運転代行とは、飲酒や体調不良などの理由で、運転できなくなったお客様の車両を運転し、目的地まで送る仕事です。
運転代行の仕事に興味がある人の中には、どれくらいの給料がもらえる仕事なのか、気になる人がいるかもしれません。
そこで今回は、運転代行の給料や年収について紹介します。
また、給料をアップさせる方法も解説するので、参考にしてください。
運転代行とは??仕事内容も紹介!
運転代行という仕事があることを知っているものの、
具体的にどのような仕事をするのかわからない人もいらっしゃるでしょう。
ここでは、運転代行の仕事内容や1日の仕事の流れについて解説します。
運転代行って?
運転代行とは、道路運送法の対象になる事業の1つです。
自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の第二条において、自動車運転代行業は以下のように定義されています。
・主として、夜間において客に印象をさえる営業を営む者から酒類の提供を受けて酒気を帯びた状態(以下この条において「酔客」という。)にある者に代わって自動車を運転する役務を提供するものであること。
・酔客その他の当該役務の提供を受ける者を乗車させるものであること。
・常態として、当該自動車に当該営業の用に供する自動車が随伴するものであること。
運転代行は車で出かけて飲食店などで飲酒をしたときや、出先で体調不良になったときなど、
運転手が車両を運転できなくなった場合に利用されるサービスです。
ただし、飲酒運転を避けるために利用されるケースが多く、
飲酒をした利用客と車両を自宅まで送る仕事が大半を占めると考えていいでしょう。
近年、運転代行サービスへ新規参入する事業者が増加していますが、
2013年に自動車運転処罰法が制定されたことで、飲酒運転に対する取り締まりが厳しくなったことがその理由です。
運転代行の事業者数は、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律が施行された2002年6月には4148業者が登録していましたが、
国土交通省が発表している「国土交通白書2022」によれば、令和3年(2021年)12月末時点では8,106業者が登録しています。
運転代行の仕事内容
運転代行とは、個人または法人の依頼に従い、特定の自動車を運転して、自動車と利用客を目的地まで送るサービスのことです。
タクシーの場合は、利用客のみを乗せて目的地まで送ります。
一方、運転代行の場合は、利用者(乗客)と利用者が所有する車両の両方を目的地まで送ることになります。
運転代行の依頼があった場合、サービサーは2人1組で対応するのが基本です。
1人が利用客の車両を運転し、利用客を目的地まで送ります。
もう1人は随伴車に乗車して利用者の車両とともに目的地まで運転し、
その後利用客の車両を運転していたドライバーを回収して事業所まで帰ります。
随伴者(会社の車)を運転する場合は普通自動車第一種免許があれば対応可能です。
一方、利用客を乗せる車両(客車)を運転する場合は、普通自動車第二種免許が必要です。
第二種免許を取得するには、年齢が満21歳以上であり、
第一種免許を取得してから3年以上経過しているという条件をクリアした上で、試験に合格する必要があります。
運転代行会社によっては、第二種免許取得を支援している場合もあるため、
第一種免許さえ持っていれば挑戦しやすい仕事といえるでしょう。
運転代行の一日の仕事の流れ
次に、運転代行の仕事における1日の流れを紹介します。
運転代行の仕事は昼間と夜間の勤務形態となりますが、ここでは夜間の仕事の流れを解説します。
19:00~ 出勤
夜間勤務の場合、18時または19時からシフト開始になるケースがほとんどです。
出社後はアルコールチェックと運転免許証の確認を行います。
また、所属先によっては感染症やインフルエンザの対策として検温を実施する場合もあります。
提示になればミーティングを行い、従業員同士で安全運転の励行を確認して業務開始です。
業務開始前には随伴車の車両チェックを行い、安全に業務を遂行できるかどうか確認します。
とはいえ、すぐに運転代行の依頼がない場合があります。
営業所での待機時間には随伴車の洗車やメンテナンスを行うケースが多いでしょう。
19:30~ お客様の依頼に対応して現場に向かう
時間が進むにつれて、お客様や飲食店からの運転代行の依頼が増えていきます。
お客様からの依頼が入った場合は、オペレーターが配車を行い、
従業員は2人1組でお客様が待機している場所に向かい、運転代行業務の開始です。
出発時には従業員からお客様に連絡を入れ、到着までの目安の時間を伝えた上で、安全運転で現場に向かいます。
19:40~ 現場に到着、出発
現場に到着後はお客様に挨拶をして接客業務開始です。
ここで、お客様の車両(客車)を運転するドライバーと、随伴車を運転するドライバーで役割が分かれます。
客車ドライバーはお客様から客車のキーを借り、目的地を確認します。
駐車場に止まっている車両の周辺を確認し、客車の運転席にカバーを設置。お客様に運転するルートを確認して運転開始です。
その際、随伴車ドライバーは駐車場の精算を行い、コインパーキングならロック板が下がったことを確認して、
客車を駐車場から安全に出庫できるよう、客車ドライバーをサポートします。
20:00~ 目的地に到着
出発後は客車と随伴車で目的地に向かいます。
出発時には、随伴車ドライバーは無線を使って出発報告を行います。
目的地に到着したら、お客様が保有する駐車場に客車を駐車。
その際も随伴車ドライバーが周囲や後方の安全をサポートします。
無事駐車できたら、運転代行料金の精算です。
金額は随伴車で確認し、トランシーバーなどを使って客車ドライバーに伝えられます。
精算が完了したらお客様に挨拶をして業務完了です。
20:30~ 待機時間(休憩)
お客様の送りが終わった後は、営業所に戻る場合やオペレーターが指定する場所で待機する場合があります。
次の依頼があるまで休憩となるため、食事をしたり、リラックスしたりして過ごします。
その後は帰社する時間になるまで、お客様の依頼を受けたオペレーターから指示に従い、運転代行業務を繰り返します。
25:30~ 帰社
運転代行業務が終了したら営業所へと戻り、請求書の作成や報告書・日報などを作成します。
26:00~ 退勤
定時になったので退勤します。
運転代行の営業時間は、定時まで営業するケースや、利用客が少ない場合は早めに営業を終了するケースなど、事業者によってさまざまです。
運転代行の給料ってどのくらい?年収例も紹介!
運転代行の仕事内容を理解したところで、転職を考えている人であれば給料や年収がどれくらいなのか気になるかもしれません。
ここでは、運転代行ドライバーの給料や年収について解説します。
運転代行の給料について
厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、運行代行業ドライバーの平均給与の統計は次のとおりです。
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※参考:令和4年賃金構造基本統計調査
※上記調査結果のうち「企業規模計10人以上」「きまって支給する現金給与額」から算出
※ただし上記統計データは役員運転手の賃金も含めたデータ
上記のデータによれば、男性の平均給与は25万2,000円、女性の平均給与は22万1,000円です。
男女計の平均給与額が男性の平均給与額に近いのは、運転代行ドライバーに男性が多いことが影響していると推測されます。
また、求人ボックス給与ナビの統計データによれば、運転代行のアルバイト・派遣社員の平均時給は次のとおりです。
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※参考:運転代行の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス給料ナビ
ただし、運転代行の給与形態は日給制や時給制、歩合制、月給制など、
事業者によって異なるほか、複数の給与形態を併用している場合もあります。
詳しい給与形態については、事業者のホームページや求人情報などで確認した方がいいでしょう。
運転代行の年収例
次に、運転代行業の年収例を紹介します。
同じく厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータから算出した運行代行業ドライバーの平均年収は次のとおりです。
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※参考:令和4年賃金構造基本統計調査
※上記調査結果のうち「企業規模計10人以上」「きまって支給する現金給与額」「年間賞与その他特別給与額」から算出
※年収は決まって支給する現金給与額の12ヶ月分と年間賞与その他特別支給額の合計
※ただし上記統計データは役員運転手の賃金も含めたデータ
上記のデータによれば、運転代行業ドライバーの平均年収は男女計で約328万円となります。
男性のみなら約330万円、女性のみなら約292万円です。
また、求人ボックス給料ナビの統計データによれば、運転代行業に正社員として勤めている場合の平均年収は約358万円となります。
※参考:運転代行の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス給料ナビ
運転代行で給料アップするには?
運転代行ドライバーとして働く場合、できることなら昇給したいものです。
ここでは、運転代行で給料をアップする方法を紹介します。
勤務年数をあげる
運転代行の仕事で給料をあげる方法の1つが、勤務年数をあげることです。
「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータから算出した、
運転代行ドライバーの経験年数ごとの平均給与やボーナス、平均年収は次のとおりです。
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※参考:令和4年賃金構造基本統計調査
※上記調査結果のうち「所定内給与額」「年間賞与その他特別給与額」から算出
※年収は所定内給与額の12ヶ月分と年間賞与その他特別支給額の合計
※ただし上記統計データは役員運転手の賃金も含めたデータ
上記のように、経験年数が増えていくごとに、平均月給・ボーナス・年収のいずれも金額が増えていることが分かります。
もちろん、勤務形態によって給与体系も異なるため、一概にいえることではありませんが、
経験と実績を積み、所属先から評価されれば、運転代行ドライバーとして昇給できる可能性は十分にあります。
資格を取得する
運転代行の仕事で給料をあげる方法の1つが、資格を取得することです。
前述のとおり、運転代行には2つの役割があります。1つが利用者の車両(客車)の運転、もう1つが随伴車の運転です。
このうち、随伴車の運転は社用車を運転するため、普通自動車第一種免許があれば運転可能です。
一方、客車の運転では、利用客も乗せて運転することになるため、普通自動車第二種運転免許が必要になります。
運転代行の仕事には普通自動車第一種免許があれば就くことができますが、
普通自動車第二種免許を取得できれば、客車・随伴車どちらの運転も可能になるため、仕事の幅が広がります。
所属先によっては普通自動車第二種免許の取得支援制度を設けているケースもあるため、積極的に利用することを検討しましょう。
転職する
運転代行の仕事で給料をあげる方法の1つが、転職することです。
運転代行事業者によって雇用条件は異なるため、より条件の良い事業者に転職できれば、給与水準がアップするケースがあります。
運転代行の経験を積んでいる場合は、給与アップの可能性がある他事業者への転職を考えるといいでしょう。
また、運転代行の仕事への転職や、他事業者への転職を検討している場合は、運転ドットコムの利用がおすすめです。
ドライバーに特化した求人情報を取り扱っており、運転代行の求人も紹介しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
運転代行の仕事をしている人の体験談
最後に運転代行の仕事をしている人の体験談を紹介します。
~ケース①~ Y.Aさん 勤務歴2年
普段はサラリーマンをしていますが、副業として運転代行の仕事を始めました。
運転自体は苦にならないですが、お酒に酔ったお客様をお送りするケースがほとんどで、たまに絡まれるのは少し辛いですね。
ですが、週に3日程度、1日4時間程度の短時間でも働けること、時給が良いことから、いい副業になっています。
これまでは休みの日に日中副業をしていましたが、おかげで家族との時間が取りやすくなりました。
サクッと稼げるので副業にはおすすめしたいですね。
~ケース②~ M.Eさん 勤務歴4年
車の運転が好きで運転代行の仕事に就きました。
お客様の車を運転するため、当然安全運転を心がけていますが、
毎回違う車種の車を運転できるのがひそかな楽しみになっています。
ただし、夜勤になることが多いため、勤務中に眠くなってしまうこともあります。
事故のないように業務を遂行するためには、眠気対策が欠かせません。
また、前職は違う運転代行業者で働いていましたが、かなりブラックだったため給与が支払われないこともありました。
運転代行の仕事がしたいなら、どのような給与体系なのか、従業員の口コミはどうか確認した方がいいでしょうね。
~ケース③~ R.Uさん 勤務歴6年
もともとタクシー運転手として働いていましたが、分け合って運転代行の仕事に転職しました。
普通自動車の二種免許を持っていたので給料が優遇されたことに加え、歩合給も付くため頑張った分だけ稼げています。
お客様が少ない日でも、待機中に時給が発生するので安心ですね。
また、お客様からチップをもらえることもあります。酔っていらっしゃるので気が大きくなるようです。
安全に目的地までお送りすることができれば問題ないので、ドライバーの転職先としてもおすすめです。
上記で体験談について紹介しましたが運転代行はきついのかについての不安や悩みについては下記の記事を参考にしてください。
【ドライバー必見】運転代行はきつい?運転代行の不安や悩みの解決方法
まとめ
今回は運転代行の給料や年収について紹介しました。
雇用形態や給与体系によって異なるものの、運転代行は頑張り次第でしっかり稼げる仕事です。
給与アップを目指すのであれば、勤続年数を増やす、資格を取得する、条件の良い運転代行事業者に転職するといった方法がおすすめです。
また運転代行ドライバーとして転職したい場合は、ドライバー求人を多数紹介する運転ドットコムを利用してください。