運送業界で利用されているトラックにはさまざまな種類があります。
その中でも多く見かけるのがウィング車というトラックです。
本記事では、ウィング車やそのサイズ、
乗れる免許の種類やメリットについて詳しく解説します。
ウィング車とは?
ウィング車とは、アルミトラックの側面を上に跳ね上げて、
側面から荷積み・荷下ろしできるトラックのことをいいます。
側面が開閉できることで、フォークリフトを使用してパレット荷役が簡単になり、
省力化が実現できるのです。
アルミ部分の側面が鳥の翼のように跳ね上がることから
「ウィング車」と呼ばれています。
ウィング車には、以下のように分類・サイズが用意されています。
小型ウィング車
小型トラックをベースに製造されているトラックで、目安サイズは以下の通りです。
|
目安サイズ |
|
車両サイズ |
全長 |
4,685mm前後 |
全幅 |
1,600mm前後 |
|
全高 |
1,960mm前後 |
|
荷台サイズ |
全長 |
3,150mm前後 |
全幅 |
1,695mm前後 |
小型ウィング車は、荷台サイズが小さいことから
ウィングタイプで得られるメリットが少ない特徴があります。
中型ウィング車
中型トラックをベースに製造されているトラックで、目安サイズは以下の通りです。
|
目安サイズ |
|
車両サイズ |
全長 |
8,500mm前後 |
全幅 |
2,445mm前後 |
|
全高 |
2,500mm前後 |
|
荷台サイズ |
全長 |
6,200mm前後 |
全幅 |
2,130mm前後 |
中型ウィング車には、ロング、ワイド、ワイドロングなど、
さまざまな設定が用意されています。
メーカー、モデルによっては、大型ウィング車に近い車両サイズのものもあるのです。
大型ウィング車
大型トラックをベースに製造されているトラックで、目安サイズは以下の通りです。
|
目安サイズ |
|
車両サイズ |
全長 |
11,900mm前後 |
全幅 |
2,400mm前後 |
|
全高 |
3,600mm前後 |
|
荷台サイズ |
全長 |
9,000mm前後 |
全幅 |
2,400mm前後 |
大型ウィング車には、ロング、ワイドなどの設定がありません。
車両規格の上限に合わせて製造されており、国内物流の中心として活躍しています。
ウィング車は主に3種類!
ウイング車は、以下のように3種類が存在します。
フレキシブルオープンタイプ
ウィングが開く方向・角度を変更できるタイプです。
ウィングの開き方が細かく調整できますので、
倉庫や屋根といった車高制限があるところに適しています。
ターンオーバータイプ
片側のウィングが車両の中心を超えて開くことを可能にしたタイプです。
ウィングが最大約160度まで開くため、クレーンを利用した荷下ろしに適しています。
上昇開閉タイプ
天井が上昇するタイプです。
天井が上昇することで、荷台の高さに余裕が生まれますので、
荷物を最大限まで積載することができます。
ウィング車を運転できる免許の種類
自動車運転免許には、以下のような区分があります。
免許区分 |
車両総重量 |
最大積載量 |
乗車定員 |
普通免許 |
3.5t未満 |
2t未満 |
10人以上 |
準中型免許 |
7.5t未満 |
4.5t未満 |
10人以下 |
中型免許 |
11t未満 |
6.5t未満 |
29人以下 |
大型免許 |
11t以上 |
6.5t以上 |
30人以上 |
では、具体的に免許の区分別に運転できるウィング車についてみていきましょう。
免許区分 |
車両総重量 |
最大積載量 |
乗車定員 |
普通免許 |
3.5t未満 |
2t未満 |
10人以上 |
準中型免許 |
7.5t未満 |
4.5t未満 |
10人以下 |
中型免許 |
11t未満 |
6.5t未満 |
29人以下 |
大型免許 |
11t以上 |
6.5t以上 |
30人以上 |
では、具体的に免許の区分別に運転できるウィング車についてみていきましょう。
普通免許 |
積載量1.5tクラスの小型クラスのトラックの運転が可能 ただ、このクラスのウィング車は存在しない |
準中型免許 |
小型クラス・中型クラスのトラックの運転が可能 しかし中型クラスのウィング車は車両総重量7.5t以上のものもある |
中型免許 |
小型クラス・中型クラスのトラックの運転が可能 中型クラスのウィング車は増トンで車両総重量と最積積載量を増加 |
大型免許 |
車両総重量、最大積載量、乗車定員ともに上限の定めがない 国内のすべてのウィング車の運転が可能 |
免許の種類と区分については、運転ドットコムの
下記の記事に記載していますので、
合わせて参考になさってください。
ウィング車のメリット・デメリット
ウィング車のメリット・デメリットについてみていきましょう。
ウィング車のメリット
まずは、メリットからご紹介します。
作業効率が高まる
ウィング車は、両サイドがオープンになる構造をしています。
後方からの荷積み・荷下ろしだけでなく、
サイドから荷積み・荷下ろしができることから、作業効率が高まるのです。
フォークリフトの使用が可能
サイドがオープンになることで、フォークリフトを利用したパレット荷役ができます。
本来、荷積み・荷下ろしはトラック運転手の仕事でしたが、
フォークリフトを使用することで、トラック運転手の負担を大きく軽減しています。
荷物を保護することができる
後方からだけでなく、サイドからも荷積みができることから、
隙間なく荷物を積載することが可能です。
アルミ内が密閉された空間になることから、
積み荷の汚れや破損、盗難を防ぐことができます。
ウィング車のデメリット
次に、デメリットをご紹介します。
車両上部に高さが必要
ウィングを開ける際に、車高以上の高さまでウィングが上がります。
倉庫内などの建物内でウィングを上げる際は、
十分な高さが確保できていなければなりません。
誤作動・事故リスクが高い
荷積み・荷下ろしをし終えた際に、
ウィングを閉め忘れたまま走行すると大きな事故を発生させることになります。
最近では、エンジンが停止しているときのみ
ウィング操作ができる安全装置を搭載したトラックが増加するようになりました。
燃費低下・最大積載量の減少
ウィング車には、油圧装置などの開閉機能が
搭載されていることから車両重量が増加します。
車両重量が増加すると、燃費低下はもちろんのこと、
最大積載量が量も減少してしまうのです。
ウィング車を運転する際の注意点
ウィング車を運転する際には、以下の点に注意してください。
定期的なメンテナンスを行なう
ウィングが正常に開閉するか、荷台部分の防塵・防水性を維持するために、
定期的なメンテナンスは欠かせません。
とくにウィングの開閉がスムーズでない場合は、
油圧系統に異常が考えられますので、早期の点検修理がおすすめです。
ウィング開閉時は周囲の確認をする
ウィング開閉時は、天井を含め、
周囲の建物や障害物に接触しないかを確認する必要があります。
接触を起こしてしまうと、周囲のものを損壊してしまうだけでなく、
トラックのアルミ部分に損壊をきたしたり、
ウィングの作動にも影響を与える可能性が生じます。
まとめ
ウィング車やそのサイズ、乗れる免許の種類やメリットについて、
ご理解深まりましたでしょうか。
ウィング車は仕事効率が大幅に上がることから、多くの運送会社が採用しています。
メリットもあればデメリットもありますので、
総合的にウィング車のことをお知りいただければ幸いです。
本記事を参考に、ウィング車の採用を検討なさってみてはいかがでしょうか。