正社員でタクシー運転手として仕事をしていた場合、退職金がもらえることが多いです。
勤続年数が長いほど退職金が増えるのが基本で、
定年退職後に生活していく上で必要なお金となります。
本記事では、タクシー運転手は退職金がもらえるのか、
退職金の相場や退職金をもらう条件について、詳しく解説します。
タクシー運転手が退職する理由3つ
タクシー運転手の離職率は約20~30%といわれていますが、
他業種の平均離職率は約30%といわれていますので、
タクシー運転手の離職率はおおむね平均程度といえます。
では具体的にどのような理由で退職しているのかをみていきましょう。
体力面
タクシー運転手は日勤・夜勤・隔日といった勤務形態でとなっています。
日勤や夜勤は8時間近い勤務となり、隔日勤務は1度の勤務時間が21時間程度です。
長時間運転すると体力面での消耗が激しいですし、
同じ姿勢で運転し続けていると体への負担も大きくなります。
年齢が増すにつれて体への負担は大きく感じることから、
退職する方がいらっしゃるのです。
精神面
車の運転する際は事故を起こさないように気をつけなければならないため、
長時間の運転になるほど精神的に疲れてきます。
またタクシー運転手は乗客を乗せるまで、どのようなお客様を乗せるかわかりません。
中には、急いでいてイライラしている方、泥酔されている方もおられ、
その対応をしなければならないのです。
乗客であってもトラブルを招く場合は毅然とした対応をとりたいところですが、
その対応にストレスを感じて当然です。
このような理由から、退職される方がいらっしゃいます。
収入面
タクシー運転手の給料は、歩合制のところが多いため、
売り上げが少ないと自身の給料も少なくなります。
タクシー運転手の売上の中から、タクシー会社の利益分が差し引かれるため、
タクシー運転手は満足のいく給料が得られていないと感じる方がいらっしゃいます。
給料が少ないと日常生活にも影響を及ぼすことから、
退職を選択するタクシー運転手もいらっしゃるのです。
タクシー運転手に退職金はあるのか?
退職金があるかないかはタクシー会社によって異なり、
退職金制度を設けているタクシー会社であれば退職金を受け取ることができます。
一方で、給与形態が歩合給である会社、
営業成績に応じて給与や賞与に還元されている会社は
退職金制度を設けていないことが多いです。
退職金制度の設定は会社が自由に決めることができますが、
退職金制度を設ける場合は、労働基準法第89条と24条に基づき、
その内容を就業規則に記載しなければなりません。
よって、退職金の有無については就業規則に記載されていますので、
一度確認してみることをおすすめします。
タクシー運転手が退職金をもらうための条件
タクシー運転手が退職金をもらうためには、
各タクシー会社が定める条件を満たさなければなりません。
例えば、勤続年数が5年未満の状態で退職すると、
退職金がもらえないケースが多くあります。
退職金の金額はタクシー会社によって様々ですが、
勤続年数が少ないほど、もらえる退職金は少なくなるのです。
タクシー運転手の退職金の相場
前述のように、タクシー運転手の退職金は
勤続年数が5年以上でなければもらえる可能性は低いです。
退職金の相場はタクシー会社や地域によって異なりますが、
退職金の相場は5年勤務で50万円、
その後、勤務が1年増えるごとに10万円ずつ加算されていく会社が多く見受けられます。
もちろん退職金制度がなければ、退職金を受け取ることはできません。
一般に、新卒で大手企業に就職し、
定年まで勤務した場合は数千万円の退職金を受け取ることができます。
それと比較するとタクシー運転手の退職金はかなり低いことがわかります。
タクシー運転手の退職金が低い理由は以下の通りです。
勤続年数が短い人が多い
新卒でタクシー運転手となり、定年まで働き続ける割合は多くありません。
以下は、地方中枢都市となっている都道府県における
新卒者の採用状況を示したものですが、
新卒でタクシー運転手になる人が極めて少ないことが分かります
(出典:一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会)。
|
2017年 |
2019年 |
2021年 |
2023年 |
北海道 |
1 |
1 |
7 |
19 |
宮城県 |
1 |
0 |
0 |
2 |
東京都 |
608 |
881 |
690 |
799 |
愛知県 |
11 |
42 |
65 |
60 |
大阪府 |
12 |
7 |
17 |
19 |
広島県 |
4 |
1 |
2 |
6 |
福岡県 |
10 |
1 |
9 |
9 |
タクシー運転手は、他の職業から転職して仕事に就く人が多い傾向にあります。
そのことから勤続年数が少ない人が多く、退職金がもらえなかったり、
退職金の金額が少ない人が多いのです。
「タクシー事業の現状」をみても、
タクシー運転手の平均勤続年数は9.3年となっています。
タクシー運転手の平均年齢が高い
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の「タクシー事業の現状」では、
タクシー運転手の平均年齢は56.8歳となっています。
フルタイムの一般労働者の平均年齢が43.9歳ですので、
タクシー運転手の平均年齢はかなり高いことがわかります
(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査結果の概況」)。
前述のようにタクシー運転手は一般的な定年を超えても働くことができることから、
このような結果になっているのです。
週刊ポストの
「75歳以上のタクシー運転手 東京地区だけで約3000人もいる」にもあるように、
75歳以上がタクシー運転手を続けています。
大手タクシー会社のように、
資金にゆとりがあるタクシー会社では75歳未満の運転手で会社を回すことは可能です。
しかし資金にゆとりがないタクシー会社は、
健康であれば75歳以上であっても運転手として雇用して会社を回しているのです。
歩合制や給与制など給与形態が違っても退職金はもらえるのか?
歩合制や給与制など、給与形態が違っても、退職金はもらえます。
退職金がもらえるかどうかは、
前述のように退職金制度が確立されているかによるのです。
タクシー運転手になる前に、給料が歩合制なのか給与性なのか、
退職金制度があるのかを確認するようにしましょう。
タクシー運転手の給与のしくみについては、運転ドットコムの下記の記事に
記載していますので、合わせて参考になさってください。
タクシー運転手の平均年収・給料は約300万円。歩合制の仕組みを紹介
まとめ
タクシー運転手は退職金がもらえるのか、
退職金の相場や退職金をもらう条件について、ご理解深まりましたでしょうか。
タクシー運転手が退職金がもらえるのかは、
勤め先のタクシー会社に退職金制度が整っているかによります。
退職金がもらえる場合であっても、高額な退職金は期待できないこともお伝えしました。
本記事を参考に、タクシー運転手の退職金について知っていただければ幸いです。