外国人雇用の注意点と労働法の基本的知識│相談窓口も紹介

外国人雇用 注意点
コラム

現在では外国人労働者の雇用に注目している企業があります。 

 

外国人労働者の採用は人手不足を解消するだけでなく、 

 

グローバル社会に適応した会社づくりを形成することが可能です。 

 

一方で、外国人労働者を雇用するには不安もあるのではないでしょうか。 

 

本記事では、外国人雇用の注意点と、労働法の基本的な知識、 

 

相談窓口について、詳しく解説します。 

 

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外国人雇用に関する基本知識 

外国人雇用 基本知識

外国人雇用に関する基本知識についてみていきましょう。 

 

 

労働法と外国人雇用の関係 

労働法と外国人雇用の関係についてご紹介します。 

 

外国人の雇用については、下記の記事にて詳細記載しておりますので 

 

そちらも合わせて参考になさってください。 

 

特定技能の外国人を採用するための完全ガイド│職種一覧や採用方法、手続きの流れについても解説

 

労働基準法

労働基準法第3条では、使用者は労働者の国籍によって、賃金の労働時間 

 

その他の労働条件について差別的取り扱いをしてはならないとしていることから、 

 

外国人労働者も日本人労働者と同等に扱われます。 

 

入管法(出入国管理及び難民認定法)

入管法では、日本に出国・入国するすべての人と、 

 

日本に在留するすべての外国人の在留の公正な管理を行なう法律です。 

 

例えば、外国人の在留資格である「留学」は、 

 

日本国内で大学や専門学校等で学業に専念することを目的としており、 

 

アルバイトで報酬を得たい場合は、資格外活動許可を受けなければなりません。 

 

このように、外国人留学生には行動に制限が定められており、 

 

また外国人留学生を雇用する側も 

 

資格外活動許可を取得しているか確認しなければならないのです。 

 

また在留資格には「特定技能」があり、特定の16分野に限って、 

 

即戦力となる外国人を期間限定で働かせることができます。 

 

雇用対策法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)

雇用対策法では、外国人を雇用する場合、労働者の氏名、 

 

在留資格などを届け出ることが全企業に義務付けられており、 

 

雇用対策法第28条「外国人雇用状況の届出等」にその記載があります。 

 

届出はハローワークに提出し、外国人が離職する際もこの届出が必要です。 

 

 

外国人労働者が必要とするビザの種類 

外国人労働者が必要とするビザの種類は、以下のようになっています。 

 

 

留学ビザ 

就労ビザ 

目的 

留学 

就労 

使用方法 

・在留資格認定証明書を取得す 

 る 

・日本の空港で上陸許可の申請を 

 する  

・進学や進級などで継続して日本   に滞在する場合は、在留期間更 

 新の手続きをする 

 

・企業で雇用契約を交わして働く 

・在留期間満了前に「在留期間更新許 

 可申請」をして許可を受ければ、継 

 続して働くことが可能 

・就労ビザで許されている活動の範囲 

 外の業務をする場合は、「資格外活 

 動許可」を申請する 

・在留期間途中で転職した場合「就労 

 資格証明書交付申請」をしておく 

適用範囲 

・日本の大学、高等専門学校、 

 高等学校 

・特別支援学校の高等部 

・専修学校 

・各種学校 

・水産大学校や防衛大学校など 

 の一部の省庁大学校 

・海外大学の日本分校(学校教育 

 法上の認可を受けている場合) 

 

・教授:日本の大学や機関で研究や指 

    導を行なう 

・芸術:報酬が発生する芸術上の活動 

    を行なう 

・経営:日本で貿易やその他の事業を 

    経営し、事業管理に従事する 

・医療:日本の資格を取得した医師、 

    薬剤師、看護師など 

・法律:日本の法律上の資格を取得し 

    た弁護士、司法書士、公認会 

    計士、税理士など 

制限 

<アルバイト労働> 

・原則として週28時間まで 

・長期休暇中は日本人と同じ労 

 働基準法が適用となり1日8時 

 間週40時間が就労時間の上限 

・アルバイトをするには資格外 

 活動許可が必要 

・資格外活動の許可を得ずに働 

 くと、不法就労となり、本人 

 だけでなく雇用事業主も不法 

 就労助長罪で罰せられる可能 

 性がある 

・技術・人文知識・国際業務在留資格 

 では、単純労働とみなされる仕事は 

 就労不可 

 [例]販売、ホールスタッフ、調理補 

   助、接客担当、洗い場など 

・技術・人文知識・国際業務在留資格 

 では、与えられた在留資格の範囲内 

 で就労が可能 

・「在留資格に基づく就労活動のみ 

   可」と記載がある場合は、在留カ 

   ードに記載されている在留資格の 

   範囲内で労働可能 

 

外国人が労働するためには、留学ビザの場合は「資格外活動許可」がなければ、 

 

働くことができません。 

 

就労ビザや留学ビザについては、下記の記事にも詳細が記載されておりますので

 

そちらも合わせて参考になさってください。 

 

留学ビザ保持者のための就労ビザ取得ガイド│必要な手続きや費用などについても解説

 

外国人の雇用手続きにおけるポイント 

外国人の雇用手続きにおけるポイントについてみていきましょう。 

 

 

手続き 

ポイント 

雇用 

手続き前 

在留資格を確認する 

・在留カード表面の「就労制限の有無」欄の確認 

・在留カード裏面の「資格外活動許可」欄の確認 

・在留カード等読取アプリで偽造でないかを確認 

入社前 

(内定後) 

労働契約を締結 

契約書の作成 

・「雇用契約書」または「労働条件通知書」を用意 

・転職の場合、前職と違う職種の場合は「在留資格 

 変更許可申請」を行なう 

入社後 

出入国在留管理庁への届出 

・「契約機関に関する届出」もしくは「活動機関に 

 関する届出」を行なう 

・雇用保険加入手続き、健康保険・厚生年金加入手 

 続きを行なう 

 

上記以外のポイントとしては、 

 

在留資格で認められていない業務に従事させないよう注意すること、 

 

就労資格証明書の申請期間に注意すること、 

 

日本人の労働基準法を適用することが挙げられます。 

 

 

外国人雇用に関する法律の最新情報 

外国人雇用に関する最新情報として、2024年6月14日に入管法改正が成立しました。 

 

従来まで設けられていた在留資格「技能実習」を廃止し、 

 

新たに「育成就労」を創設することとなり、 

 

人材育成と人手不足解消のための人材確保の両方をめざした在留資格です。 

 

また不法就労助長罪の罰則が厳しくなり、 

 

これまでの「拘禁刑3年以下または罰金300万円以下」(併用可)から、 

 

「拘禁刑5年以下または罰金500万円以下」(併用可)へと変更されました。 

 

外国人を雇用する際は、法律の最新情報に注視しておく必要があります。 

 

 

 

外国人雇用に伴う文化的な注意点とコミュニケーションの工夫について 

外国人雇用 文化的 注意点 コミュニケーション

外国人雇用に伴う文化的な注意点と、 

 

コミュニケーションの工夫についてみていきましょう。 

 

 

文化的な注意点 

まず文化的な注意点についてご紹介します。 

 

職場における文化的多様性の理解 

日本人と外国人が同じ職場で労働する場合、必ず労働者同士の接点があります。 

 

その際、互いの文化を理解・尊重しなければ、 

 

トラブルに発展する可能性が高くなるのです。 

 

対応策

日本人と外国人がお互いにコミュニケーションを取り、 

 

その場で互いの文化を理解・尊重できれば良いのですが、そうも簡単にはいきません。 

 

互いの異なる文化を理解・尊重するために、 

 

企業は異文化間トレーニングを導入するなど、 

 

段階を追って異文化理解を深めさせる必要があります。 

 

多言語対応の重要性 

外国人労働者は必ずしも日本語が使用できるとは限りません。 

 

そのような中で、 

 

職場内では、互いにコミュニケーションを図りながら仕事を進めていく必要があります。 

 

対応策

導入費用がかかりますが、翻訳機を導入することで、 

 

互いにコミュニケーションが図りやすくなります。 

 

ただ常に翻訳機を所持しているよりか、会社が外国語を学べる機会や、 

 

外国人労働者が日本語を学べる機会を設けるなどで対策が可能です。 

 

 

効果的なコミュニケーション方法 

効果的なコミュニケーション方法には、以下のようなものがあります。 

 

外国語のレッスンを受ける

英会話教室で行なわれているように、レッスンごとによく使用される表現を学び、 

 

その後に実践として会話をすると効果的です。 

 

バイリンガルの講師がつくことで、語学能力が向上し、 

 

円滑なコミュニケーションを図ることができるでしょう。 

 

とにかく聞いて話す

語学能力を向上させるためには、とにかく聞いて話すことです。 

 

その際に、1つでも多くの単語や熟語、表現方法を知っていることで、 

 

より円滑にコミュニケーションをとることができるでしょう。 

 

 

 

外国人雇用におけるトラブル事例と防止策 

外国人雇用 トラブル事例 防止策

外国人雇用におけるトラブル事例と、防止策についてご紹介します。 

 

 

過去のトラブル事例とその解決策 

外国人に限ったことではないのですが、会社の備品を無断で持ち出す人がいます。 

 

会社の備品を無断で持ち帰ったり使用することは、 

 

窃盗罪や横領罪に当たる可能性があります。 

 

そのことがなかなか外国人に伝わりません。 

 

対応策

このようなトラブルを避けるためには、 

 

日本のルールをわかりやすく説明する必要があります。 

 

分かりやすい日本語で伝えるだけでなく、 

 

内容を理解させるためにも、外国人の母国語で説明するのも1つです。 

 

法律に違反する行為があれば裁判になったり、刑事罰を受けることもあり、 

 

在留資格を更新できず、母国に帰らなければならないということが起きることも、 

 

外国人本人に説明する必要があるでしょう。 

 

 

トラブルを未然に防ぐためのチェックポイント 

トラブルを未然に防ぐためのチェックポイントについてご紹介します。 

 

入職前の説明を十分に行なう

外国人が入職後にトラブルを起こす場合、 

 

入職前の事前説明が十分になされていないことが原因である場合があります。 

 

入職前の事前説明は、 

 

日本人ですら見落としたり聞き落としたりする可能性がありますので、 

 

日本語や日本の制度を理解していない外国人にとっては、 

 

より伝わりにくい可能性があるでしょう。 

 

トラブルを未然に防ぐためのチェックポイントとして、 

 

入職前の説明を十分に行なうこと視野に入れてください。 

 

母国語での説明も加える

トラブルが起きる要因の1つとして、異なる言語を使うため、 

 

意思疎通が充分にできていないことが挙げられます。 

 

トラブルを未然に防ぐためには、雇用契約や上記でお示しした入職前の事前説明など、 

 

特に重要な事項に関しては、外国人の母国語も合わせて使用することがおすすめです。 

 

 

相談窓口の活用法 

外国人雇用に関してのトラブルは、 

 

以下のような相談窓口が設けられていますのでご活用ください。 

 

相談窓口 

相談内容 

労働基準監督署 

雇用条件、労働時間、賃金など 

ハローワーク 

求人情報提供、就職相談、職業紹介など 

総合労働相談コーナー 

解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど、あらゆる分野に対応 

労働相談センター 

労働相談、セクハラ・女性相談、テレワーク相談、働き方改革の取組支援など 

労働条件相談ほっとライン 

都道府県労働局、労働基準監督署の閉庁後または土日・祝日の相談に対応 

 

 

 

外国人従業員のための福利厚生 

外国人従業員 福利厚生

外国人従業員に、日本人労働者と同じように、福利厚生が設けられていると、 

 

長期間にわたり勤務してくれるメリットがあります。 

 

ここでは、外国人従業員のための福利厚生についてみていきましょう。 

 

 

外国人従業のためにあるといいおすすめの福利厚生 

外国人労働者のために、あるといいおすすめの福利厚生は以下の通りです。 

 

ビザ取得・更新サポート

外国人労働者は、就労ビザなどのビザがなければ日本国内で働くことができません。 

 

また定期的にビザを更新しなければならず、 

 

その更新手続きをサポートしてくれることで、外国人労働者の負担が軽くなります。 

 

日本語の学習機会の提供

外国人労働者は、日本語の読み書きを習得することで、 

 

仕事がより円滑に進むと考えています。 

 

ただ、就労し始めると日本語を学習する機会を探したり費用を負担するのは、 

 

外国人労働者にとって大きな負担となるのです。 

 

福利厚生で、日本語の学習機会を提供することで、 

 

さらなる外国人労働者の活躍が期待できるでしょう。 

 

食事補助

日本で働き始めると、毎日考えなければならないのが昼食などの食事です。 

 

2020年3月現在、食料品を含めた物価の高騰が続いており、  

 

1回の食事の費用も高額になります。 

 

食事補助の福利厚生があれば、外国人の日本での生活も負担が軽くなるでしょう。 

 

 

福利厚生制度の見直しポイント 

外国人労働者が働きやすいと感じる職場づくりを整備するためには、 

 

日本人労働者と同等の福利厚生を用意することが1つといえます。 

 

福利厚生が充実している企業には、外国人労働者の注目も集まるでしょう。 

 

外国人労働者を雇用することで人材不足が解消し、 

 

企業も円滑に業務を進めることができるのです。 

 

上記でお示しした福利厚生以外にも、通勤支援や育児休業の支給期間の延長など、 

 

現在企業で設定されている福利厚生制度を見直すことで、 

 

外国人が働きやすいと思う職場環境づくりが形成されます。 

 

 

 

職場環境の整備と外国人の定着化 

職場環境 整備 外国人 定着化

職場環境の整備と、外国人の定着化についてみていきましょう。 

 

 

外国人に配慮した職場環境の整備 

前提として、外国人は日本の文化や日本語に慣れていないため、 

 

職場環境に慣れるまでに相当な時間がかかります。 

 

また、日本人労働者の中にも 

 

外国人に対しての理解が浸透していない人もいらっしゃるでしょう。 

 

上記でご紹介した福利厚生の整備とともに、 

 

日本人労働者と外国人労働者が 

 

円滑にコミュニケーションが取れる環境を整備することで、 

 

外国人労働者も日本人労働者と人間関係が構築可能です。 

 

人間関係が構築できれば、互いに安心して働くことができるでしょう。 

 

ただ人間関係でトラブルが発生した場合は、 

 

会社で相談窓口を設けることで解決にあたることができます。 

 

 

定着化支援プログラムの設計 

日本の職場に外国人労働者を定着化させるためには、 

 

支援プログラムを設計する必要があります。 

 

本記事でも、入職前の事前説明や福利厚生の充実など、 

 

外国人労働者が職場に定着するための支援をご紹介しました。 

 

それらを無計画に実行するのではなく、支援プログラムとして、 

 

いつ・どのような形で実施するのかをプログラム設計することが重要です。 

 

プロセスを考えてプログラム設計することで、 

 

より外国人が職場の定着化に成功するでしょう。 

 

 

働きやすいオフィス環境の構築 

オフィスの環境は会社によって様々ですが、 

 

日本人を含め外国人にとっても働きやすい環境は、 

 

働いている人たちの人間関係が良いということです。 

 

英語圏の外国人も、あった人に対して 

 

「Hello, How are you?」から始まり、 

 

「I’m fine. and you?」と返答し、「I’m fine.」とあいさつします。 

 

このように会話が飛び交うオフィスであるほど、外国人も働きやすいと感じるでしょう。 

 

もちろん会社の設備が整っていることで働きやすいと感じる外国人もいます。 

 

さまざまな面において、 

 

外国人が働きやすいと思うオフィス環境の構築をする必要があるのです。 

 

 

長期的な人材育成の方針 

外国人労働者を採用した際、会社の労働環境が良くなく、 

 

すぐに退職すると、再び新しい人材を雇用しなければなりません。 

 

新規労働者を採用するとなると、 

 

一から新人教育をしなければならずその負担は会社にとっても大きいものです。 

 

一度採用した人材を長期的に雇用し続けるためには、 

 

前述でお話ししたように、良好な職場環境づくりを整備することに尽きます。 

 

労働環境や福利厚生を含め外国人労働者が、 

 

長くここで働きたいという環境づくりすることで、 

 

長期的な人材育成を実現し、会社の安定を図ることができるのです。 

 

 

 

まとめ 

外国人雇用の注意点と、労働法の基本的な知識、相談窓口について、 

 

ご理解深まりましたでしょうか。 

 

外国人労働者を雇用する際に、不安を感じている企業もあるでしょう。 

 

不安を解消するためには、 

 

外国人労働者と十分にやり取りする必要があることをお伝えしました。 

 

外国人雇用で困ったときは相談窓口がありますので、 

 

トラブルが発生した際は、迅速に相談窓口をご利用ください。 

 

本記事を参考に、外国人雇用についての理解を深めていただき、 

 

外国人労働者を雇用してみてはいかがでしょうか。