ロードプライシングはロンドンやシンガポールではすでに採用されている制度です。
日本でもロードプライシングの導入が進められていますが、
ロードプライシングとはどのような制度なのでしょうか。
本記事では、ロードプライシングを適用する理由や事例について、詳しく解説します。
ロードプライシングとは?
ロードプライシングとは、高速道路の料金を、時間帯、曜日、区間などで調整し、
自動車の交通量を抑制することで、渋滞緩和や環境負荷の低減を図るものです。
特定の道路を自動車で利用するためには課金しなければなりません。
近年、日本ではロードプライシングを採用していますが、
ロンドンやシンガポールなど、
国外の都市では以前からロードプライシングを導入しているところもあります。
ロンドンやシンガポールでは、ロードプライシングを導入した結果、
自動車の交通量を抑制することができ、渋滞緩和を図ることに成功しているのです。
このようにロードプライシングは、
渋滞緩和や環境負荷の低減に結び付く大切な制度です。
ロードプライシングが適用されることになった理由は?
ロードプライシングを適用されることになった理由には、以下のようなものがあります。
・交通渋滞や大気汚染の激しい地域で、自動車の使い方を見直してもらうため
・交通渋滞の解消や安全性の向上を図るため
・課金による収入でインフラ整備等の財源を図るため
自動車は確かに便利な乗り物で、
人口が集中している地域や会社企業・住宅が多いところでは自動車は集中しがちです。
しかし自動車の利用頻度が多いと、交通渋滞や排ガスによる大気汚染はもちろんのこと、
二酸化炭素排出や排熱により、地球温暖化などの環境問題を引き起こしてしまいます。
ロードプライシングが適用されることで、
特定の地域に自動車で入るためには料金を支払わなければなりませんが、
その収入はインフラ整備等に充当されますので、
使用する道路等の環境はよくなるでしょう。
ロードプライシングの事例を紹介!
ロードプライシングの事例についてご紹介します。
ロンドンの例
ロンドンでは、2003年に交通渋滞が激しいビジネス街に自動車を乗り入れる場合、
渋滞課金システムに基づいて、
一律で11.5ポンド(約1,800円)を支払わなければなりません。
平日7:00~18:00の時間帯で、すべての車両(二輪車・タクシー・バス・緊急車両等を除く)が課金の対象です。
自家用車の利用をしなくなった市民の85%以上は、
積極的に公共交通機関を利用するようになりましました。
シンガポール
シンガポールでは、道路上にある ERP(Electronic Road Pricing)ゲートを通過した際に、
近距離無線通信を利用して課金するシステムを導入しました。
車両が時速20~30kmで都市内の主要道路を走行できるよう、
走行している量に応じて通行料金が変動するシステムが採用されています。
自家用車の利用減少や公共交通機関の利用増加が確認されていますが、
一方で、個々の車両が搭載するシステムやゲート等の設備の敷設など、
導入コストが高いことが課題となっています。
2025年から高速道路もロードプライシング適用に!
日本でも2025年度より、
高速道路におけるダイナミックロードプライシングを
全国へ拡大する方針を政府が固めています。
東京オリンピック開催時には、
首都高速道路で時間帯による変動通行料を実施したり、
2023年からは東京湾アクアラインで時間帯でロードプライシングを導入しています。
ただ高速道路の利用者は、利用時間をずらせる人ばかりではなく、
時間をずらせない人にとっては
実質値上がりになることに関しては課題として残されているのです。
まとめ
ロードプライシングを適用する理由や事例について、ご理解深まりましたでしょうか。
交通渋滞緩和や環境保全のために、
ロードプライシングの導入は効果的であることが分かりました。
一方で、特定の道路を避けて通れない人であったり、時間帯をずらせない人にとっては、
実質的な値上げになることから、公平性に欠ける部分も指摘されています。
このような課題を解決しつつ、ロードプライシングを導入していく必要があるでしょう。
運転に関する専門用語はたくさんありますが、運転ドットコムでは下記の記事のように、専門用語の紹介もしていますので、
合わせて参考になさってください。
【地理専門の社会科教員が教える!】ストロー現象とは?ストロー現象が起きる原因や一例について
本記事を参考に、ロードプライシングについて知っていただければ幸いです。