決まったルートを回りながら配送を行なう「ルート配送ドライバー」。
一見、同じルートを回って決まった仕事をしているようなイメージから
「楽な仕事」と思われがちですが、
ルート配送ドライバーの仕事はきついと言われていることをご存知でしょうか。
実際にどのような面できついのか知りたいところです。
本記事では、ルート配送ドライバーの仕事はきついのか、
仕事内容や向いている人の特徴などについて詳しくご紹介します。
ルート配送って?
ルート配送とは、決まった日時とルートで、店舗や事務所に荷物を配送することをいいます。
配送先では荷物を下ろすだけでなく、空いたコンテナや容器を回収するときもあるのです。
ルート配送は、以下のようにさまざまな種類があります。
①コンビニやスーパーへの商品納入
②メーカー工場で製造した商品を物流業者の倉庫へ配送・保管
③②の商品をメーカーの発注に対応しながら届け先への配送
④飲食店への食材等の配送
⑤クリーニング店の配送
⑥病院等、クリーニング済みのユニフォームの配送
とこのような仕事があります。
詳細については下記の記事でも紹介していますのでご覧ください。
ルート配送とは?ルート配送の必要資格やメリット・デメリット、体験談についても紹介!
ルート配送ドライバーの仕事内容
前述のように、ルート配送にはさまざまな種類がありました。
ここでは具体的にルート配送の仕事内容についてご紹介します。
ルート配送の仕事内容
ルート配送は、決められたルートを走りながら店舗等に商品を届けるのがおもな仕事です。
上記でルート配送の種類についてご紹介しましたが、
一般にコンビニやスーパーのように店舗数が多く、扱われている商品数が多い業種のところに、
効率よく商品を配送する必要があるところにルート配送を行ないます。
ルート配送の一日の流れ
ここではルート配送ドライバーの1日についてみていきましょう。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
上記はあくまで一般的なルート配送ドライバーの1日になります。
多くのルート配送ドライバーは「午前便」のタイムテーブルですが、
コンビニルート配送は「午後便」のタイムテーブルで動くのが一般的です。
またスーパーのルート配送ドライバーは、
スーパーが開店する前にルート配送で納品する場合が多いですので、
上記のタイムテーブルより時差があるでしょう。
ただルート配送の仕事は、上記のように決まった時間に退社できるわけではありません。
その理由も含めて、次ではルート配送ドライバーがきついといわれる理由とともにご紹介します。
ルート配送ドライバーはきつい?
上記ではルート配送ドライバーの仕事内容についてご紹介しましたが、
ときおり「ルート配送ドライバーの仕事はきつい」という声を耳にします。
実際にルート配送ドライバー経験者は、以下のような理由で仕事がきついと感じているようです。
拘束時間が長い
ルート配送の仕事は、複数の店舗で荷下ろしをしなければなりません。
荷下ろしは手作業になりますので、どうしても時間がかかるのです。
駐車場がある店舗で荷下ろしする場合、
駐車場が空いていればすぐに荷下ろしできますが、
駐車場が満車である場合は駐車場が空くまで待つ必要があります。
駐車場が空いたとしてもルート配送の仕事は基本的にトラックで行ないますので、
お客様の車の移動の妨げにならないところに駐車するのが基本です。
スーパーには納品場所としてトラックの荷下ろし場所が確保されていることがほとんどですが、
都市部のコンビニは荷下ろし場所が確保されていません。
とくにターミナル駅の中にあるコンビニでは、荷下ろしだけでなく、納品するのにも時間がかかります。
その場合は、コインパーキングにトラックを駐車し、
台車やかご台車に商品を載せて納品しなければならないのです。
このように配送先によってかなりの時間を要することがあります。
また事故渋滞や大雨や大雪などによる交通渋滞が発生すると、
予定していた到着時刻に到着することができず、その後のスケジュールも全て遅れていきます。
決まったルートは必ず回らないといけないことから、渋滞に巻き込まれると帰社や退社時間は遅れていくのです。
毎日同じ作業のため飽きる
ルート配送の仕事は、決められた店舗に、決まったルートで配送するため、
毎日あまり変化がない日々を過ごすことになります。
毎日異なる作業の仕事であったり、誰かと話しながら仕事を進める場合は、
仕事に集中できるかもしれませんが、
ルート配送の仕事は基本的に1人で行なうため飽きがきてしまうのです。
配送先の社員と荷下ろしの際に接することもありますが、
次の配送先へ出向かなければなりませんので、ゆっくり話している時間はありません。
服装など厳しく言われるときがある
コンビニやスーパーなどのルート配送は、自社のドライバーが配送しているわけではなく、
コンビニやスーパーから委託された運送業者が配送を行なっています。
基本的にドライバーは自身が勤める運送会社の規定に従いますが、
ドライバーが荷下ろしするところは、コンビニやスーパーといったお客様の目に触れるところです。
コンビニやスーパーからすると、運送会社の服装は直接お客様の目にしますので、
ある程度の身なりをしてほしいと望んでいます。
基本的には「長髪・染髪禁止」「ひげ・ピアス禁止」「制服着用」などの
厳しいルールを定めている会社もあるのです。
休みが取りにくい
ルート配送の配送先は、コンビニ、スーパー、クリーニングなど、
基本的には毎日営業しているところが多いです。
配送先が営業しているということは、ルート配送ドライバーも配送先に納品しなければなりません。
人手が豊富な運送会社であれば自身が休んだ際の代わりはいますが、
ほとんどの運送会社では慢性的な人手不足が続いています。
そのため決められた出勤日や出勤時間は祝日など関係なく、出勤する必要があるのです。
年末年始やゴールデンウィークなど、連休も同様のことがいえます。
洗車・掃除をする必要がある
ルート配送の仕事は、トラックを運転し、商品を荷積み・荷下ろしするのが主です。
コンビニやスーパーに納品する商品は食料品が多いため、
アルミトラック内はとくに清潔に保たなければなりません。
合わせてトラックの車体はもちろんのこと、運転席など外から見える部分も整理整頓し、
不衛生でない状況を保つ必要があります。
ルート配送ドライバーをやるメリット・デメリット
ルート配送の仕事をするとメリットを感じる面もあれば、デメリットを感じる面もあります。
できる限りデメリットは感じたくないと思いますが、
メリット・デメリットの両方を知って、ルート配送ドライバーの仕事について知ってください。
メリット
ではまずメリットからみていきましょう。
人手不足のため将来性がある
ルート配送ドライバーの仕事はとにかく人手不足です。
一般社団法人全国スーパーマーケット協会のデータをみると、
コンビニやスーパーの売り上げは年々増加傾向にあります。
物価の上昇による売り上げ増加の背景もありますが、
コンビニやスーパーは毎日多くの人が利用することから、頻繁に納品が行なわれる必要があるのです。
今後はますますドライバー不足が進んでいくことから、
人材確保のために将来性がある仕事といえるでしょう。
人間関係のトラブルに巻き込まれにくい
ルート配送の仕事は、基本的に1人で行なう仕事が中心です。
運送会社にも上司・同僚・部下はいますが、
基本的には社内で顔を合わす程度で、内勤のようにチームワークが求められることもありません。
このように人間関係が疎であることから、人間関係のトラブルに巻き込まれにくく、
1人で仕事をしたい方や他の人との関わりを極力避けたい方にはピッタリの仕事といえます。
業務で覚えることが少ない
ルート配送運転手の仕事はシンプルで
「出勤後に車両の点検」「倉庫で商品の検品・積込」「決められたルートでの配送・伝票受け取り」です。
初めてルート配送運転手の仕事に就く人も、運送会社の研修を受け、
数カ月もすれば業務を遂行することができます。
デメリット
次にデメリットについてみていきましょう。
仕事が単調
前述のように、ルート配送の仕事は仕事が単調であるため飽きがきます。
飽きがくると仕事にやりがいを感じなくなり、離職を考えるケースも考えられるのです。
お客様から感謝の意でも伝えられるとやる気もわいてきますが、
そういったことは基本的にありませんので、自分のモチベーションを保たなければなりません。
早朝出勤・夜遅くなる
ルート配送の仕事は基本的に朝が早く、
納品する量が多いとさらに早く出勤しなければならないときがあります。
また午後からの出勤の場合は仕事が終わる時間が遅くなり、
昼夜逆転の生活を送る可能性が高くなるのです。
一般職のような8時30分出勤・17時30分退勤といった規則正しい生活を送るのは困難になるでしょう。
それほど年収は高くない
トラックドライバ―の平均給与は、
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」より、月38.6万円です。
日本人の平均年収461万円で、月に換算すると38.4万円ですので、
トラックドライバ―の給与は日本全体と比較しても悪いものではありません。
ただ早朝や夜遅い勤務があったり、身体的・精神的な負担が大きいことを考えると、
年収がそれほど高くないと感じている人もいるようです。
ルート配送ドライバーが向いている人・向いていない人の特徴
実はルート配送ドライバーの仕事には向いている人・向いていない人がいます。
ここでは具体的な特徴についてみていきましょう。
ルート配送ドライバーに向いている人の特徴
以下の特徴がある方は、ルート配送ドライバーに向いているといえます。
1. 車を運転するのが好きな方
2. 単調な仕事が苦にならない方
3. 体力・健康に自信がある方
4. 1人で仕事をしたい方
5. 仕事とプライベートを分けたい方
6. 責任ある仕事がしたい方
ルート配送は1日中トラックを運転しますし、体力がないと仕事が務まりません。
1人で集中して仕事をしたい方にはもってこいの仕事です。
ルート配送ドライバーが向いていない人の特徴
以下の特徴がある方は、ルート配送ドライバーに向いていないといえるでしょう。
1. チームで仕事を達成したい方
2. 体調を崩しやすい方
3. スケジュール管理ができない方
4. 短気でイライラしやすい方
ルート配送は体力仕事ですので、健康維持は欠かせません。
仕事の疲れやストレスが貯まるかもしれませんが、短気でイライラする特徴の人は、
配送途中で事故を起こす可能性がありますので向いていないといえます。
現役ルート配送ドライバーに聞いた体験談
最後に、現役でルート配送の仕事をしている方に話しを聞いてみました。
これからルート配送の仕事をしようと思っている方は、ぜひ参考になさってください。
~ケース①~ Sさん/40代/男性/勤務歴10年目
以前は大手宅急便会社に勤務していたSさんですが、
体力的・精神的にきついと感じるようになり、コンビニルート配送の仕事に就きました。
コンビニルート配送の仕事は、配送するルートが決まっていることに合理さを感じたSさんは、
体への負担が少なく感じながら仕事をしているそうです。
以前の大手宅急便会社では、その日に入ってくる荷物の配送先がバラバラで、
配送先を地図で調べながら荷物を届ける日々でした。
同じ配送の仕事でも、Sさんのように自分の体のことを考えながら仕事をすることも大切です。
~ケース②~ Tさん/30代/男性/勤務歴4年目
ルート配送の仕事をしているTさんは、
自分のペースで仕事ができることからストレスを感じることがないとのことです。
ルート配送の仕事は、荷下ろし先の時間の指定はありますが、
それさえ守れば自分のペースで仕事ができます。
ルート配送では同じ店舗を訪れるため、配送先の社員と顔見知りになり、
そこからコミュニケーションが生まれるそうです。
配送先での滞在時間はあまりありませんが、社員と会話することで気分もリラックスできます。
またトラック車内では、自分の好きな音楽を聞いたり、
自分が食したいタイミングで昼食がとれたりできますので、内勤の仕事より自由度が高いです。
~ケース③~ Hさん/50代/男性/勤務歴14年目
Hさんは、ルート配送の仕事はきつい面があると話しています。
出勤時間が朝からのときは夕方までの出勤が基本ですが、
昼からの勤務のときは夜遅くまでの勤務になるそうです。
ときおり変化する勤務体系に合わせなければならないため、
体がついていかないことにきついと感じています。
仕事は単調なものであるため、すぐに仕事には順応できたそうで、
1人で仕事をしていることから、人間関係による大きなストレスを抱えることもないとのことです。
ただ渋滞に巻き込まれると退勤時間は遅くなりますし、
夜中の荷下ろしは近隣住民へのさらなる配慮が必要で神経を使っておられました。
身体的なきつさもありますが、精神的なきつさもあることを知っておいてほしいとのことです。
まとめ
ルート配送ドライバーの仕事についてご理解が深まりましたでしょうか。
同じルートを回りながら荷物を下ろしていくルート配送は、
仕事内容は難しくありませんが、楽ではない仕事です。
ルート配送ドライバーの仕事をしている方が、
どのような面で仕事がきついと感じているかについてもみていきました。
ルート配送ドライバーの仕事はきついながらも、やる気を感じることができる方も多いでしょう。
もしルート配送ドライバーを目指す場合は、記事内で紹介した、
ルート配送ドライバーに向いている・向いていないの特徴を確認してみてください。
本記事を参考に、ルート配送ドライバーの仕事内容やきつさについて知っていただき、
ルート配送ドライバーに就職・転職してみてはいかがでしょうか。