タクシー運転手の中には、お酒が好きな方がいらっしゃるでしょう。
勤務を終えた後のお酒は格別なものですが、翌日に勤務を控えている場合、
お酒の摂取については気をつけなければなりません。
本記事では、タクシー運転手はお酒は飲めるのか、
飲酒基準や飲酒運転時の逮捕例について詳しく解説します。
タクシー運転手はお酒は飲んでもいいのか?
タクシー運転手はお酒を飲んでも構いませんが、
翌日の業務に支障が出ないよう気をつけなければなりません。
どこのタクシー会社も乗務前にはアルコール検査が行なわれており、
検査に合格しなければ乗務することができないのです。
タクシー運転手の飲酒基準については、次でご紹介します。
またタクシーの定義については、運転ドットコムの下記の記事で
ご紹介していますので、合わせて参考になさってください。
タクシー運転手の飲酒基準について
タクシー運転手をはじめ、
運転手の仕事では体内にアルコールが入っている状態では乗務することはできません。
ではどれくらいの飲酒量であれば次の日の業務に支障をきたさないのでしょうか。
ここでは、タクシー運転手の飲酒基準についてみていきます。
お酒の適量は?
お酒の適量は、乗務前日の何時に飲酒をするかによりますが、
1日のアルコール量は20gまでが安全と考えられます。
1日のアルコール量が40gでも大丈夫ともいわれますが、
体内のアルコールが抜けるまでの時間には個人差がありますので、
40gでは安全とは言い切れません。
またお酒を飲みすぎると二日酔いになる可能性がでてきます。
二日酔いは、体内からアルコールは抜けていますが、
アルコールを分解する際に発生する毒素が体内に残っているのです。
よって、二日酔い状態では体調不良や判断力低下を引き起こしてしまい、
運転するのは危険な状態をいえます。
これらのことを踏まえると、1日のアルコール量は20gまでが安全で、
具体的には、ビールの場合は350ml程度、日本酒の場合はグラス1杯が目安です。
翌日に乗務がある場合は、アルコールの摂取は上記の量に留めておき、
翌日は安全に乗務できるようにしておきましょう。
どのくらいの時間で抜ける?
1時間で抜けるアルコール量は、「体重(kg)×0.1」(g)といわれています。
例えば体重が60kgの場合、1時間で抜けるアルコール量は6g程度ですが、
これはあくまでも目安です。
アルコール度数5%の500mlのビールには、
500g×5%=25gのアルコールが含まれていますので、
体重60kgの人の場合、早ければ4時間程度でアルコールが抜けますが、
遅い人の場合はアルコールが抜けるまでに6時間以上かかる場合もあります。
もし500mlのビールを2本飲むと、
12時間経過してもアルコールが抜けていない可能性があるのです。
アルコール検査を朝9時に実施する場合、
前日の夜9時までにビールを飲み終えていなければ、
アルコール検査に不合格になる可能性が高くなります。
これらを踏まえて、前日は遅い時間まで飲酒したり、
たくさんのお酒を飲むことは控えましょう。
以下は、各お酒に含まれるアルコール量の目安ですので参考になさってください。
種類 |
量 |
度数 |
アルコール量 |
ビール |
500ml |
5% |
25g |
チューハイ |
500ml |
9% |
45g |
ハイボール |
350ml |
7% |
24.5 |
ウイスキー |
30ml(シングル) |
40% |
12g |
焼酎 |
180ml(1合) |
25% |
45g |
日本酒 |
180ml(1合) |
15% |
27g |
ワイン |
120ml(グラス1杯) |
12% |
14.4g |
上記で示したチューハイはストロングチューハイの度数を示しています。
ストロングチューハイはお手頃価格で飲みやすいことから、飲む人が多いですが、
500mlのストロングチューハイは1本飲むだけで、
アルコール量が40gを超えているのです。
お酒を組む合わせて飲まれる場合は、
上記の表を参考にアルコール量を計算して飲まなければなりません。
またお酒を飲む時間にも気をつけなければならず、
前述のように40gにアルコール量の場合、
飲んでから12時間経過してもアルコールが体内に残っている可能性が高いです。
翌日に勤務を控えている場合は、
お酒を飲みたくても量を加減して飲まなければなりませんのでご注意ください。
タクシー運転手は運行前のアルコール検査が義務化!
2011年5月に、タクシー運転手をはじめ、運転手の仕事をしている業種では、
乗務前にアルコール検知器を用いたアルコール検査が義務付けられています。
一般に、道路交通法第65条で規定されているように、
酒気帯び運転の基準は、呼気1Lあたりのアルコール濃度が0.15mg以上、
または血液1mlあたりのアルコール濃度が0.3mg以上となっています。
タクシー運転手のような乗務員は、アルコール検査で0.15mg/L未満でも
「アルコールあり」とみなされ、タクシーに乗車できません。
アルコール検査は、タクシー会社に出社時と退社時に行なわれます。
タクシー会社では出社時のアルコール検査と、
退社時のアルコール検査の間を勤務時間としているところもあるのです。
安全運転に徹するためにも、乗務を控えている場合、
その前の飲酒については十分に気をつけなければなりません。
飲酒運転の罰則とは?
飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があり、
以下のようにそれぞれ罰則・行政処分が異なります。
<罰則>
酒気帯び運転 |
3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
酒酔い運転 |
5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
<行政処分>
酒気帯び運転 |
アルコール濃度0.15mg以上0.25mg未満の「酒気帯び運転」の場合、違反点数13点が加算され、免許停止90日の処分 |
酒酔い運転 |
アルコール濃度0.25mg以上の「酒気帯び運転」の場合、違反点数25点が加算され、免許取消し、欠格期間2年の処分 |
初犯では、略式起訴による罰金刑となることが多く、
20万円~30万円程度の罰金となることが多いです。
初犯でない場合は公判請求されることがあり、
執行猶予中での飲酒運転は実刑判決となる可能性があります。
タクシー運転手の飲酒運転での逮捕例
上記のような法律がある中、
タクシー運転手が飲酒運転したことにより逮捕された事例があります。
アルコール検査があるのにも関わらず、飲酒運転ができるのは、
以下のような行為に及んでいる可能性が高いです。
・勤務中に飲酒した
・勤務中にアルコールを含むものを飲食した
・アルコール検査を実施していないのに、実施したと偽った
では実際のタクシー運転手の運種運転による逮捕例についてみていきましょう。
ケース①酒気帯び運転・54歳男性・福岡県
2024年9月15日午前3時前、福岡市中央区大手門の市道で、
タクシー運転手の54歳の男が酒を飲んで運転したとして現行犯逮捕されました。
タクシーが信号停車中の軽乗用車に追突する事故が発生したことから、
タクシー運転手の酒気帯び運転が発覚、その場で逮捕されたものです。
勤務時間外でしたが、
タクシー運転手は「酒を飲んで運転したことは間違いない」と容疑を認めています。
本人が追突事故を通報しましたが、ろれつが回らないほど飲酒しており、
タクシー運転手としての自覚が確認される事故となりました。
ケース②酒酔い運転・51歳男性・静岡県
2024年9月12日午前8時頃、静岡県伊東市の伊東市役所で、
タクシー運転手の51歳の男が酒を飲んで運転したとして現行犯逮捕されました。
男は伊東市役所で自身の軽自動車を止める際、停車中の車にぶつかり、
それを見た通行人が警察に通報しました。
駆け付けた警察官が、男に話を聞こうとしたところ、
話もまともにできない状況でした。
男が運転していた軽自動車はタクシーではありませんでしたが、
普段はお客様の命を預かる仕事をしているタクシー運転手として、
飲酒状態でハンドルを握るのは、運転のプロとしてあるまじき行為です。
まとめ
タクシー運転手はお酒は飲めるのか、飲酒基準や飲酒運転時の逮捕例について、
ご理解深まりましたでしょうか。
運転手が飲酒運転を行為は言語道断であり、
お客様の命を預かって乗務を行なうタクシー運転手は、
プロとして日頃から飲酒に関しては強く意識しなければなりません。
とくに翌日に乗務を控えている場合は、お酒の飲み方に十分注意を払いましょう。
本記事を参考に、飲酒運転は絶対にやってはいけないという
意識をもっていただければ幸いです。