
外国人が日本で滞在する場合、取得できるビザには複数の種類があります。
ビザを取得する場合は、ビザの目的に合わせて、申請・取得しなければなりません。
また、ビザの種類によって、
滞在期間が大きく異なることも知っておく必要があるでしょう。
本記事では、外国人が取得できるビザの種類、手続きの流れや費用、
注意点について、詳しく解説します。
外国人が取得できるビザの基本情報
外国人が取得できるビザの基本情報についてみていきましょう。
ビザの種類一覧
外国人が取得できるビザの種類は、以下のようなものがあります。
ビザ
|
上記のように、目的によって取得するビザが異なりますので、
それぞれのビザの特徴を確認しておきましょう。
それぞれのビザの概要
前述でお示しした就労ビザ、留学ビザ、家族滞在ビザ、
短期滞在ビザについてご紹介します。
就労ビザ
就労ビザとは、外国人が日本国内で仕事をし、
報酬を得る活動をするために必要な在留資格のことです。
就労ビザは、外国人が日本で行なう活動の種類によって、
前述の16分類がなされています。
就労ビザについては、運転ドットコムの下記の記事も役に立ちますので、
合わせて参考になさってください。
留学ビザ保持者のための就労ビザ取得ガイド│必要な手続きや費用などについても解説
また、就労ビザの種類の1つとして「特定技能」があります。
日本では、産業分野にとっては、
深刻な人手不足になっているところもあり、
特定技能外国人の活躍の場が広がっています。
特定技能の詳細については、運転ドットコムの下記の記事も役に立ちますので、
合わせて参考になさってください。
特定技能の外国人を採用するための完全ガイド│職種一覧や採用方法、手続きの流れについても解説
留学ビザ
留学ビザとは、外国人が日本の大学や高等専門学校、
高等学校、専修学校などで学ぶ際に必要な在留資格です。
在留資格は「留学」で、留学先の学校に合格した後に、
学校が在留資格認定証明書交付申請を行なうことで取得できます。
家族滞在ビザ
家族滞在ビザとは、日本で就労や留学に携わっている外国人の配偶者・子どもが、
日本で生活するために必要な在留資格です。
基本的に就労は認められませんが、資格外活動許可を取得することで、
週28時間以内であれば労働することができます。
短期滞在ビザ
短期滞在ビザとは、観光、商用など、日本に短期間滞在し、
報酬を得る活動を伴わない場合に必要な在留資格です。
滞在期間は最大90日で、多くの国ではビザが免除となる場合があります。
ビザ取得の一般的な手続き
ビザ取得の一般的な手続きを進める際は、
渡航先の国の在外公館(大使館や領事館)のウェブサイトを閲覧して、
申請に必要な書類や手続きを確認しましょう。
オンラインでの申請が可能な国もありますので、確認してみてください。
ビザ取得に必要な書類
一般に、ビザ取得に必要な書類は、以下の通りです。
|
書類名 |
内容 |
1 |
申請書 |
外在公館からダウンロードするか、窓口で入手 |
2 |
パスポート |
有効期限が十分あるものが必要 |
3 |
証明写真 |
指定された規格のものを準備 |
4 |
渡航目的を証明する書類 |
航空券、宿泊予約など |
5 |
その他 |
渡航先国によって追加書類が必要 |
ビザを取得するためには、必要な書類は正確に用意しなければなりません。
ビザの申請費用
ビザの申請費用は、以下の通りです。
<ビザ申請手数料>
|
内容 |
手数料 |
一次有効ビザ |
ビザの有効期間内に一度だけ日本に入国できるビザ |
約3,000円 |
数次有効ビザ |
有効期間内であれば何度でも日本へ入国できるビザ |
約6,000円 |
通過ビザ |
外国から日本を経由して他の外国へ渡航する際に、乗り継ぎのために日本国内に立ち寄る場合に必要なビザ |
約700円 |
<申請代行依頼する際の費用>(就労ビザ新規申請の場合)
内容 |
費用 |
書類作成のみ |
約10万円程度 |
書類作成・提出 |
約15万円~20万円程度 |
ビザ申請をする際に、翻訳費用などが発生した場合は、上記以上に費用がかかります。
また、申請代行は基本的に行政書士に依頼するケースが多いですが、
行政書士事務所によって委託料が異なります。
ビザの種類によって、
審査費用やその他の費用が発生する可能性がありますのでご留意ください。
ビザ取得にかかる時間
ビザの取得にかかる時間は、以下の通りです。
種類 |
時間 |
就労ビザ |
1カ月~2カ月程度 |
留学ビザ |
在留資格認定証明書あり:5営業日程度 在留資格認定証明書なし:1カ月~3カ月程度 |
家族滞在ビザ |
1カ月~3カ月程度 |
短期滞在ビザ |
1週間程度 |
ビザの種類によって、取得にかかる時間が大きく異なります。
どのビザを取得する際も、時間にゆとりをもって取得するようにしましょう。
ビザ更新・滞在期間延長の手続き
ビザ更新・滞在期間延長の手続きについてご紹介します。
ビザ更新・滞在期間延長の条件
ビザ更新・滞在期間延長の条件についてみていきましょう。
就労ビザの更新手続きについては、運転ドットコムの下記の記事も役に立ちますので、
合わせて参考になさってください。
就労ビザの更新手順や費用を詳しく解説│企業による更新支援についても紹介
在留資格に該当している
申請人の活動が、ビザ在留資格に該当していなければ、
ビザを更新することはできません。
また、申請人の素行が良好であることも求められるのです。
義務を果たしている
申請人が独立して生計が立てられていること、
また、納税義務を果たしていることも更新・滞在期間延長の条件となっています。
入管法に定められた届出などの義務も果たしている必要がありますのでご留意ください。
ビザ更新・滞在期間延長申請の流れ
ビザ更新・滞在期間延長申請の流れについてみていきましょう。
~ステップ①~準備
ビザ更新・滞在期間延長申請は、在留期間満了日の3ヶ月前から手続き可能です。
手続き開始前までに必要書類をチェックして準備してください。
ビザの種類・状況によって必要書類は異なりますので注意が必要です。
申請書に関しては、出入国在留管理局のウェブサイト、
または窓口で手に入れることができます。
~ステップ②~申請
申請書・必要書類が準備できれば、
居住地を管轄している出入国在留管理局に提出しましょう。
その際、パスポートと在留カードの原本を提示する必要がありますので、
合わせて持参しておくと安心です。
~ステップ③~審査
審査期間は、ビザの種類によって異なりますが、概ね2週間から1ヶ月程度かかります。
審査の許可が下りれば、許可通知が届きますので受け取りましょう。
~ステップ④~受け取り
許可通知を受け取れば、手数料となる収入印紙6,000円を準備してください
(2025年4月1日以前は4,000円でしたが、
4月1日以降受付分より6,000円に改定されました)。
居住地を管轄している出入国在留管理局の窓口で、新しいビザを受け取りましょう。
必要な書類
ビザ更新・滞在期間延長申請に必要な書類は、以下の通りです。
|
必要書類 |
留意事項 |
1 |
在留期間更新許可申請書 |
法務省のウェブサイトからダウンロード |
2 |
旅券(パスポート) |
原本提示が必要 |
3 |
在留カード |
原本提示が必要 |
4 |
証明写真 |
縦4cm×横3cm、申請日の3ヶ月以内に撮影されたもの、無帽、無背景で鮮明なもの |
5 |
収入印紙 |
更新が許可された場合に、新しい在留カードを受け取るために必要 |
また、ビザごとの追加書類には、以下のようなものがあります。
|
種類 |
追加書類 |
1 |
就労ビザ |
雇用契約書、源泉徴収票の写し、住民税の課税(または非課税)証明書、納税証明書など |
2 |
家族滞在ビザ |
配偶者の戸籍謄本、住民税の課税(または非課税)証明書、納税証明書、身元保証書など |
3 |
技術・人文知識 国際業務ビザ |
勤務先の四季報の写し、源泉徴収票の写し、住民税の課税(または非課税)証明書、納税証明書など |
上記以外の書類を求められる場合がありますのでご留意ください。
取得にかかる費用
ビザ更新・滞在期間延長申請にかかる費用についてみていきましょう。
内容 |
費用 |
在留期間更新許可申請の手数料(収入印紙) |
6,000円 |
証明写真 |
約800円 |
卒業証明書などの発行手数料 |
約400円 |
交通費 |
個々により異なる |
コピー |
|
郵送費 |
交通費は、一般に、地方出入国在留管理官署に行く際の費用です。
また、必要書類を準備する段階で、コピー代や郵送費が発生することも含んでいます。
ビザ更新・延長申請に関する注意点
ビザ更新・延長申請に関する注意点についてみていきましょう。
申請期間
ビザ更新は、在留期限の3カ月前から申請可能です。
期限間近の申請は、申請期間を過ぎる可能性がありますので注意しなければなりません。
また、審査期間は概ね2週間から1カ月程度ですが、
入管の繁忙期はこの期間以上の時間がかかる可能性があります。
万が一、更新期間中に在留期間が過ぎた場合は、
審査猶予期間として2カ月間の在留期間延長の措置が施されますが、
時間にゆとりをもって準備・申請することは言うまでもありません。
就労ビザの場合の注意点
就労ビザの場合、転職や職務内容に変更が生じた場合、
更新手続きではなく、変更申請手続きが必要です。
変更申請手続きは、必要書類や手続きがビザの新規取得に近いことから、
注意しなければなりません。
ビザ申請の成功のポイント
ビザ申請の成功のポイントについてみていきましょう。
申請書類の準備方法
ビザ申請において、申請書類の準備を万全にしておくことが、成功のポイントです。
前述のように、ビザの種類によって必要な書類が異なります。
また、申請書類に記載する事項に誤りがあると、審査許可が下りないなど、
時間がかかってしまいますので、
申請前に記載事項内容については十分に確認してください。
申請書類の提出は、期限に遅れることなく期限を守るようにしましょう。
もし、追加書類が求められた場合は、すみやかに準備を進めてください。
ビザ審査での心構え
ビザ審査の心構えとしては、まず必要書類を正確に完成させることです。
審査官からの質問に返答する場合は、嘘やあいまいな回答をしてはならず、
正しいことを明確に、かつ具体的に答える必要があります。
とくに滞在期間、入国理由、資金など、明確に話せるように準備しておきましょう。
答える際は、自信をもって、はっきりと答えてください。
よくあるビザ申請失敗理由
ビザ申請でよくある失敗理由についてみていきましょう。
書類不備
申請書類に記入漏れがあったり、記載方法が不十分であった場合、
入管が要件を満たしていないと判断し、申請できないときがあります。
また、必要書類が不足している、提出期限に間に合わないといった場合も、
ビザ申請に失敗します。
書類不備があると、ビザ申請に失敗してしまいますので、
必要書類を提出する前に不備がないか十分に確かめてください。
経済力不足
日本で生活するだけの安定した収入がない場合、ビザの許可が下りない場合があります。
また、収入源が不明確な場合も同様です。
日本で安定して生活できる経済力を確保していること、
収入が証明できる証明書を用意するなどして、ビザ申請に失敗しないようにしましょう。
申請内容と活動内容の不一致
ビザの申請内容と実際に日本国内で行なっている活動内容が異なる場合、
ビザ申請の許可がおりません。
ビザ申請の場合、書類の内容はもちろんのこと、
活動内容に関しても虚偽の申告をしてはいけないのです。
ビザを申請した後、
活動内容が変更となった場合は変更に関する手続きを必ず行なってください。
過去の入国記録
過去に日本で法令違反があった場合、
また、ビザ申請で不許可になった経歴がある場合は、
ビザ申請に失敗する場合があります。
今後、ビザ申請・更新をお考えの場合は、
日本国内で法令違反になるような行為をしてはならないのです。
就労ビザにおいての失敗理由
就労ビザを申請した際に失敗する理由としては、
外国人の経歴に問題がある、
会社の経営状況・労働条件に問題がある、
最終学歴や資格などと仕事内容が一致しないなどの理由が挙げられます。
これらに該当していないかを再度確認し、就労ビザ申請に失敗しないようにしましょう。
留学ビザにおいての失敗理由
留学ビザにおいては、過去に留学していた経験があり、
その際の在留状況がよくない場合が挙げられます。
また、通っていた教育機関の出席率や成績が悪い場合も、
留学ビザ申請に失敗する理由の一つとして挙げられますので注意してください。
家族滞在ビザにおいての失敗理由
家族滞在ビザにおいては、外国人と扶養者との身分の関係が証明できない場合、
ビザの申請に失敗します。
身分が明確に証明できる証明書などを準備して、ビザの申請を行ないましょう。
ビザ取得後の留意事項
ビザを取得した後の留意事項についてご紹介します。
有効期限の留意
ビザには有効期限があり、期限が切れてしまうと再入国することができません。
また、在留カードにも有効期限があり、期限が切れると更新が必要です。
パスポートにも有効期限があることを忘れてはなりません。
パスポートの有効期限が切れる前に更新し、
新しいパスポートに記載されている国籍と、
ビザに書かれているパスポートの国籍が同じである必要があります。
在留資格の活動範囲
日本国内で活動する場合は、
在留資格で許可されている活動内容以外の活動をしてはいけません。
就労ビザの場合は、許可されている業務内容に基づいて活動しましょう。
まとめ
外国人が取得できるビザの種類、手続きの流れや費用、注意点について、
ご理解深まりましたでしょうか。
日本で滞在する場合は、滞在目的に合わせたビザを取得しなければなりません。
また、ビザの手続きの流れや費用、注意点を知っておくことで、
スムーズにビザを取得することができるはずです。
本記事を参考に、円滑なビザの取得を進めてみてはいかがでしょうか。