世間では運送業は「やばい」仕事とささやかれることが多いです。
ただ、なぜ「やばい」と言われているのかの理由まで
ご存知の方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、運送業は本当にやばいのか、
やばいと言われる理由について詳しくご紹介します。
運送業はやばいのか?
運送業がやばいと言われているのは、さまざまな背景があるのです。
運送業は運転する仕事ですので、事故や交通違反のリスクがあれば、
拘束時間が長いという現状もあります。
また体力的な負担が大きいことは言うまでもありません。
具体的に運送がやばい理由について、次で詳しくみていきましょう。
運送業の実態調査してみた!
運送業の実態調査を行なうと、以下のようなことが分かりました。
会社がやばい?
まず会社についてみていきましょう。
運転手が車両整備をしている
通常、車両の整備は、自動車整備士の資格をもった整備管理者が行ないますが、
やばい会社は整備管理者の名前だけ登録し、実際の整備は運転手が行なっているのです。
タイヤ交換やローテンションなどの作業するために、
勤務時間の数時間前に出勤することもあります。
整備のプロでない運転手が整備を行ない、
もし事故が発生した場合、会社が責任追及されるのは言うまでもありません。
荷物を破損した場合は自腹で弁償
荷物を輸送しているときに破損させてしまった場合、
本来は会社が補償しますが、運転手の給料から天引きする会社もあります。
最悪なケースでは、自分が荷積みしていないトラックを運転した際に
荷崩れを起こし、荷物が破損してしまいました。
その場合も、トラック運転手の責任を負うことになるなど、
最悪なケースもあるのです。
高速道路が使えない
遠方への輸送にも関わらず、高速道路の利用を認めてくれない会社があります。
もし高速道路を利用した場合は運転手の給料から高速代が天引きされます。
会社は荷主から高速代を徴収しているのにも関わらず、
高速道路を利用させてくれないやばい会社が実際にあるのです。
待遇がやばい?
次に待遇についてみていきましょう。
正社員なのに日給
正社員は月給のところがほとんどですが、日給の会社があります。
日給の場合は、その日に働いた分の給料しか発生しないことから、
有給休暇や慶弔休暇などの休暇の設定もありません。
日給分を銀行振込ではなく手渡しで支給しているところもあるのです。
雇用契約書がない
労働基準法第15条1項では、使用者は労働契約を提携する際に、
労働者に対して賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければなりません。
労働条件を明示しないまま労働者を働かせることは、罰金や書類送検の対象になります。
そのような状態を継続しているやばい会社が実際にあるのです。
面接後すぐに働ける
面接後すぐに働ける会社はやばい会社です。
面接後、採用が決まったとしても、労働条件を提示してもらわなければなりませんし、
必要に応じて研修を受けなければなりません。
前述のように、採用後の手続きをきちんとしていない会社はやばい会社なのです。
労働環境がやばい
最後に労働環境についてみていきましょう。
男性優位な社会
2024年現在、国土交通省がトラガールのような取り組みをしており、
運送業にも女性の進出が見受けられるようになりました。
ただ昭和時代のように、
いまだに運送業では昭和時代の男性優位な社会が根強く残っています。
会社の運行管理者が男尊女卑の考え方をもって会社を運営しているため、
どうしても女性が嫌がらせを受けるのです。
休憩時間の概念がない
トラック運転手は、一度トラックに乗って乗務が始まると、
途中で休憩時間があるという概念がほとんどありません。
2014年にタコグラフ(運行記録計)の装着が義務となりましたが、
悪質な会社はタコグラフが記録されないような策を考えたりしています。
休憩時間は労働基準法第34条で、一般職の休憩時間の規定が書かれていますし、
自動車運転者の場合は、連続運転時間は4時間まで、
4時間を経過した場合は運転を中断して30分以上の休憩などを
確保しなければなりません。
ずさんなアルコールチェック
2011年から運送会社では点呼時にアルコールチェックが義務付けられました。
しかしアルコールチェックがずさんな会社では、
アルコールが飲めない人が全員分のアルコールチェッカーを受け、
運転手全員がアルコールチェックが合格している状況にしているのです、
万が一、アルコールが入っている状態で乗務した場合、会社だけでなく、
運転手本人も重大な責任を負わなければならないことは言うまでもありません。
運送業がやばいと言われている理由について
上記で運送業の実態について触れてきました。
ここでは運送業がやばいと言われている理由についてみていきましょう。
理由①事故発生率がやばい
運送業はトラックに乗務する仕事ですので、常に事故と隣り合わせの状態です。
労働災害の頻度を示す「死傷年千人率」は、他業種が2%台であるのに対して、
運送業は8.89%と事故発生率が高くなっています。
気を付けて運転していても、他から事故に巻き込まれる可能性もありますので、
運送業は事故発生率がやばいのです。
理由②クレーム処理がやばい
最近ではネットでの商品購入がさかんであることから、
運送業者が扱う量が多くなりました。
運送業者の荷物量が増えると時間指定や再配達の対応が遅くなり、
クレームが寄せられることが増えてくるのです。
また発送元の包装や梱包の不備があったとしても、
配送中に不備があったいうことで、運送会社にクレームをつけてくる場合もあり、
運送会社が対応に困難しています。
理由③労働環境がやばい
トラック運転手は長距離トラックほど、長時間労働を強いられることになります。
近距離トラックでも、輸送中に渋滞に巻き込まれると、
必然と時間外労働することになるのです。
トラック運転手の人手不足が慢性化しているため、
トラック運転手の負担はますます増えるばかり。
このようにトラック運転手は過酷な労働環境の中で働いています。
運送業の今後について
前述でトラック運転手がやばい環境におかれていることがわかりました。
2024年4月1日に労働基準法第36条を含めた改正労働基準法が施行され、
トラック運転手の時間外労働時間の上限が960時間までに制限されることになり、
トラック運転手の労働環境の改善が図られています。
また情報システムを活用した荷待ち時間の削減や、
荷積み・荷下ろしする荷物をパレットに積載するなど、
仕事内容の効率化も徐々に見受けらるようになりました。
人手を確保するためには「トラック運転手の仕事はやばい」という現実を
払拭しなければばなりません。
このように現在の運送業界では
トラック運転手が働きやすい環境づくりが少しずつ拡大しているのです。
この内容に関しては、運転ドットコムの下記の記事にも記載していますので、
合わせて参考になさってください。
運送業が問題視している「2024年問題」とは?運送業の働き方改革で何が変わるのか?対応策や事例も紹介
現役運送業勤務の方に聞いた口コミ3つ
最後に現役運送業勤務の方に聞いた口コミを3つご紹介します、
~体験談①~Hさん・40代男性・勤務歴10年
以前は大手宅急便会社に勤務していましたが、
体力的・精神的にきついと感じるようになり、
コンビニルート配送の仕事に転職しました。
コンビニルート配送の仕事は、
配送するルートが決まっていることに合理さを感じており、
体への負担が少なく感じています。
大手宅急便会社では、その日に入ってくる荷物の配送先がバラバラで、
配送先を地図で調べながら荷物を届ける日々でしたので、転職して正解でした。
~体験談②~Kさん・30代男性・勤務歴4年目
長距離トラックを運転していますが、
荷主の指定された時間に数時間前に現地に到着するようにしています。
ただあまりに早く現地に到着しても、
荷主の近辺はトラックを停めておくができないため、
荷下ろし先の近くにトラックを停められる場所にトラックを停めて待機しています。
遠方ほどかなり時間に余裕をもって出発しなければいけませんし、
荷主のところに到着するまで定刻に到着できるのか
ヒヤヒヤしながら乗務しているのが精神的にきつさを感じます。
~体験談③~Uさん・50代男性・勤務歴14年目
トラック運転手の仕事は単調なものであるため、すぐに仕事には順応でき、
1人で仕事をしていることから、
人間関係による大きなストレスを抱えることがありません。
ただ渋滞に巻き込まれると退勤時間は遅くなりますし、
夜中の荷下ろしは近隣住民へのさらなる配慮が必要で神経を使います。
身体的なきつさもありますが、精神的なきつさもある仕事だと感じています。
まとめ
運送業は本当にやばいのか、やばいと言われる理由について、
ご理解深まりましたでしょうか。
運送業の労働環境は2024年4月から改善される方向に向かっていますが、
すぐにか改善できている運送会社は少ないです。
トラック運転手はやばい仕事と言われているのは間違いありませんが、
労働環境が改善されることで、人手不足が解消される可能性があります。
本記事を参考に、運送業の実態についてお知りいただければ幸いです。