。
運転ルールが厳しい
運転ルールが厳しいのも、きついといわれる理由です。
危険物を運搬する場合、少しのミスが事故につながる恐れがあります。
ガソリンや灯油を運搬している場合、事故の影響が大きくなることも考えられます。
そのため、速度規制や作業手順などが細かく定められていることに加え、少しのミスも許されないのです。
すべてを把握した上で実行しなければならないのが、この仕事のきついところでしょう。
確認作業が多い
確認作業が多いのも、この仕事の厳しい部分です。
例えば、灯油にガソリンが混ざってしまい、その灯油をそのままストーブに使用した場合、火災が起きる恐れがあります。
このように、異なる油種が混ざることをコンタミといい、絶対に避けなければならないことの1つです。
このような事態を防ぐために、荷下ろし時の確認作業について細かく定められています。
近年はコンピュータ制御によって、コンタミは発生しにくくなっているものの、細かい確認が必要になることは理解しておく必要があるでしょう。
拘束時間が長い
拘束時間が長くなることがあるのも、きつい理由の1つです。
所属する企業によって異なりますが、早朝に出勤して退社するのが夜になる場合もあります。
また、道路状況によっては帰社の時間が遅くなる場合もあるでしょう。
さらに、24時間体制で稼働するタンクローリーの運搬事業では、交代制で運転を交代する仕事もあります。
勤務時間や残業の内容について、事前に確認する必要があるでしょう。
ただし、国の政策により、ドライバーの労働時間の改善が進んでいるため、拘束時間の長さは今後解消される可能性があります。
タンクローリードライバーの体験談を紹介!
ここでは、タンクローリードライバーとして仕事をしている方の体験談を紹介します。
~ケース①~ Sさん 勤務歴1年目
スーパーマーケットの店員からバスの運転手に転職したのですが、
労働環境が厳しい上、定収入だったため、転職を検討していました。
危険物取扱者の資格を持っていたことから、タンクローリードライバーの求人に応募。
けん引免許を取得して、晴れて新しい仕事に就けました。
職場はいい人ばかりで働きやすいですが、トレーラーの運転には想像以上にスキルがいることを知りました。
ドライバーの経験は長かったのですが、まだトレーラーを満足に乗りこなせておらず、勉強の日々です。
参考:みんなの転職「体験談」
~ケース②~ Mさん 勤務歴2年目
中型トラックのドライバーとして5年、大型貨物のドライバーとして3年働いた後、
タンクローリードライバーとして就職できました。
ドライバーの仕事は時間との闘いとなるため、知恵や工夫、体力が必要になることを思い知りながら、日々奮闘しています。
~ケース③~ Tさん 勤務歴12年目
荷物を取引先まで安全かつ確実に届けることにプレッシャーを感じながら仕事に取り組んでいます。
交通渋滞でも遅れてしまっては取引先に迷惑をかけることになるため、いつも気を抜くことができません。
配送時間が深夜や早朝になることもあり、夜間運転が必要になる場合は、体力的な辛さを感じることがあります。
タンクローリードライバーの仕事がきつい際の対処法
タンクローリードライバーの仕事がきついと感じる場合、次に挙げる対処法を試してみましょう。
・勤務時間や勤務日数について相談する
・他のドライバー職に転職する
・他の職種に転職する
勤務時間や勤務日数について相談する
勤務形態に対してきついと感じている場合は、勤務時間や勤務日数を調整できないか相談しましょう。
社内で調整可能な場合、体力面や精神面での負担を軽減できる可能性があります。
慣れた仕事を続けるための最善の対処法となるため、上司に相談することを検討しましょう。
他のドライバー職に転職する
タンクローリー車の運転や規則に難しさを感じている場合は、他のドライバー職への転職を考えましょう。
他のドライバー職でも安全運転が求められるものの、タンクローリーほど細かい規定がない場合が多く、運転の難易度も下がる可能性があります。
運転の仕事を続けたい場合は、自分に合ったドライバーの仕事を探すのも1つの手段です。
他の職種に転職する
タンクローリードライバーの仕事自体にきつさを感じているなら、他の職種への転職を検討した方がいいかもしれません。
これまでに経験した仕事や、やってみたい仕事、未経験者を歓迎する仕事などから、自分に合った仕事を探してみましょう。
その際は求人サイトや転職エージェントを利用したり、ドライバー仲間に相談したりするといいでしょう。
タンクローリードライバーの一般的な離職力はどのくらいなの?
厚生労働省が発表している「令和4年雇用動向調査結果の概況」によれば、
令和4年(2022年)の運輸業・郵便業の離職率は12.3%です。
なお、この調査での「離職者数」には他企業への出向者も含まれているため、純粋に仕事を辞めた人の割合ではありません。
そのため、参考程度に見る必要があるでしょう。
一方、運輸業・郵便業の入職率は10.2%となっていることから、離職する人の割合の方が多いことがわかります。
タンクローリードライバーに転職するためには?
タンクローリードライバーに転職するには、以下のポイントを押さえておきましょう。
・必要な免許を取得する
・仕事を探す
必要な免許を取得する
タンクローリードライバーに転職したい場合、事前に免許を取得しておくと有利になります。
特に大型免許やけん引免許は、タンクローリードライバーとして仕事をする場合に必要になるため、事前に取得しておいた方がいいでしょう。
また、運搬物によっては危険物取扱者や毒物劇物取扱責任者、高圧ガス移動監視者などの資格が必要です。
応募したいタンクローリードライバーの種類が決まっている場合は、事前に資格を目指してみましょう。
仕事を探す
タンクローリードライバーに転職したい場合は、求人サイトや転職エージェントを利用して仕事を探しましょう。
求人サイトはさまざまな業種・職種の求人を検索できるサービスです。
求人探しから応募、面接まで、すべて自分で行えるのが特徴です。
転職エージェントは無料で利用できる転職支援サービスです。
専任のコンサルタントが求職者のスキルや経歴を基に、条件に合う転職先を紹介してくれます。
提出書類の添削や、面接・入社日程の調整など、さまざまなサポートをしてもらえるのが特徴です。
求人を探す場合は、求人サイトと転職エージェントを併用すると仕事が見つかりやすくなるでしょう。
なお、ドライバー求人サイト「運転ドットコム」でも、ドライバー求人を多数取り扱っているので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
タンクローリードライバーの仕事はきついといわれる一方、メリットを感じられる仕事でもあります。
所属企業によって待遇や雇用条件は異なるため、事前に求人情報をくまなく確認することが大切です。
本記事を読んでタンクローリードライバーの仕事に関心がある場合は、ドライバー求人サイト「運転ドットコム」を利用して仕事を探してみてください。