運行管理者は、事業用自動車の安全な運行を管理するスペシャリストで、
事故防止、安全な輸送を実現する責任者のことをいいます。
運行管理者になるためには、
年に2回実施される運行管理者試験に合格しなければなりません。
運行管理者試験にはどのような傾向があり、対策はどうすればいいのでしょうか。
本記事では、運行管理者試験の出題形式や出題範囲について、
傾向や対策、合格のポイントについて、詳しく解説します。
運行管理者試験の出題形式について
運行管理者試験の出題形式は2パターンあります。
1つめは、文章の正否問題で「次の文章のうち、内容が正しいものを選びなさい」
といったパータンです。
2つめは、穴埋め問題で「次の文章中の空欄にあてはまる語句を答えなさい」
といった形式となります。
語句を覚えることで穴埋め問題は対応できますが、
内容をきちんと理解しておかなければ正否問題を解くことは難しいでしょう。
運行管理者試験の出題される範囲
運行管理者試験の出題される範囲は以下の通りです。
<貨物>合計30問
内容 |
出題数 |
貨物自動車運送事業法 |
8問 |
道路運送車両法 |
4問 |
道路交通法 |
5問 |
労働基準法 |
6問 |
その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識・能力 |
7問 |
<旅客>合計30問
内容 |
出題数 |
道路運送法 |
8問 |
道路運送車両法 |
4問 |
道路交通法 |
5問 |
労働基準法 |
6問 |
その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識・能力 |
7問 |
法律問題の出題が中心となっています。
各出題範囲でのポイントは後述しますので、そちらで詳細をご確認ください。
運行管理者試験の合格基準
前述のように、運行管理者試験の出題範囲が定められています。
中でも「その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識・能力の分野」については
最低2問、他の分野では最低1問の正答が必須で、合計18問以上の正解で合格です。
運行管理者試験の過去問を紹介!
運行管理者試験の過去問の一例についてみていきましょう。
文章正否の問題
ここでは、文章の正否についての一例を挙げておきます(令和4年度試験)。
問題 |
貨物自動車運送事業に関する次の記述のうち、【正しいものを 2 つ】選びな |
選択肢 |
①一般貨物自動車運送事業者は、「事業用自動車の運転者及び運転の補助に従 事する従業員の休憩又は睡眠のための施設の位置及び収容能力」に係る事 業計画の変更をしようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければ ならない。 ②貨物自動車運送事業とは、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送 事業、貨物軽自動車運送事業及び貨物自動車利用運送事業をいう。 ③一般貨物自動車運送事業者は、運送約款を定め、又はこれを変更しようと するときは、国土交通大臣の認可を受けなければなければならない ④一般貨物自動車運送事業の許可の取消しを受けた者は、その取消しの日か ら 2 年を経過しなければ、新たに一般貨物自動車運送事業許可を受けるこ とができない。 |
穴埋めの問題
次に、穴埋め問題についての一例を挙げておきます(令和4年度試験)。
問題 |
一般貨物自動車運送事業者(以下「事業者」という)の事業用自動車の運行の安全を確保するために、事業者が行う国土交通省告示で定める特定の運転者に対する特別な指導の指針に関する次の文中、A、B、Cに入るべき字句として【いずれか正しいものを 1 つ】選びなさい。 |
選択肢 |
事業者は、適齢診断(高齢運転者のための適性診断として国土交通大臣が認定したもの)を運転者が 65 才に達した日以後 1 年以内に 1 回受診させ、その後[ A ]以内ごとに 1 回受診させること。 事業者は、初任運転者に対する特別な指導について、当該事業者において初めて事業用自動車に乗務する前に実施すること。ただし、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後[ B ]以内に実施すること。 事業者が行う初任運転者に対する特別な指導は、法令に基づき運転者が遵守すべき事項、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転に関する事項などについて、15 時間以上実施するとともに、安全運転の実技について、[ C ]以上実施すること。 A:① 2 年 ② 3 年 |
運行管理者試験に合格するための勉強方法
運行管理者試験に合格するための勉強方法について、以下を参考になさってください。
勉強方法①自分に合ったテキストで勉強する
運行管理者試験対策の教材は複数販売されていますが、
自分が勉強しやすいテキストを使うのがいいでしょう。
傾向やポイントがまとめられたテキストを使用すると、
より効率的に学習を進めることができます。
勉強方法②過去問を何度も解く
過去問を解くことで、出題傾向や時間配分をつかむことが可能です。
何度も解いているうちに、注意すべきポイントなど、
自身で注意しなければならないところもみえてきます。
勉強方法③CBT試験のやり方を知っておく
運行管理者試験は、2021年より筆記試験が廃止され、CBT試験のみになりました。
パソコン上で受験が完結しますので、
CBT試験の流れをよく理解した上で運行管理者試験を受験する必要があるのです。
運行管理者試験の合格するポイント6つ
運行管理者試験に合格するためには、以下のポイントをおさえておくといいでしょう。
ポイント①正答率60%で合格できる
運行管理者試験は30問中、18問以上の正解で合格となります。
「12問まで間違えても大丈夫」という
ポジティブな考えをもって受験すると気が楽になるものです。
ポイント②数字表記のものは頭に叩き込む
例えば「〇〇から3m以内」といったような数字で表記されているものは、
内容を整理して頭に叩き込みましょう。
数字を暗記するだけで点数を取ることが可能です。
ポイント③計算問題の対策に時間をかけすぎない
運行管理者試験では、小学生算数レベルの速さに関する出題があります。
ただ出題数は1問のみですので、計算問題の対策に時間をかけすぎる必要はありません。
ポイント④「誤っているものを選べ」の問題で点数を落とさない
誤っているものを選ぶ問題では点数を落とさないことです。
他の選択肢が正しい内容を締め示していることが分からなくても、
誤りの内容を見つけることができれば正解になりますので、確実に点数を取りましょう。
ポイント⑤事例問題の判断は直観で解くことも重要
運行管理者試験では、事例を読んで、
その内容が「適切」か「不適切」かを判断する問題が出題されます。
本来は法律の知識をもって解くのですが、
もし法律の知識が抜けていたとしても
直観で解くこともできることを知っておいてください。
ポイント⑥初めて見る問題が出ても焦らない
最近の運行管理者試験では、30問中5問程度は、
過去問や市販の参考書にも掲載されていない問題が
出題されると思っておいたほうがいいでしょう。
初めて見る問題が出題されたとしても、落ち着いて問題を読んで解いてください。
運行管理者試験の実施日
運行管理者試験は、年に2回(8月頃・3月頃)のそれぞれ1カ月程度の期間で実施されます。
例えば、2024年度第1回運行管理者試験は、
2024年8月3日(土)~9月1日(日)が試験期間となっており、
申請受付期間は2024年6月10日(月)~7月10日(水)となっていました。
実施日の詳細は、公益財団法人「運行管理者試験センター」の
Webサイトを参照してください。
運行管理者試験の申込の流れ
前述のように、運行管理者試験は年に2回(8月頃・3月頃)の
それぞれ1カ月程度の期間で実施されます。
申込期間は、8月頃実施分は6月中旬から、3月実施分は1月中旬から
申し込みは、「運行管理者試験センター」のWebサイトから行なってください。
まとめ
運行管理者試験の出題形式や出題範囲について、
傾向や対策、合格のポイントについて、ご理解深まりましたでしょうか。
運行管理者試験には、出題形式や範囲がありますので、
まずはその傾向をつかんで対策するようにしてください。
合格のポイントについてもおさえておくことで、より合格に近づくことができます。
運行管理については、運転ドットコムの下記の記事にも
記載していますので、合わせて参考になさってください。
本記事を参考に、運行管理者試験を受けてみてはいかがでしょうか。