教習所で学科教習や技能教習を行なう教習指導員。
これから自動車運転免許を取得する人の横に乗り、運転技術を教えてくれますが、
免許をもっていない人の横に乗ることはリスクが大きいものです。
リスクが大きい分、教習指導員は給料が高いように思われますが、実際のところはどうなのでしょうか。
本記事では、教習指導員の給料事情や、平均年収・給料アップの方法について詳しくご紹介します。
教習指導員の給料はどのくらい?
教習指導員を目指されている方は、教習指導員の給料がいくらくらいなのか気になるところでしょう。
ここでは教習指導員の給料はどれくらいなのかについて見ていきましょう。
平均的な給料について
日本人の平均給料は年461万円(男性567万円、女性280万円)となっています。
一方、求人ボックス「教習指導員の給料」によると、教習指導員の平均給料(年収)は約296万円です。
日本人の平均給料と比較すると低い傾向にあり、
正社員の給料分布でボリュームが多いのは248~277万円と平均給料よりもさらに低い状況となっています。
初任給は約20万円で、月給は25万円程度が相場です。
全体の給料幅は281~455万円とさほど変域があるわけではないため、経験年数やスキルによる差はあまりありません。
地域別の給料について
求人ボックス「教習指導員の給料」より、教習指導員の地域別平均給料は以下のようになっています。
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地域別では最も平均給料が高いのは関東で、関東の中でも東京都が334万円と高い水準になっています。
最も平均給料が低い地域は北海道・東北で、中でも宮城県が245万円と給料水準が低いです。
ボーナスについて
教習指導員が勤務する教習所は、一般企業と同じように給料形態はそれぞれの教習所により異なります。
またボーナスについても各教習所jによって異なりますが、ほとんどの教習所で年2回のボーナスが出るのが一般的です。
ボーナスの金額は、月給×1~2カ月分も出れば多いほうといえるでしょう。
手当について
教習指導員には、以下のようにさまざまな手当が用意されています。
・四輪教習指導員手当
・二輪教習指導員手当
・中型四輪教習指導員手当
・二輪免許教習指導員手当
・高齢者教習指導員手当
・特殊車両教習指導員手当
・検定員手当
・精勤手当
・家族手当
・食事手当
・無事故手当
・残業手当
・役職手当
上記以外にも手当を用意している教習所は多くあり、基本給にプラスされるのです。
教習指導員の仕事内容
教習指導員の仕事内容は、教習生に運転技術や知識を教える仕事がメインですが、
他にもさまざまな仕事があります。
ここでは教習指導員の具体的な仕事内容を、1日のスケジュールを基にみていきましょう。
朝礼や洗車作業
教習指導員の1日は、朝礼と前日の業務の引継ぎから始まり、その後アルコールチェックがあります。
その後、自身が担当する教習車の整備点検および洗車を行ないます。
街なかで見かける教習車が綺麗なのは、教習指導員が洗車をしてくれているからなのです。
技能・学科教習
教習指導員のメインの業務である技能・学科教習は、午前・午後を通して行なわれます。
技能教習は教習所内または一般道に出て、教習生に運転技術を教えるのです。
マンツーマンでの指導となり、教習生の個性などに合わせて指導を行ないます。
学科教習は教習生に対して、交通法規などを一方的に教える「授業」です。
授業を行なうためには予習が必要で、
勤務時間内の空き時間や勤務時間外に予習をしている教習指導員も少なくありません。
技能教習・学科教習は基本的に1コマ50分で、間に休憩時間が10分ありますが、
技能や学科を連続で担当しなければならない場合は、10分休憩なく次の教習を行なうことになるのです。
もちろん教習所として昼休みの設定がありますので、そのときに教習指導員も休憩をとります。
高校生が通う1~3月や、学生の夏休みにあたる7~8月は繁忙期でもあるため、
一息つく間がないといえるでしょう。
ちなみに、教習指導員は夜間の教習を行なう場合もあることを知っておいてください。
業務報告書の作成
最後の教習生を教え終わると業務報告書の作成にとりかかり、他の教習指導員に引き継げるようにします。
これで教習指導員の1日が終わりです。
教習指導員で給料アップを狙う方法を紹介!
前述で教習指導員の給料について触れましたが、
そこで教習指導員の給料は日本人の平均給料より低い傾向が強いことがわかりました。
基本給の上昇は簡単ではありませんが、給料アップは図りたいものです。
ここでは教習指導員で給料アップを狙う方法についてご紹介します。
資格をたくさんとる
教習指導員は以下の資格をとることで、教える幅が広がります。
・四輪教習指導員
・二輪教習指導員
・中型四輪教習指導員
・二輪免許教習指導員
・高齢者教習指導員
・特殊車両教習指導員
たくさんの資格をもっていることで手当が増え、年収に加算されていくのです。
その他、以下は資格がなくても手当として付与されます。
・精勤手当
・家族手当
・食事手当
・無事故手当
・残業手当
・役職手当
このように基本給にプラスされる手当は複数ありますので、手当を活用して給料アップを図ることが可能です。
教習指導員の資格については下記の記事で詳しく紹介しておりますのでそちらも合わせてご覧ください。
教習指導員なるにはどのような資格が必要?資格なしでもなることができる?
同じ教習所に勤務し続ける
日本は年功序列制度を採用しており、年齢とともに年収がアップしていきます。
基本的には同じ会社に居続けたほうが給料アップにつながります。
転職して新しい運送会社に勤めると、もともと在籍していた社員より給料が安いということも珍しくありません。
給料アップを見込みたい場合は、同じ教習所で長年勤務することがおすすめです。
教習所に就職する際は、定年まで勤務するつもりで良い教習所を選びましょう。
具体的にどのような教習所がいいかは次でご紹介します。
給料が良い!待遇も良い!教習所の選び方を紹介!
教習指導員として教習所に就職する場合、前述のように長年勤められるところを選ぶことで給料アップにつながります。
ここでは具体的に、どのような教習所を選ぶべきかご紹介します。
選び方①年収が高い地域の教習所を選ぶ
前述で地域別給料が高いのは関東地方で、中でも東京都の給料が高いことをお伝えしました。
東京都での平均年収が334万円に対して、最も平均年収が低い宮城県が245万円で、その差は89万円。
この年収差は非常に大きいといえるでしょう。
一方で、静岡県、兵庫県、岡山県、徳島県、大分県にも年収が高い教習所がみられ、
関東地方と同等の平均年収が確認できます。
その背景には合宿免許で人気の高い教習所があることが挙げられるのです。
まとめると、年収が高い教習所がある関東地方や合宿免許を実施している都道府県の教習所を選ぶのがいいでしょう。
ただ合宿免許を行なっている教習所がみられる都道府県でも、教習所によって年収差がありますので注意してください。
まずは気になる教習所をピックアップし、そこから年収がいくらなのかを調べていくといいでしょう。
選び方②豊富に車種を取り揃えている教習所を選ぶ
前述のように、教習指導員の年収は指導員資格をもっている数に比例して手当が加算されます。
教習所によって、教習を行なっている車種が異なっていることはご存知でしょうか。
例えば、大型自動車運転免許を取得したいが、近くの教習所では大型免許が取れないなんてことがあるのです。
もし複数の指導員資格をもっている場合、
それらの資格を生かすことができる教習所に勤めることで手当が増えるだけでなく、やりがいも感じるでしょう。
とくに大型自動車運転免許、大型特殊免許、第二種免許といった指導員資格をもっているのであれば、
それらの教習を行なっていたり、車種を取り揃えている教習所を選ぶといいです。
選び方③たくさんの卒業生を輩出している教習所を選ぶ
たくさんの卒業生を輩出している教習所は、それだけ人気が高かったり、教習所の規模が大きいことを表します。
そのような教習所は閉校や倒産になる可能性が低いです。
またたくさんの教習生との出会いもあるため、やりがいを感じることもできるでしょう。
ネットでも教習所の評判や口コミを確認することができますが、
評判や口コミが高いところは、やはり閉校や倒産しにくい教習所といえます。
教習所の就職面接を受ける前に、各教習所の評判や口コミを見てみてください。
選び方④社宅がある教習所を選ぶ
教習所によっては社宅を完備しているところがあります。
この記事をお読みの方の中には、
高い給料を求めて現在の住まいから移住することをお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
教習所が社宅を用意してくれていると、わざわざ住まい探しをする必要がありません。
勤めたい教習所の候補を挙げ、社宅が完備されているのかを確認するのも1つです。
他の職種に転職も?教習指導員の経験を活かせる給料がいい職種
これまで教習指導員として勤務されていた方が、他の職種に転職するとなった場合、
どのような職種であれば教習指導員の経験を活かせるのでしょうか。
ここでは、教習指導員の経験を活かせる給料がいい職種についてご紹介します。
他の教習所へ転職する
教習指導員で今の職場を辞めたいと思う理由は「給料が低い」「人間関係がしんどい」など、
教習指導員の仕事は好きで継続させたい方がいらっしゃいます。
その場合は他の教習所へ転職することを考えましょう。
前述のように、教習所の給料は教習所によって異なりますし、東京都での平均年収が334万円に対して、
最も平均年収が低い宮城県が245万円といったように、地域によって給料は大きく異なりました。
また同じ地域でも合宿免許を行なっている教習所では、給料が高い傾向がありました。
このように、これまでの教習指導員の経験が活かして心機一転したい場合は、
他の教習所への転職を考えてみてください。
トラック・バス運転手に転職する
教習指導員としての経験を活かせる仕事の代表例は、運転系の仕事が挙げられます。
教習指導員は交通ルールに詳しく、安全意識が高いこと、また運転技術も長けているため、
使用者側も安心して雇用することができるのです。
求人ボックス「トラック運転手の給料」より、トラック運転手の平均年収は約418万円。
前述でお伝えしたように、教習指導員の平均給料(年収)は約296万円ですので、
トラック運転手に転職することで、年100万円以上の給料アップが見込めます。
同じく、求人ボックス「バス運転手の給料」より、
バス運転手の平均年収は約448万円で、トラック運転手よりも平均給料がさらに高いです。
教習指導員と比較すると150万円程の年収差がありますので、
大幅な給料アップを目指したい方は、ぜひ検討してみてください。
個人事業でマンツーマン技能講習に転職
あまり知られていないかもしれませんが、個人事業で教習指導員として教習サービスを行なうことが可能です。
ただ教習所内のようなコースは使用できませんので、
仮免許保持者、ペーパードライバー、シニアドライバーに路上で教習を行なうことに限られます。
広告宣伝、顧客の獲得から自分で始めなければなりませんし、
もし事故等が発生した場合はすべての責任を自身が負わなくてはならないことなどのリスクはありますが、
うまくいけば教習指導員の年収を上回る年収を得ることができるでしょう。
ディーラーやテストドライバーに転職する
教習指導員の経験を活かして教習所を開校したり、
車の知識を活かしてカーディーラーで勤務するのも転職先の1つです。
また運転技能を活かしたテストドライバーの仕事もあります。
求人ボックス「カーディーラーの給料」より、カーディーラーの平均給料は約383万円、
また求人ボックス「テストドライバーの給料」より、
テストドライバーの平均給料は約348万円であることから、いずれも教習指導員より平均給料は高いです。
これらの仕事についても、教習指導員よりも高い年収を得ることができるでしょう。
現役教習指導員に聞いた!給料事情や体験談
最後に、現役教習指導員に聞いた給料事情や体験談についてご紹介します。
~ケース①~ Sさん/30代/男性
Sさんは、病院勤務で作業療法士の仕事をしていましたが、教習指導員に転職しました。
給料については、教習指導員に転職したことで年収約60万円のダウンだそうです。
しかし教習指導員は働き方の自由度が高く、副業も認められていることにメリットを感じておられます。
自分の自由な時間ややりたいことができる環境などを総合的に考えると、
給料はダウンしましたが、今の生活に満足しているそうです。
~ケース②~ Kさん/20代/男性
Kさんは若くして教習指導員になりました。
Kさんは年収が約371万円、そのうち夏季ボーナスが約35万円、冬季ボーナスが約12万円だったそうです。
ただ繁忙期については、普通残業時間が40時間を超えるとともに、
休日出勤が6日(60時間)もあり、休みがない状態で年収が約371万円だったことにしんどさを感じていました。
学校の先生も同じような実感をすることができますが、教習生が「免許取れた!」と報告に来てくれることや、
教習生の卒業時アンケートで成績1位をとったときに、教習指導員の仕事にやりがいを感じたとのことです。
ただやはり繁忙期の過酷労働にしんどさを感じたことは間違いありません。
まとめ
教習指導員の仕事内容や給料事情についてご理解が深まりましたでしょうか。
教習指導員は給料が低い傾向にありますが、教習所によって給料事情は異なりますので、
まずは自身が勤務したい教習所をピックアップして、その教習所の給料や勤務形態を確認してみましょう。
もし教習指導員を退職した場合、
これまでの経験を活かした仕事にはどのようなものがあるのかも記載しましたので参考になさってください。
教習指導員の体験談では、仕事にやりがいを感じるという声もありました。
本記事を参考に、教習指導員の就職を考えてみてはいかがでしょうか。