
留学中の学生は、所属している大学・専門学校を卒業するのと同時に、就労ビザの取得をお考えではないでしょうか。
就労ビザを取得するとなった場合、どのような条件があるのか気になるところです。
本記事では、留学生が就労ビザを取得する方法と条件、費用や注意点について、
詳しく解説します。
留学途中で就学ビザに変更はできるの?
留学途中に、就学ビザに変更することは可能です。
その際は、在留資格を「留学」から
「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格に変更しなければなりません。
留学生が就労ビザを取得するメリット
留学生が就労ビザを取得するメリットについてみていきましょう。
就労ビザ取得によるキャリアの利点がある
日本ではさまざまな分野で人手不足が生じており、
企業によっては、外国人を採用するところも増加しています。
留学生として学業に専念し、
それを就労後に活かすことでキャリアアップを図ることが可能です。
日本企業にとっても、留学生が就労後に即戦力になることも少なくありません。
就労ビザで得られる働き方の選択肢が増える
留学中の学生が就労ビザを取得すると、働き方の選択肢は増えます。
就労ビザによる「技術・人文知識・国際業務」は、
それぞれの分野でいくつかの職種があります。
留学中の学生が持っている留学ビザから就労ビザ変更する場合は、
大学・専門学校で変更していた分野に関連する仕事に就く必要がありますが、
職種は豊富にありますので、働き方の選択肢が多いといえるでしょう。
留学経験が就労ビザ申請に有利になる
留学の経験があると海外就職やキャリアアップに評価がつながり、
就労ビザの取得につながる可能性が高くなります。
有利になる理由としては、コミュニケーション能力が高いと評価されるほか、
異文化理解をする力があり、海外での適応力があると判断されるからです。
とくに、総合商社や大手メーカーの海外事業、通訳・翻訳業務、
英会話スクールの講師や大学・専門学校の職員に適しているといえるでしょう。
アルバイトと就労ビザの違い
アルバイトと就労ビザの違いには、以下のようなものがあります。
留学ビザ |
就労ビザ |
・労働は週28時間以内のアルバイトのみ ・長期休暇中は、1日8時間まで就労可能 ・アルバイトをするには資格外活動許可 を得ていなければ違法 ・資格外活動許可は、入国管理局から予 め取得する |
・日本人と同じく労働基準法に基づいた 労働時間が適用 ・労基法の範囲内であれば時間制限なし ・適用事業所である場合、厚生年金、健 康保険、労災保険、雇用保険に加入可 能 |
留学ビザをもっている場合は、上記のように労働はアルバイトのみで、
日本人の正社員と同等に働くためには就労ビザの取得が必要です。
就労ビザを取得するタイミング
留学中の学生がもっている留学ビザから就労ビザを取得するタイミングは、
大学・専門学校に在学しているときは、
卒業前の12月頃から就労ビザ取得申請が可能です。
卒業後に内定が出た場合は、すぐに取得申請を行なってください。
留学ビザから就労ビザを変更・取得するための条件
留学中の学生がもっている留学ビザから、
就労ビザに変更・取得するための条件についてみていきましょう。
就労ビザの更新については下記の記事にて詳しく紹介しておりますので
そちらも合わせご覧ください。
就労ビザの更新手順や費用を詳しく解説│企業による更新支援についても紹介
就労ビザ申請に必要な英語力や学歴
就労ビザ申請に必要な英語力や学歴があることをご存知でしょうか。
英語力に関して例えばアメリカの就労ビザでは、
英語力の証明を求められることはありませんが、
管理職経験や職歴など重視される場合があります。
一方、オーストラリアの就労ビザでは、IELTSで平均バンドスコアが5以上、
各科目も5以上のスコアが求められる場合もあるのです。
学歴に関しては、基本的には大卒以上が求められます。
ただ、オーストラリアの就労ビザでは、学歴は求められませんが、
職歴や職業的知識などの証明が求められる場合があることも知っておいてください。
雇用主からのサポートが必要
留学中の学生がもっている留学ビザから、就労ビザを変更・取得する場合、
以下のように、外国人本人と企業側がそれぞれ用意する書類があります。
申請人(本人)が用意する書類 |
受入企業が用意する書類 |
・在留資格変更許可申請書 ・写真1枚(4cm×3cm、6カ月以内のもの) ・パスポート ・在留カード ・履歴書 ・卒業見込証明書 ・卒業証書又は卒業証明書 ・成績証明書 ・出席証明書(専門学校卒業予定の場合) ・資格外活動許可証(許可を得ている場合) |
・在留資格変更許可申請書 ・雇用契約書(労働条件通知書) ・雇用理由書(自由書式・A4・2枚程度) ・履歴事項全部証明書 ・決算書 ・会社定款 ・給与所得の法定調書合計表 (税務署受理印がある写し) |
また企業側は、申請等取次者または提携している行政書士等と連携して、
変更・取得といった手続きのサポートを行なってくれる場合があるのです。
その際、主に申請書作成、添付書類の準備、申請手続き、
書類取得等の手続きを行なってくれます。
就労ビザ取得のための必要書類と手続きの流れ
就労ビザ取得のための必要書類と手続きの流れについてみていきましょう。
申請に必要な書類と提出方法
申請な必要な書類は、
上記の「雇用主からのサポートが必要」のところに示した表にまとめました。
取得できる場所は、
外国人の居住予定地・受入れ機関の所在地を管轄する出入国在留管理庁で、
手続きが完了すると申請人本人の就労ビザを取得することができます。
就労ビザ申請の流れ
留学中の学生がもっている留学ビザから、
就労ビザに変更する際の流れについてみていきましょう。
~ステップ①~就職活動を行なう
留学中の学生が就職活動を始める際は、取得する就労ビザの種類を確認し、
就職活動が可能なビザなのか確認してください。
~ステップ②~企業と雇用契約を締結する
就労ビザを申請する際、雇用契約書・労働条件通知書を提出しなければならないことから
就労ビザを申請する前に企業と雇用契約を締結する必要があります。
学校の卒業時期は3月が多く、ビザ申請・変更審査は1カ月~3カ月程度かかりますので、
手続き可能な最も早い時期である
12月1日に申請ができるよう準備しておきましょう。
~ステップ③~出入国在留管理局へ必要書類を提出する
出入国在留管理局へ提出する必要書類は、以下の通りです。
留学生本人が用意する書類 |
企業が用意する書類 |
・写真 ・パスポート ・在留カード ・卒業見込証明書 ・在留資格変更許可申請書 (申請人等作成用) |
・雇用契約書 ・直近年度の決算文書 ・前年分給与所得の法定調書合計表 ・在留資格変更許可申請書 (所属機関作成用) |
上記以外にも必要な書類がある場合がありますので、
詳細は出入国在留管理庁「在留手続き」のページをご参照ください。
~ステップ④~就労開始
留学ビザから就労ビザへの変更が完了すれば、
正式に日本の企業で働くことが可能です。
就労ビザは、指定されている以外の業務や、
清掃や仕分け作業などの単純作業した場合は、
ビザの資格が取り消される可能性もありますので注意してください。
また在留期間を過ぎた状態で日本に居続けると、
オーバーステイ(不法在留)になる可能性があり、強制出国を命じられる場合もあります。
就労ビザ取得にかかる費用と期間
就労ビザ取得するまでにかかる費用は、以下の通りです。
内容 |
費用 |
在留資格変更許可申請手数料(収入印紙) |
6,000円 |
証明写真撮影料 |
800円程度 |
卒業証明書または卒業見込証明書発行手数料 |
300~1,000円程度 |
上記以外では、出入国在留管理局に訪れる際の交通費など、
他にも費用が発生する可能性があります。
就労ビザ取得にかかる期間は、1カ月~3カ月程度です。
就労ビザ取得における注意点と落とし穴
就労ビザ取得における注意点と落とし穴がについてみていきましょう。
ビザ申請時のよくあるミスと回避策
ビザの申請時に、よくあるミスの代表例は書類不備です。
書類不備とは、記入しなければいけない部分が記入されていなかったり、
記入している内容に誤りがあることをいいます。
書類不備の回避策は、記入例などを参考に、提出前に再度、
一項目ずつ誤りがないか確認することです。
また、必要書類が不足しているというミスも多く見受けられます。
書類不備や必要書類が不足していると、
就労ビザの許可が下りるまでさらに時間を要しますので、
提出前に全て完璧な状態であるかを確認しましょう。
就労ビザ取得後の制限事項
就労ビザでは、高度専門職、外交、公用など、
許可された範囲の活動のみ認められています。
在留カードの「就労制限の有無」の欄に、「就労制限なし」と書かれている場合は、
就労の制限はありません。
ビザの維持管理に必要な条件
就労ビザを維持管理するために必要な条件には、以下のようなものがあります。
・就労ビザで申請時の在留資格に当てはまる活動をすること
・法務省令に定められた上陸許可基準などに満たしていること
・勤務先の雇用・労働条件が適正であること
・納税義務を遂行していること
・入管法に定められた届出などを行なっていること
・生活保護を受けるなど、日本の公共の負担となっていないこと
・将来的に安定した生活が見込まれること
・現在の就労ビザを取得してから「転職」などの変更がないこと
上記のことが行なわれていなければ、
就労ビザを維持・管理できなくなる可能性がありますので注意してください。
ビザの更新方法と更新時の注意点
就労ビザを更新するためには、在留期間更新許可申請書を作成し、
最寄りの地方出入国在留管理局、または出張所に必要書類を提出しなければなりません。
更新する際の注意点は、書類に不備があった場合のことを想定して、
時間に余裕をもって申請してください。
転職や職務内容の変更がある場合、
また、資格外活動許可を取得して副業しているときは、
副業収入が本業収入を超えていると更新が難しくなるため注意が必要です。
不正申請のリスクとその対策
就労ビザの申請で、不正申請を行なうと、
以下のような懲役刑・罰金刑の対象となる可能性があります。
罪名 |
罰則 |
在留資格等不正取得罪 |
最長3年の懲役、最大300万円の罰金 |
不法就労助長罪 |
最長3年の懲役、最大300万円の罰金 |
営利目的在留資格等不正取得助長罪 |
最長3年の懲役、最大300万円の罰金 |
不法就労や在留資格不正取得のリスクとしては、
在留資格申請が不許可になった在留資格が取消され、
退去強制を命じられる可能性があるのです。
退去強制の場合は、その後5年間、日本へ上陸することができません。
また、雇用主も罰則の対象となります。
不正申請の対策としては、申請者本人だけでなく、
雇用主側も知識不足・注意不足が起きないよう、
行政書士など専門家のアドバイスを仰ぎながら申請手続きを行なうといいでしょう。
就労ビザを取得せずにできるアルバイト
就労ビザを取得せずにできるアルバイトについてみていきましょう。
留学生に許可されているアルバイトの種類
留学生に許可されているアルバイトの職種は、以下の通りです。
・飲食業
・営業・販売(コンビニなど)
・工場での組立作業
・ティーチングアシスタント・リサーチアシスタント
・語学教師
・配達
アルバイトをする際は、
留学生が持っている「留学」の在留資格だけでは、労働が認められていません。
留学生がアルバイトをする際の条件に関しては、次でご紹介します。
アルバイトをする際の条件と規則
留学生がアルバイトする際の条件と規則についてみていきましょう。
資格外活動許可が必要
留学生が日本国内でアルバイトをする際は、
「資格外活動許可」を法務省に申請しなければなりません。
留学生を雇用する側は、
必ず在留カード裏面に「資格外活動許可」の記載があるか確認をしてください。
労働時間は原則週28時間まで
留学生が日本国内でアルバイトとして労働できる時間は、週に28時間までです。
アルバイト複数掛け持ちしている場合でも、
トータルの労働時間が週28時間までに調整しなければなりません。
長期休暇中の場合は、1日8時間、週40時間までの労働が認められています。
ビザに影響しないアルバイト探しのコツ
留学生がビザに影響しないアルバイト探しの行ない方のコツには、
以下のようなものもあります。
大学・専門学校で探す
大学・専門学校にはキャリアセンターがあり、
そこから就職情報だけではなく、アルバイト情報が発信されます。
求人サイトで探す
バイトルやindeedなど、求人サイトを利用するとアルバイトを探すことが可能です。
知人から紹介してもらう
アルバイトを経験している知人からの紹介で、アルバイトを探すことができます。
アルバイトを通じて得られる経験とスキル
留学生のアルバイトを行なうことで、経験とスキルを向上させることが可能です。
また、アルバイトを通じて、
日本の労働環境や労働法規についての知識を深めることができます。
アルバイト中に職場の人とコミュニケーションを図ったり、
接客する中で日本語を習得することもできるでしょう。
学業とアルバイトのバランスを取る方法
学業とアルバイトのバランスを取る方法についてご紹介します。
柔軟なスケジュールを立てる
留学生のアルバイトは週28時間まで、長期休暇中は1日8時間までと定められています。
アルバイト先や学校としながら、柔軟なスケジュールを立てることで、
学業とアルバイトのバランスを取ることが可能です。
効率的な勉学方法を身につける
勉学を効率的に行なう方法はたくさんあります。
勉学を効率的に進めることで、アルバイトの時間を確保することが可能です。
活用できる就労ビザサポートサービスや機関
活用できる就労ビザサポートサービスや機関についてみていきましょう。
大学のキャリアセンターの役割
大学キャリアセンターでは、留学生の就職支援やキャリア支援を実施しています。
就職ガイダンスや個別相談のほか、就労ビザのサポートも行なってくれるのです。
プロフェッショナルなビザ申請支援サービス
留学生の就労ビザを取得する場合、
プロフェッショナルなビザ申請支援サービスを利用することも可能です。
例えば、ビザプロでは、就労ビザの取得サポートをしており、
株式会社ネクシオでは、
就労ビザを取得して来日する外国人プロフェッショナルを派遣・紹介し、
住居の提供まで行なっています。
現地コミュニティからの支援と情報交換
現地コミュニティサイトには、
就労ビザが必要な外国人の求人を探すことができる場合があります。
また、就労ビザ取得のアドバイスも受けることが可能です。
オンラインで利用できるビザサポートリソース
就労ビザのオンラインビザサポートには、
申請代行、相談、面談などのサービスが用意されています。
オンラインであると、相談センターまで出向く必要がなく、
自身の都合に合わせながらサポートを受けることが可能です。
留学生ネットワークの活用法
留学生就職支援ネットワークでは、
留学生の在留資格・就労ビザについての情報を掲載しています。
就労ビザの種類や、
申請に必要となる書類についてなどのサポート支援を受けることが可能です。
まとめ
留学生が就労ビザを取得する方法と条件、費用や注意点について、
ご理解深まりましたでしょうか。
留学生が就労ビザを取得する際の内容について、詳細まで記しました。
記事をお読みいただければ、スムーズに就労ビザを取得することができます。
本記事を参考に、留学生の皆さんは、就労ビザを取得してみてはいかがでしょうか。